フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

すれ違う想い

2006年01月22日 12時43分49秒 | 第11章 飛翔編
私はかずにぃの運転する車に乗り込んでからもちょっぴり口を尖らせていた。
「人前でキスするなんて・・・・・・」
「だから、ごめんって」
笑いながら謝罪するかずにぃに、やっぱりムッとしてしまった。
さすがのかずにぃもやり過ぎたと反省したらしく、声のトーンを落として、私の顔を覗き込んだ。
「篤史がお前を狙ってたからさ、ちょっと、焦って。ごめんな?」
「もうっ!男の人達って、どうして平気で人前でキスなんて出来るの?かずにぃと言い、ト・・・・」
トオル君と、言い掛けて慌てて口を塞いだ。

急にかずにぃの顔からすっと無邪気な笑みが消えていた。

「この間は悪かったよ。お前が泣きながらオレにしがみつくから、つい・・・・・・」

私はどきっとして息を呑んだ。
「オレを求めるはず、ないのにな。・・・・・・そんなにあいつ、良かった?」
「え?!」

私はかずにぃの質問を理解しかねていた。
「あいつが相手だったら、お前あんなに嬉しそうに抱かれるんだよな?」

私は、思わずかずにぃの頬を打っていた。
「してない!・・・・・・かずにぃとのことが恐くて、私・・・・・・」

まずいと言う予感が脳裏をかすめた。
喉がヒューヒューと鳴り始め、体の中に嵐が宿り始めた。

「へぇ・・・・・・。紳士的なトオル君は、嫌がるお前を無理矢理やっちまった俺のような鬼畜とは違うってか?」
「ち、が・・・う。かずにぃ、ごめっ。車、止めて」

かずにぃは私の異変に気付くと、「おい!?どうした」と声を掛け、息が苦しそうな私と前方を代わる代わる見ながら車を路肩に寄せた。

「何だよ、どうしたんだよ」
「だい、じょぶ。ただのカコキュー」
「大丈夫じゃないだろ!」

かずにぃの問いには答えず、この間の要領で呼吸を整えようと頑張った。
「紙袋・・・・・・」
それだけ聞くと、かずにぃは急いでバッグや車の中を探り始めた。
「くっそ!車出すぞ。頑張れるか?」
私は頷きながらも、かずにぃの肩に手を置いた。
「びょーいん、・・・い・・・かない」
「何言ってんだよ!苦しそうじゃねーか」
「ガンバル」
「病院に戻るぞ」
私は強く頭を振った。

「ガンバル。だから・・・・・・」
「分かったよ。・・・・・・とりあえずマンションに戻るぞ。いいな?」
かずにぃは急いでハンドルを切ると来た道を戻り始めた。




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