フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

魔の23階段

2006年02月16日 15時15分41秒 | 第12章 逡巡編
ハルナの家の前に車を横付けしたが、彼女は車から下りるのを渋った。

「カズト、やっぱり違う日にした方が・・・・・・」

心配するハルナに軽くキスをして「大丈夫だよ」と笑った。

ハルナの家の隣りにあるオレの家の車庫に車を入れると、雨の中、ハルナの肩を抱いて小走りで彼女の家へと向かった。

チャイムを押すと中からいきなりおじさんが出てきた。
大丈夫とは言ったものの、さすがにこれには固まった。

「お久し振りです・・・・・・」
「やぁ、カズト君。随分大きくなったね」
おじさんの思いも掛けない笑顔のお蔭で、安堵に胸を撫で下ろした。

「ここで立ち話もなんだから、入りなさい」
「・・・・・・失礼します」
ハルナはやはり不安そうにオレの方をちらちらと見ていた。

「大丈夫だって」と小声でウィンクすると、「もう!」と呟きながら笑った。

靴を脱いでリビングに行こうとしたところでおじさんが、
「カズト君、ちょっと、2階の私の書斎に来て貰えるかな」と階段を指差した。
「はい・・・・・・」

また、不安そうな目をしているハルナと目が合った。

おじさんの後について彼女が一緒に2階へ上がろうとしたところでおじさんが振り返った。
「男同士の話しだから、お前は席を外しなさい」
「でも・・・・・・」
ハルナは後に続くオレの方を、振り返り顔を曇らせた。
オレは黙って微笑んだ。

ハルナはしぶしぶオレの横を摺り抜けると、「ごめんね」と呟いて階下へと向かった。

再び、オレが手摺に手を掛け上を見上げると、おじさんの顔からは笑顔が消えていた。

オレは息を呑み、永遠に着かないだろうと思われる位、長い長い魔の23階段を一歩ずつ踏みしめて上って行った。



↑「いま、会いにゆきます」で有名な♪アルファポリスです

↑私のお薦めのブログ、探してみてね♪
にほんブログ村 小説ポエムブログへ

忍者TOOLS


最新の画像もっと見る