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<リベリア>元大統領有罪…シエラレオネ介入 国際戦犯法廷

2012-04-27 08:27:46 | 政治、法律など

毎日新聞 4月26日(木)21時28分配信

 【ヨハネスブルク服部正法、ブリュッセル斎藤義彦】オランダ・ハーグのシエラレオネ国際戦犯法廷は26日、5万人以上が死亡したシエラレオネ内戦(1991~2002年)に介入した隣国リベリアのチャールズ・テーラー元大統領(64)に有罪判決を言い渡した。内戦で反政府勢力を支援し、殺人や強姦(ごうかん)、手足の切断などを指示したとして戦争犯罪、人道に対する罪に問われていた。国連の特別法廷が国家元首経験者に判決を言い渡したのは初めて。

 量刑は後日言い渡される。元大統領は罪を否認しており、控訴する見通し。起訴状によると、元大統領は隣国シエラレオネの反政府勢力「革命統一戦線」(RUF)を指揮し、略奪、誘拐、少年兵の徴用などを行い、人道に対する罪を犯した。RUFが資金源としたダイヤモンドと引き換えに武器を提供した。

 元大統領は97年にリベリア大統領に選出されたが、03年に失脚し、ナイジェリアに亡命。06年に逮捕され、ハーグに移送された。審理は一時中断をはさんで07年から続いていた。

 アフリカでは権力者が軍や私兵集団を使って私利私欲をむさぼる一方で、民衆に圧政を敷き、権力に近い者たちが反対勢力や市民を殺害する例が散見されてきた。元大統領への有罪判決はアフリカの指導者らに警告を発するもので、権力の腐敗と暴力の犠牲になってきた市民が勇気づけられる内容と言える。国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ていながら逃亡中のバシル・スーダン大統領への圧力にもなりそうだ。

 一方、クーデターや紛争、内戦が散見されるとはいえ、アフリカの多くの国が混乱を乗り越えつつあるのも事実だ。今世紀に入って多党制の定着や政権交代も徐々に進んできた。政情安定は資源開発や市場の活性化につながり、アフリカは今、経済成長が著しい。

 そのような状況下、アフリカでは、シエラレオネ法廷を恒久化した形ともいえるICCのあり方を問題視する動きも出ている。ICCが現在訴追している20人強は全員アフリカ人。最近では、ケニアで次期大統領選候補と目される2人の有力政治家が訴追された。

 アフリカ問題専門の英誌「ニュー・アフリカン」は先月号で「ICCは、アフリカ再植民地化のツールなのか?」との見出しの記事を掲載した。欧米主導と見られがちなICCによる「問題解決」は今後も議論を呼ぶことになりそうだ。

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