フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

抱きしめる腕

2005年11月04日 21時38分44秒 | 第6章 恋愛聖夜編~ハルナの章~
「2年前?私が・・・見た??」
私はかずにぃの質問の意味が図りかねて狼狽した。

「だから、2年前の俺の・・・」
そう言い掛けて、私と目が合うと、
「え?!違うのか?」と、言った。
「・・・何が?!何が違うの?」
かずにぃは暫く考え込むと、徐に、
「まぁ、いーや。考え違いなら、それで。
だけど、お前、何であんなに長くてキレイな髪を突然切ったんだよ」
と、いきなり核心に触れてきた。

「・・・言いたくない」
私は、上目遣いにかずにぃを睨むと、口をつぐんだ。
そして、
「私、宿題があるから今日はこれで・・・」
と、かずにぃに背を向けて、リビングを出ようと急いだ。

「待てよ!」
かずにぃのいつになく強い口調に足が止まってしまった。

振り向くと、かずにぃがソファからゆっくりと立ち上がり、私の方に歩み寄って来るのが見えた。


―――今度こそ、本当に抱く―――

あの夜のかずにぃの言葉が脳裏に蘇ってきた。


・・・怖い。
「来ないで!いや!」
かずにぃは暴れる私の手首を掴むと、ふわりとその胸の中に包み込んだ。

「この間は悪かったよ。つい、かっとして、ひどいことをした。ごめんな」
予想しなかったかずにぃの態度に私は驚いて顔を上げた。
「頼むからさ、警戒すんなよ。そんな風に頑な態度取られると、へこむし・・・」

かずにぃは、独り言を言うみたいに言葉を続けた。

「正直、この状況はラッキーだし、出来ることなら、今すぐに、抱きたいと思うよ」

かずにぃは、軽く喉を詰まらせながら、
「だけど、このまんまやっちゃったら、まるっきし、犯罪者みたいじゃん、オレ」
と、言った。
「レイブしたいわけじゃないんだ。ただ、お前の気持ちごと抱きたいだけだ」


私はかずにぃの目をじっと見つめた。
「ハルナはもう、オレのこと嫌いに・・・なった?」
私は頭を横に振った。

「オレが・・・怖い?」
私はちょっと頭を縦に振った。

かずにぃは深いため息を一つつくと、黙ったまま私を抱きしめる腕に力を込めた。



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