バンザイ

本(絵本も)を中心に、息子たちとのくらしをつれづれなるままに。ウレシカッタコト、ハッケンを。

にいにと読んだ『あな』を読み、思う。

2005-10-24 17:12:30 | 絵本
図書館で偶然見つけた本
『あな』です。

あな

福音館書店

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表紙の和田さんの絵が気に入り、借りてきました。
アマゾンさんには、この本の画像がないのが残念です。

和田誠さんの絵は、前から大好きです。
とっても、癒されるんですよね。

作者は、谷川俊太郎さん。
私は、谷川さんだと知ると、さて心してかからなければならない。
と、思ってしまう癖があります。
なぜかって?
たぶん、小学校の国語の教科書で初めて出会ったからだと思います。
好きな作品でも、
授業の中で、ここは・・・。とか言われてしまうと、
わたしは。。。と、思うことが多く、でも、そうなんだ。
って、思うことにすると、なんだかわからなくなった覚えがあります。

話がそれました。
というわけで、心してかかりそうになったのですが、
息子と一緒だし、
気軽読んでみました。

本の開き方が面白いんです。
穴を掘っていく話なんで、地下を大きく表現しなくてはならない。
だから、ページは、下から上にめっくていく方式です。
にいには、これが気に入ったようです。

お話は、ひろしがあさなにもすることがないから、あなを掘りはじめるところからです。
いろんな見物客が現れるが、
だれにも手伝ってもらわず、
ひたすら、掘り続ける。
そして、自分の背丈以上のあながほれた頃、
いもむしが穴のそこからはいだしくる。
ふっと力が抜け、穴を掘るのを止め、
座り込む。
そして、
「ぼくのあなだ」とつくづく実感している様子。
穴からみるそらはいつもより違うと感じる。
また、掘れた穴を見物客があらわれ、次々と何かを言っていく。
しばらくして、穴からあがり、覗き込む。
そして、またもとのように戻す。

といった、お話。
にいには、
ひろしくんが、
観客がいろいろと言ったことについて、
「さあね」
「まあね」
と、答えるのが気に入った様子。
いもむしが掘った道も気に入ったらしい。
最後、穴を埋めて終わったのも、
良かったようだ。
でも、それ以上のことは、何も言わない。

確かに、奥深い絵本だった。
何もすることがなく、穴を掘り、
その穴で何かを思い、
穴から這い上がり、自分の穴を見つめ、
そして、穴を埋める。

こんな風に、自分も時には、じっくり何かを忘れ、
熱中し、そして、それについて考え、
また、違う視点で見つめ返す。
ということが必要な気がする。
なんとなく、これで良いのか良くわからないと、
思っているこのごろの私には、
奥深いものを感じた。