以前から「シーカヤックをやってみたい!」といっていた友人に一度カヤックを漕いでもらおうと、海に誘った。合計6人。夏休みが終わった9月最初の土曜日を選んだ。温かい伊豆の海がいいと思った。みんな屋外で遊ぶのが好きな人たちだからきっといい思い出になるだろう。
ぼくが選んだアウトフィッターは村田泰裕さんが代表を務める西伊豆コースタルカヤックス(NCK)。村田さんは言わずと知れたシーカヤッカーである。カヤックでの日本列島縦断、クイーンシャーロット島一周などを達成した冒険家だ。NCKのイントロ講習に参加することにした。
9月5日。もしぼくにしっぽが生えていたらきっと大急ぎで振ってしまうくらいの晴天である。ゆるい東よりの風で波1~1.5m程度。湿度も低く、青い空がまぶしい。NCKのショップで受付をすませ、松崎の海岸に集合した。そう、今回はみんなにあわせてウィスパーはお休みである。レンタル艇はポリのペンギンであった。
村田さんのレッスンがはじまった。まずは陸上で、フットペダアル、スカート、ハッチ、フォワードストローク、バック、ブレーキの説明。サポートするスタッフも二人いて(客5人にガイド1人の割合とのこと)こまめに指導してくれた。そして、海へ!
アシスタントの米川さんがロールとリーンターンを見せてくれた。米川さんのフォームは実に華麗である。ぼくもこんな風に自在に艇を操れるようになりたいなあ。
そして松崎の湾を抜けて南下する。すぐ近くの洞窟へ入った。一つ目に入った洞窟はトンネルになっていて、みんなで並んで通り抜けた。二つ目の洞窟はずいぶん広く、全員で穴の中に入ることができた。みんなフネをゴンゴンとぶつけたりぶつけられたりしながらも、洞窟の雰囲気を楽しんでいるもよう。波も穏やかなので洞窟はすこぶる安全である。本当に今日はラッキーだなあ。
萩谷の浜に上陸。ここでランチ休憩となった。フランス人の友人が大きなマッシュルームケーキを焼いてきてくれたので、みんなでそれを分けて食べた。すっごいおいしい。インストラクターの人たちにもおすそ分けしたところ、大好評であった。
食事の後はシュノーケルをした。このあたりは岩がごろごろしていて、岩陰に魚がたくさん群れていた。青色に光る小さな魚もいた。ナマコは無防備に海底で昼寝をしていた。ぼくはPFDを着て、特別なことは何もせずただ波に揺られた。浮くナマコである。友人達も満足してくれたみたいだ。最初に「伊豆」と聞いて想像していたものよりも、実際の「伊豆」のほうがきっとよかったのであろう。
休憩中、村田さんと話をした。あの、クイーンシャーロット島200km漕破の時の話なんかは、テレビの放送とは少し違って、彼がガイドとして考えていたことが聞けて興味深かった。ぼくがこれまで漕いだ場所の話になると、彼は楽しく懐かしそうに、その土地その土地に関する思い出を語ってくれた。それぞれの地方に愛着があるのだなあと感じた。
再び、出発。岩地、石部のあたりまでのんびり漕ぎ進み、そこでターンして松崎へ向かった。
最後はみんなで楽しく沈脱などしながら、ガイドの人にレスキューしてもらった。そんな様子を見ていたらぼくもムズムズしてきた。ちょうどいい機会だからロールの練習をしよう。かれこれ一年やってない。失敗して、村田さんにレスキューされるのもまたいいだろう。ヨーシ!
ザブン。ブクブクブク。水中でひっくりかえった格好で、セットポジションを時間をかけて確かめた。スィープの軌跡が滑らかにイメージできたところで、動作に入る。一息に上体を回す。最後は上体が水からすぐに出てしまわないように・・・と意識した。気がついたらロールで起き上がっていた。イエーイ(喜ぶあたりがシロウト)!
松崎に上陸した。あー楽しかった。みんなの表情もすごくいい。海水にどっぷり浸かったぼくらは、そのまま温泉に直行し、海を見ながら風呂に浸かったのだった。
今回、シーカヤックの楽しみ方として、ぼくとしては初めてのやり方だったわけだけれど、本当に楽しかった。みんなもそれぞれのハイライトがあったようで、それをきくのもまた面白い。シーカヤックやってみたい人、このゆびとーまれ!と言いたくなる、おとなの夏休みであった。
レッスンですか。
いいですねえ。
夏の伊豆、存分に楽しんできてください。