まさか、これは夢だ。
だって、トオル君が私のことを好きだなんて、そんな都合の良いことありえないよ。
私は浴衣についた砂を払いながら、トオル君の声が聞こえなかったフリをしてヨロヨロと立ち上がった。
「車、遅いね」
「……好きだ」
トオル君は座ったまま私の手首を掴み、私を見上げるようにもう一度言った。
「うん、私もトオル君のこと好きだよ」
私は冗談にしてしまいたくて、そう答えたけど、トオル君は頭を横に振った。
「そう言う意味の『好き』じゃない」
真っ直ぐに、私を見つめるトオル君の目は真剣だった。
私は覚悟を決めて、トオル君の横に座り直した。
「……私達、まだ2、3回しか会った事がないんだよ」
「…………」
「ちゃんと、話したのだって、この間が初めてなんだよ」
「……」
「なのに、どうして、好きだなんて……」
好きだなんて言い切れるの?
心臓が止まりそうで言葉が続かなかった。
「私達、出会ってまだ1ヶ月も経ってない」
そう言い掛けて、トオル君は言葉を遮った。
「それは違う」
「えっ?違うって」
「君は覚えていないかもしれないけど、僕達は2年位前に出会ってるよ。少なくとも僕は覚えてる」
「2年前?」
「次に見掛けた時、君は可愛い花のブーケと小さな紙袋を持って泣きながら走ってたね」
「え!?」
「あの時は、腰くらいまで髪があったかな」
私は驚いて立ち上がった。
トオル君も立ち上がって、私の瞳を見つめながら言った。
「翌日、君はばっさりと髪を切ってしまっていた。それから君は笑わなくなったね。」
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私は浴衣についた砂を払いながら、トオル君の声が聞こえなかったフリをしてヨロヨロと立ち上がった。
「車、遅いね」
「……好きだ」
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「うん、私もトオル君のこと好きだよ」
私は冗談にしてしまいたくて、そう答えたけど、トオル君は頭を横に振った。
「そう言う意味の『好き』じゃない」
真っ直ぐに、私を見つめるトオル君の目は真剣だった。
私は覚悟を決めて、トオル君の横に座り直した。
「……私達、まだ2、3回しか会った事がないんだよ」
「…………」
「ちゃんと、話したのだって、この間が初めてなんだよ」
「……」
「なのに、どうして、好きだなんて……」
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心臓が止まりそうで言葉が続かなかった。
「私達、出会ってまだ1ヶ月も経ってない」
そう言い掛けて、トオル君は言葉を遮った。
「それは違う」
「えっ?違うって」
「君は覚えていないかもしれないけど、僕達は2年位前に出会ってるよ。少なくとも僕は覚えてる」
「2年前?」
「次に見掛けた時、君は可愛い花のブーケと小さな紙袋を持って泣きながら走ってたね」
「え!?」
「あの時は、腰くらいまで髪があったかな」
私は驚いて立ち上がった。
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「翌日、君はばっさりと髪を切ってしまっていた。それから君は笑わなくなったね。」
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