挑戦!シナリオライター(映画・ドラマ)

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血の婚礼と宮菜穂子さんと文化の違い

2006-08-17 22:37:08 | ドラマ・映画
読売新聞の劇評も朝日同様好意的でかつ、特筆
すべきはとわざわざ宮菜穂子さんの名前を出し
てたことです。
ちょっとうれしい話です。インターネットの8/
16付け読売新聞劇評でも読めます。

さて、この「血の婚礼」(tptベニサンピット、
都営新宿線森下下車A2出口)は書籍としては絶
版で読もうとすると図書館にでもいかなけれ
ば読めないものです。

そして、日本とスペインの文化の違いも背景に
あることを考えなければいけませんが、この舞
台ではスペインを説明するシーンが無いのが観
客の感情移入を妨げています。

スペイン=太陽、情熱、神秘と語られるようです
が、素人観客はすぐにそんな事は連想できません。

ということで、この舞台ようやく一つ私としても
繋がりました。

月と悪魔が出てきたり、突然しとやかな花嫁が激
しく踊りだしたりと普通に見ていると違和感が出
るのですが、スペイン文化を前提にしてシーンを
見るとああそういうこととなってきます。

そう考えると、この舞台シーンが最初に足りない
舞台と個人的には考えます。小劇場好きで古典が
大好きな人だけが見る舞台を想定した舞台には見
えないので、その意味でもシーンが3つは足りな
いです。

私なら最初に主役を登場させる前に街中で陽気に
フラメンコと分かる踊りの村人たちを登場させ、
言い争う花婿とその母のシーンに繋げます。
少なくともこれで観客は舞台はスペインくらい気
づくでしょう。

そうするとレオナルドの花嫁に対する炎のような
気持ちや花婿に対する宮菜穂子さんの固い顔、レ
オナルドに対する表情の違い、花婿の母親のうる
ささ、不思議な雰囲気の月、悪魔などの脇が何の
ために出てくるか、いや、出て来ても不思議に思
わず舞台に集中できると思います。

新聞の劇評では好評でも、プロの評論家や良く芝
居を見る人たちから不評なのは「文化の違い」を
観客に意識させるシーンを作らなかったことにあ
ります。

翻訳ものとわかっていても、日本人は日本的な感
覚で舞台は見ます。
何しろ日本語で上演するのですから。
演出、脚本で良く間違うのは翻訳ものを上演する
際に文化の違いを観客に意識させるシーンを作り
忘れることにあります。
日本語で話されると下意識では、日本人は日本文
化で舞台を見ます。

この舞台が、評論家や舞台好きから不評なのは、
この不親切な作りにあるといえます。
今から直せるとすると最初にフラメンコで楽しげ
に村人が踊るシーンでしょうか。
ちょっと作って欲しいシーンです。
意図は上にあげた他に、もう一つあります。

陽気だからです。次のシーンは親子げんか。
コントラストがつきます。

私のホームページでは少し触れましたが、演出、
脚本がシーンを大切にしていないと感じていま
す。
正確にはシーンとシーンの相乗効果ですが。

明るい、暗い、怖い、喜び、絶望、楽しい、喜
び、哀しみ・・・というような順番でシーンで
作るのと、明るい、喜び、楽しい、喜び、暗い、
怖い、絶望、哀しみという順番でシーンを作るの
では前者の方が大抵明るさや悲しさを倍増させる
ことは心理学でも説明されています。

意外に、このコントラストに注意しない演出、脚
本が舞台関係者には多いので、ここ10年ほど気に
なっています。
それ以前は意識している演出、脚本は多かったの
ですが。

最近の映画は、これを相当意識しています。
そのため観客動員数は伸び逆に演劇の観客が大幅
に減ったと感じています。

私がシナリオライターを目指すのは宮菜穂子さん、
安倍なつみさん主役の舞台で、コントラストを意識
したシナリオを書きたいと考えたからです。

ちなみに、照明にも心理的な喜怒哀楽があるのです
が、秘密にしておきます。