【北京】中国重慶市トップを解任された薄熙来氏の妻で、英国人実業家ニール・ヘイウッド氏を殺害した罪に問われている谷開来被告の裁判が先週始まったが、ヘイウッド氏の友人らは中国の検察当局が行った陳述に疑問を抱いている。同氏がなぜ、そしてどのように殺害されたのかに関する説明、とりわけ同氏が薄・谷両氏の息子である薄瓜瓜氏を脅したとの主張についてだ。
また友人らは、裁判で検察が行ったとされる時系列的な説明の主要部分についても異議を唱えた。
谷被告と一家の使用人は昨年11月、重慶市でヘイウッド氏を殺害したとされている。
専門家や外交官らは、谷被告の裁判は中国共産党指導部がヘイウッド氏の殺害事件について公式見解を示す初の場であり、同党にとって過去30年間で最大の政治危機の幕引きへの重要な一歩だと指摘する。
その一方で専門家や外交官らは、公式説明に矛盾、曖昧さ、それに欠落があると指摘、同党が薄氏の処遇について発表していない段階で行われた裁判手続きの信頼性が損なわれる恐れが出ていると述べる。
谷被告と使用人は先週の公判で起訴内容を認め、裁判所は後日判決を下すことになっている。ヘイウッド氏の家族は、直接のコメントも弁護士を通じたコメントも出すのを控えた。
しかしヘイウッド氏の友人らは、同氏が薄瓜瓜氏の身の安全を脅かし、仕事上のトラブルから瓜瓜氏を英国の自宅に監禁したこともあったという検察の主張に疑問を呈した。ヘイウッド氏の親友の1人はウォール・ストリート・ジャーナルに対し、「ニール(ヘイウッド氏)が薄瓜瓜氏の身の安全を脅かしたという説明には驚いた」と述べた。この親友は「ニールは長年にわたって瓜瓜氏の良き友人で、英国留学中は瓜瓜氏のメンターだった。仕事上でどんな問題が生じたとしても、優しいおじさんのような存在であり続けただろう」と話した。
薄瓜瓜氏は裁判に関するコメントを控えており、同氏とヘイウッド氏とのつながりに関する質問への回答も繰り返し拒否している。瓜瓜氏の友人によると、同氏は5月にハーバード大学を卒業し、現在米国にいるという。
英国政府も判決がまだ出ていないことを理由にコメントを拒否した。同国政府は裁判の傍聴のために2人の外交官を派遣している。
しかし、アナリストは裁判における公式な説明に関して疑問が生じていることが、英国政府が公式な見解を示すのを一層困難にしているとみられると指摘する。同国のヘイグ外相は4月に政治介入のない徹底的な調査を要求している。
裁判の傍聴者によると、検察はヘイウッド氏が重慶の不動産に関わる取引で約束された1300万ポンド(約16億円)の支払いを要求していたとした。取引は不首尾に終わったものだったという。
検察はヘイウッド氏が薄瓜瓜氏を繰り返し脅し、英国の自宅に監禁したこともあったと主張したが、具体的な場所は明らかにしなかった。検察は、瓜瓜氏が母親の谷氏に電話して「誘拐された」と伝えると、谷氏は激しく動揺し、ヘイウッド氏の殺害を決めたと主張した。ヘイウッド氏の友人はヘイウッド氏が行ったとされるこの行動について、「全くニールらしくない」と話し、同氏が「もともと他人を脅すような男ではない」と語った。
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