血まみれの鈍器とテディベア：ドライヴ(2012)

Drive(2012)

無口な男を怒らせると怖い。「トランスポーター」からハリウッド的派手さを除き、純愛要素とリアルなバイオレンス描写を盛り込んだ様なシリアスなクライムムービー。

ロスの整備工場で働く男は天才的な運転技術を持ち、昼は映画のスタント、夜は強盗の逃し屋と裏表の顔を持つ。孤独な男がアパートの隣室の母子と関わった事から全てが間違った方向へ・・・

全編に漂う暗さと、キスシーンをスローモーションで見せてしまうようなレトロ感のある演出。イメージは黒地にピンクでロゴ乗せちゃった「こーいう映画にこれありなの？」的な垢抜けて無さ感そのまま。センスがいいんだか悪いんだか私には判らない・・・しかしライアン・ゴスリングの抑えた表情と、展開は予想が付くけどそれでもどきどきさせられる演出はいい。何も起こっていない場面を写しながら、背後で起こっている事を想像させて手に汗握らせる演出は血圧上がって困った。

ライアン・ゴスリングは無口で見るからに人のよさそうな、ぬいぐるみのクマみたいな笑顔の大男。でもいろいろ複雑な過去がありそうな雰囲気。しゃべらないから抑え気味の表情で感情表現する、それがとても上手・・・で、無害に見えるだけに怒ったら怖い。可愛くて怖い。血まみれの鈍器を持って微笑むリラックマみたいな。

私は音楽は駄目だった・・・うるさかった。そして観客の誰かが盛大に泣いていた・・・