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す ず な り

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桃の流れる音

2007-06-14 06:18:24 | 言葉と過去
子どもの頃に聞いたか読んだ「桃太郎」のお話で、桃は何といって流れたでしょう。何年も前のいつだったかそういう話題が出て意外に意見が分かれました。

「どんぶらこ、どんぶらこ、でしょ。」
「違うよ、どんぶらこっこ、すっこっこ、だよ。」
「ええー、そんなの聞いたことなーい」

確かに「すっこっこ」は今時まず耳にしません。

私の父は桃太郎のお話をする時、「どんぶらがっさいぎっこっこ、どんぶらがっさいぎっこっこ」と言っていました。4分の4拍子で、最初の付点4分音符の「どん」に16分二つの「ぶら」以外は等間隔です。リズムはともかく「どんぶら」までは桃の流れるオーセンティックな音のようですが、そこから先が色々分かれるところ。「がっさい」というのはあまりここらでは思い当たらないけれど、おそらく「が」は格助詞、「っさい」の部分は標準語では「ね」や「さ」に相当する福岡の南方・柳川の間投助詞ではないかと思われますが確信できていません。「ぎっこっこ」は「すっこっこ」の変形だと考えるとすると「すっこっこ」が古いということになります。しかし「ぎっこっこ」は舟のイメージです。

私が小さい頃に読んだ童話の本は母のお下がりの昭和一桁のもので、きつとこれなら本物だらうと当時見てみたら、「どんぶらこつこ、すつこつこ」と書かれてゐました。

「どんぶら」は水に飛び込んだ瞬間の音で、「こっこ」は完全な球形であればきっと鳴らない、窪みに空気が入ってこその音に思えますがどうでしょう。しかしそうしょっちゅう鳴るわけでもなさそうです。波がよほど激しいのでないとどんぶらと何度も飛び込むはずもありませんが流れが激しいならどんぶらなんてかき消されることでしょう。

「どんぶらこっこ、すっこっこ」とは擬音語に由来する擬態語だったのでしょうか。あるいは朝鮮やシルクロード上に語源を探すべきか。思わぬ意味があるかも知れません。意外と南洋に起源を持つ言葉は多いらしいし。お話は海洋民族のにおいがしないわけでもなく。水上を流れてくる人というとモーセやえびす様も連想されますから起源を考えると何でもかんでも繋がってしまい、大変そうです。

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