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<東電女性社員殺害>マイナリ受刑者の再審決定 東京高裁

2012-06-07 12:20:33 | 事件

<東電女性社員殺害>マイナリ受刑者の再審決定 東京高裁

毎日新聞 6月7日(木)10時6分配信

 
 
東電女性社員殺害事件の再審が決定し、喜ぶマイナリ元被告の妻のラダさん(中央)、長女のミティラさん(右から2人目)、次女のエリサさん(中央左)=東京高裁前で2012年6月7日午前10時4分、矢頭智剛撮影

 97年の東京電力女性社員殺害事件で、東京高裁は7日、強盗殺人罪で無期懲役が確定したネパール国籍のゴビンダ・プラサド・マイナリ受刑者(45)の再審請求を認め、再審を開始するとともに同日付で刑の執行を停止する決定を出した。最大の焦点だった新たなDNA型鑑定の結果について、小川正持裁判長は「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠」と評価。その上で「受刑者以外の男が被害女性と性的関係を持った後に殺害した疑いを生じさせている」と指摘し、有罪の確定判決を強く疑問視した。

【これまでの経緯、1、2審判決の判断など事件を詳しく知る】

 執行停止決定によりマイナリ元被告の釈放手続きが始まるため、検察側は7日中に異議を申し立てる方針。

 再審請求審で昨年行われたDNA型鑑定で、被害女性の体内から採取された精液の型が、殺害現場に残っていた元被告とは別の男性(弁護側主張の「第三者」)の体毛の型と一致。追加的に行われた鑑定でも被害女性の胸部や下半身などから「第三者」の型が検出され、被害者のコートに付着した血痕からも「第三者」とみられる型が検出された。

 高裁決定は精液と体毛の型の一致から「被害女性が最後に性的関係を持ったのは『第三者』」との弁護側主張を認めた上で、血痕部分の鑑定結果に着目。「性的関係を持った後に被害女性を殴打して出血させ、その血液に「第三者」の手の表皮も混じった可能性を否定できない。鑑定結果は相互にその可能性を高めあっている」とした。

 検察側は「被害女性が『第三者』と現場以外で性的関係を持ち、付着した体毛が部屋に落ちた可能性がある」と反論したが、決定は「可能性は否定できないが、現場の部屋で性交したと考える方が自然で、検察側の考え方は合理的とまでは言えない」と退けた。

 元被告は逮捕から一貫して関与を否定。公判では現場の部屋のトイレにあった元被告の精液が入った避妊具が捨てられた時期や、部屋の鍵の管理など状況証拠の評価が争われた。1審・東京地裁は別人物の体毛の存在などから「別人物が部屋にいた可能性を払拭(ふっしょく)できない」として無罪としたが、2審・東京高裁は「別人物が被害女性と部屋に入る可能性はおよそ考えがたい」として、逆転有罪とした。元被告は05年3月、再審請求した。

 検察が異議を申し立てれば、今回決定を出した裁判官3人とは別の東京高裁の裁判官3人が審理(異議審)を担当する。【和田武士、鈴木一生、山本将克】

 ◇東京高裁決定骨子

・再審を開始する

・無期懲役刑の執行を停止する

・「第三者」の男が現場で被害者と性的関係を持ち、その後殺害して現金を奪ったとの疑いを否定できない

・新証拠(「第三者」の存在を示唆するDNA型鑑定結果)は「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」に当たる

 【ことば】東電女性社員殺害事件

 97年3月19日、東京都渋谷区のアパート空き室で東京電力女性社員(当時39歳)が遺体で見つかった事件。顔見知りで隣のビルに住むネパール国籍の元飲食店従業員、ゴビンダ・プラサド・マイナリ元被告が強盗殺人罪に問われた。直接証拠に乏しく1審・東京地裁は無罪としたが、2審・東京高裁は元被告が同月9日午前0時ごろ女性と性的関係を持った後に殺害して現金約4万円を奪ったと認定し、1審を破棄して無期懲役とした。03年に最高裁で確定した。

最終更新:6月7日(木)12時13分



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