現代アート道楽の日々。

首都圏の展覧会の感想など。しばしば遠征。【不定期更新】

アフリカ・リミックス@森美術館

2006-06-09 | アート感想@関東
会社帰りに六本木の森美術館へ。22時まで開館しているのが嬉しい(火曜は17時まで)。

アフリカ・リミックス 多様化するアフリカの現代美術

アフリカ大陸全土にわたる25カ国・84名の作家による約140の作品で構成された展覧会。でも、私が名前を知っていたのはウィリアム・ケントリッジぐらい(知らなさ過ぎ?)。展望台目当てのお客さんが多い森美術館で、ここまでマニアックな展覧会を企画したのには唖然。以下、気に入った作品をいくつか。

モアタズ・ナスルの《タブラ》は、「空の容器がいちばんうるさい音をたてる」というインドの諺にインスピレーションを得た映像作品。画面には美しい外皮をまとった「タブラ」(足に挟んで叩く太鼓)が映り、リズムを刻みはじめると、画面の前に並んだ多数の地味なタブラが画面に呼応するかのようにリズムを刻む。人間社会の縮図を思わせる作品。

エメ・ンタティカの《マグリット》は、タイトルどおりマグリット風の写真作品。一目瞭然で分かりやすい。

ハッサン・ムサの《グレート・アメリカン・ヌード》は、トム・ウェッセルマンの有名なシリーズからタイトルを引用し、ブーシェの官能的な作品から構図を引用した作品。これだけだと単なるヌードだけど、モデルの人物が……これはインパクト大!

イングリッド・ムワンギの《不動の漂流》は、日焼けの跡で国の形を表現した写真作品。一方はドイツの形に肌が焼けていて“BURN OUT COUNTRY”との文字が、もう一方はアフリカ大陸が白抜きになっていて“BRIGHT DARK COUNTRY”との文字が書かれている。なかなか考えさせる作品だった。

ウィリアム・ケントリッジの《パリの次に素晴らしい都市、ヨハネスブルグ》は、約8分の木炭画アニメーション。この作家の作品は悲しみがじわ~っと伝わってくるものが多いけど、今回の作品はわりとストレートなメッセージ性がある作品だった。

森美術館にて、8月31日まで(会期中無休)。