佐賀県の唐津線を訪れたのは1973(昭和48)年の7月だった。
この頃は西唐津機関区に10両の9600が配置されていて、唐津線、佐賀線の貨客列車に最後の活躍を見せていた。
門デフのカマが多く、廃止も間近いというのに、よく磨かれた美しい姿が印象的だった。
見せ場は何といっても多久~厳木間の峠越えだった。
早朝から撮影するため、前夜の最終列車で多久に入った。同好者たちが、ぞろぞろと気動車から降りる。
駅長さんが親切な方で、なかなか広いホームの待合室で宿泊することができた。
早朝目覚めると、撮影地の峠目指して歩き出す。
ここで驚いたのが商店街を抜けるまで、いたるところにツバメの巣があったことだ。
佐賀県で思い出すのは、9600と共に、この多久のツバメだ。
地図だとこの辺でしょうか。地図を見て笹原峠越えだったのをおもい出しました。
厳木は(きゅうらぎ)と読みます。当時のSLファンにはなじみの駅名ですが、なかなかの難読駅ですね。
真夏の暑い日だった。麦藁帽子にジリジリと夏の太陽が照りつけた。
ポリタンクの水もすぐになくなってしまった。
首に巻いたタオルで汗を拭きながら、汽車を待つ。
このアングルで何時間待っただろう。
4~5歳年上の大学生のお兄さんと、ずっと汽車談義をしていた記憶がある。
その後北海道でばったり会って「あっあの時笹原峠で・・」
という事もありました。
撮影 1973(昭和48)年 唐津線 多久~厳木 (佐賀県)
あまり見かけない貨車が大きく写っていたので貼っておきます。一番上の写真の続きです。
ツムという記号の貨車で、「通風車」の略のようです。
野菜などの運搬用で、風通しを良くする為にこういう形になっているそうです。
側面だけでなく、連結面もこうなってたんですね。
2両目も何か妙にツルっとした側面の怪しい貨車のようですが、チョークかペンキで西唐津と書いてありますね。
このような様々な貨車が連結された貨物列車も、遠い昔話になろうとは思いませんでした、