毛唐もすなるブログといふものを

日本男児もしてみむとてするなり

共謀罪(暫定版)

2005-10-17 00:00:00 | 人権・憲法・法律
※組織的な犯罪の共謀罪に関するQ&A《法務省HP》

※ 共謀罪法案 対象を絞って出し直せ《アサヒ》

※ 「共謀罪」審議入り/決して容認できない内容だ《河北新報》

※共謀罪/新設には徹底論議が必要《山陰中央新報》

法案作成にあたった法務省が「構成要件がわかりにくい」ことを認めているのだから出直すしかないでしょう。犯罪の構成要件は明確でなければならず、明確性を欠く刑事実体法は無効だからです(明確性の原則)。

役人は規制を作りたがるものです。例えば集団行進(デモ)にしても届出制を嫌い許可制にしたがります。一般的に禁止の網を掛けておいて個別的に解除する方法をとろうとするわけです。犯罪捜査にしてもなるべくフリーハンドをもちたいからこのような法案になってしまうのでしょう。

もっとも、このような法案を作成したことにつき多少同情する部分もあるにはあります。現在の刑法は明治時代に制定されたもので基本的には変更されていません。刑事訴訟法は戦後制定されて以来これまたほとんど変更されていません。時代とともに犯罪が高度化するのにそれに十分対応できていないわけです。それにも関わらず法の改正は遅々として進まず、こういう機会に一気にやってしまいたいという誘惑に駆られるのは多少理解できます。一般市民団体を装った過激派集団をこの法律で一網打尽にしたいという気持ちもわかります。そういう連中を狙ったかたちの刑事法の改正はほとんど不可能なので、一般的な形で目くらましをさせようというわけです。日本人は市民団体に甘いので市民団体狙い撃ち的な法案は通りにくいので、より一般的なかたちにした面があるのではないでしょうか。

例えば、この法案を使って、扶桑社の教科書採択に対する嫌がらせを押さえ込み、公平な採択を確保することができるかもしれません。そういう点だけ見れば確かにこの法案は魅力的です。しかし強力な法案は副作用の危険もまた大きいわけです。国家権力にフリーハンドを与えることになりかねない法案はやはりダメです。

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