ずって見逃し続けてきたレントを1ヶ月くらい前の部活前に観た。銀座で。もちろん1人で。冬にNYで意外と時間がなくて舞台も映画も見逃してしまって。先走ってサントラだけ買って聴き込んでた。日本公開をどれだけ待ち焦がれていたか!しかも5年前くらいから観たくて仕方なかった舞台で。
なんでずっと観ていなかったか。
それは怖かったから。
自分が作品のテーマを受け入れられる自信がなかった。ドラッグ、エイズ、同性愛などなど自分とはあまりに縁遠い話だし、正直、偏見を持っていたのだと思う。
でも、それはなくなった。
なんでだかわからないけど。たぶん、自分は幼少のころマイノリティーとして過ごし、日本に帰国してからも人と同じを好まず、何かと浮いてることをしていたと思う。自分は人とは違うというエゴが自分は偏見の目で見られているという間違った考えを引き起こし、さらには自分の中にも偏見を生み出していた。そんな気がする。
去年、エイズに関するの勉強を留学中にした。たくさんの論文を読んだし、患者の心理的な面での本もたくさん読んだ。そして、関心を持った。だからといって、この作品が受け入れられたわけじゃないし、観たいと思ったわけじゃない。ただ、何度かNYの地を歩いているうちに自然と、観たいという気持ちにさせられたのだ。
自分分はキレイなNYCの街しか知らないけど、他人種とかゲイとかエイズとか偏見の対象になりそうな人達を受け入れ、人として愛し合う場所があることを再認識した。
今、病んでいる自分が観て正直、良かったと思う。病んでいるときに、医師になりたくないと強く思っているときに、新しいテーマを与えてくれた。医師をちゃんと目指そうと思わせてくれた。エイズ専門医という分野で。そういう意味でも自分を救ってくれたような作品だ。
さて、内容はこんな感じ。
今から役30年前のNY、Eastvillege。
AIDS、DRUG、GAY、life+deathが交錯しながら
“Bohemeans”(芸術家)たちの生きていく姿を描いた作品。
この作品はブロードウェイに進出して今年で10年目を迎える。
この作品がどうして自分をここまで惹きつけたのか、多くの人を惹きつけたのか考えてみた。
●New York City
「ニューヨーク」という都市名から浮かび上がるのはなんですか?摩天楼?5番外?自由の女神?そう、自分には「9.11」しか思い浮かばない。街中を平気に歩いてるけれど、正直「危険」な香りはする。殺伐とした地区もあるし、キラキラしてる場所なんて一部しかない。この「危険」なイメージから犯罪、ドラッグ、などといった「怖い」感覚はもちろんあるが、
「近づけない都市」として「未知なる部分」はまだまだある。
そしてもちろん、世界最先端の都市であると同時に、マンハッタン中心部から少し離れればゴスペルやジャズなどの音楽、そして私たちがまだまだ知らない「芸術的な」匂いがプンプンする。
「怖さ」、「憧れ」、「未知」。
そんな都市ニューヨークのコテンコテンな地区が舞台となっている時点で、
人々をひきつけるのではないだろうか
安易かもしれないけど、これはすごく大きな要素だと思う。
私はニューヨークに特別な憧れを持っているからなのかもしれないけど
●メッセージ性の強さ
同性愛、エイズ、ドラッグ、そして生と死。
もがきながらも必死に、そして純粋に生きる意味を考えるこのミュージカルの歌のメロディと歌詞は、あまりにもメッセージ性が強い。
心に残らない曲がない。心に残らない歌詞がない。いい意味で、一つ一つの曲がものすごく重い。
●Jonathan Larson
「RENT」の台本、作曲、作詞を手がけた人です。
ニューヨークへ上京後、狭いアパートで生活を始める。
彼の生活は、ジプシーそのもの。バスタブがキッチンと同じ部屋にあるほど狭い部屋で、街にはアーティスト、移住者、ドラッグ常用者、ヒッピーが集まっていて、彼らと共に生活を分かち合っていた。友人が集まるパーティへ顔を出すたび、彼は、「自分は今のミュージカル界を変えてみせる。そして、若い人たちが興味を持つような90年代のロック・オペラを作るんだ。」
と情熱的に語っていたそうだ。しかし、誰ひとりとしてその言葉にうなずく人はいなかったという。
プッチーニのオペラ“ラ・ボーエム”を元に、自分の生活を投影させ、ゴスペル、リズム&ブルース、ハード・ロック、バラード、タンゴetc.とバラエティに富み、場所はイースト・ヴィレッジを舞台に、彼は見事な「ロック・オペラ」を作り上げた。
そんな彼は、オフ・ブロードウェイ上演初日の前夜に、急病で亡くなってしまった。たった3ヶ月でブロードウェイに進出したことも、10年目を迎えても未だに大ヒット、ロングランになっていることも、そしてほぼオリジナルキャストで映画化されたことも彼は知ることなく、そして後に受賞される数多くの賞を手に取ることなく、この世を去ってしまった。
これはDVDのDISC2を観て知りました。
この事実が「RENT」をさらに“伝説”的なものにしているのではないか。
エンドロールも全て終わった後、
“Thank you, Jonathan Larson.”
というメッセージが出る。
まさしくそのとおりだ。thanks Jonaythan!
もとになったプチーにのオペラも観たい。
時間があれば、また映画館に足を運びたい。来週にでも行こうかな。