皮肉と言えば皮肉な巡り合わせだ。
オレがハルナへの想いに気付いた時、ハルナはオレへの思いを断ち切ろうとしていたことになる。
そう言えば、2年前の誕生日―――――
ハルナは来なかった。
あの時、ハルナがオレと小谷のことを見ていたとすれば、あいつがその日来なかった事、その後髪を切ったことも、なんとなくだが、辻褄が合うような気がした。
結局、オレは小谷を抱かなかった。
抱けなかったんだ。
危うくまた同じ過ちを犯すところだった。
好きな女じゃないと抱けない。
一度でいい。
心から好きな女を……、ハルナを抱きたいと自覚した。
だけど、ヤツはまだ中学生だ。
それに、今のハンパなオレはハルナに相応しくない。
気持ちにずっと封印しよう、いい兄貴でいようと思った。
それから暫く、隣りに住んでいながらオレとハルナは会うことが無かった。
オレは猛烈に遅れを取り戻すべく勉強を始めたし、ハルナはハルナで東京の中学に通うための、編入試験の勉強を始めたからでもあった。
あれから、オレはチビハルナの初七日に行った帰りに矢部先生の部屋を訪ねた。
矢部先生はチビハルナの書いた本を一冊オレに手渡してくれた。
チビが書いた沢山の花の絵や、この世から病気が無くなるように願った作文や、学校に行きたいと将来の希望が綴られた本だった。
チビが渡米した際に贈られた手術のための募金の殆どが残ってしまったと聞いた。
その大半が、チビハルナと同じように、外国へ行って治療をしなくてはならない子供への資金へと充てられたが、一部は、チビハルナの希望もあり、世界の貧しい国で勉強をしたい子供達への基金へと充てられていた。
オレは、医者になろうと決意していた。
チビハルナみたいな子供を1人でも救いたくて医者になろうと真剣に考え始めていた。
これがオレが足を骨折して、この病院に入院して、チビハルナに出会った運命の必然だ。
そう思った。
ようやくオレはフワフワとした体が地面に着地する感覚を覚えた。
オレは一生懸命生きて、もう決して自分を見失ったりしないとチビハルナに誓った。
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オレがハルナへの想いに気付いた時、ハルナはオレへの思いを断ち切ろうとしていたことになる。
そう言えば、2年前の誕生日―――――
ハルナは来なかった。
あの時、ハルナがオレと小谷のことを見ていたとすれば、あいつがその日来なかった事、その後髪を切ったことも、なんとなくだが、辻褄が合うような気がした。
結局、オレは小谷を抱かなかった。
抱けなかったんだ。
危うくまた同じ過ちを犯すところだった。
好きな女じゃないと抱けない。
一度でいい。
心から好きな女を……、ハルナを抱きたいと自覚した。
だけど、ヤツはまだ中学生だ。
それに、今のハンパなオレはハルナに相応しくない。
気持ちにずっと封印しよう、いい兄貴でいようと思った。
それから暫く、隣りに住んでいながらオレとハルナは会うことが無かった。
オレは猛烈に遅れを取り戻すべく勉強を始めたし、ハルナはハルナで東京の中学に通うための、編入試験の勉強を始めたからでもあった。
あれから、オレはチビハルナの初七日に行った帰りに矢部先生の部屋を訪ねた。
矢部先生はチビハルナの書いた本を一冊オレに手渡してくれた。
チビが書いた沢山の花の絵や、この世から病気が無くなるように願った作文や、学校に行きたいと将来の希望が綴られた本だった。
チビが渡米した際に贈られた手術のための募金の殆どが残ってしまったと聞いた。
その大半が、チビハルナと同じように、外国へ行って治療をしなくてはならない子供への資金へと充てられたが、一部は、チビハルナの希望もあり、世界の貧しい国で勉強をしたい子供達への基金へと充てられていた。
オレは、医者になろうと決意していた。
チビハルナみたいな子供を1人でも救いたくて医者になろうと真剣に考え始めていた。
これがオレが足を骨折して、この病院に入院して、チビハルナに出会った運命の必然だ。
そう思った。
ようやくオレはフワフワとした体が地面に着地する感覚を覚えた。
オレは一生懸命生きて、もう決して自分を見失ったりしないとチビハルナに誓った。
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