水に浮かび物思う

カリフォルニアの海でカヤックに出会う。キャンプやハイキングの話も。

Big Basinでキャンプ その1

2007年03月13日 | キャンプ

この週末、カリフォルニア、サンタ・クルーズ・マウンテンのBig Basin Redwook State Parkで一泊のキャンプをしてきた。これは巨大なパークで、歴史も古いので大きな樹木が沢山残っていると聞く。レッドウッド好きのぼくとしてはぜひ訪れてみたかった場所だ。

Big Basinの西側は太平洋まで至っている。せっかくだからちょっと距離は長くなるけれど、海岸沿いを通って公園に入ることにした。まずはバークレーからハイウェイで南に向かい、ベイ・ブリッジを通ってサンフランシスコへ入る。

ハイウェイを乗り継いで海岸沿いをのんびりと走る。いい陽気だなぁ。菜の花がいたるところで咲いていて、まるで空から蛍光塗料をこぼしたように黄色に地面を染めていた。春だ。大地の発する春の粒子がぼくの小さな体を包み込む。あぁ、このかおりだとぼくは思った。初めてアメリカへ来た年、季節の移ろいにあわせてやってくる自然のかおりが、日本のそれと同じだということを知っていたく感動したものだ。温暖湿潤気候ではないものの、ここカリフォルニアにもちゃんと春はやってきた。

以前カヤックで漕いだことのある海域を右手に見ながら南下する。真っ白なヨットが優雅に並ぶ、海辺の町が見えてきた。以前サーフゾーンのクラスを受けたハーフムーンベイだ。このクラスでは、波の力学からサーフゾーンでのカヤックでの出入り、遊び方などなどみっちりと一日かけて教わった。体を張って全力で指導してくれるインストラクターには感動した。生徒達も熱心だった。おかげで海で漕ぐことの自信も少しついた。

ハーフムーンベイの少し北に位置するPillar Pointという岬付近では、ジョン・ラルにインストラクトされオープンコーストのクラスを受けた。岩とうねりによって起こる水のダイナミクス、複雑な海域でのふねのコントロールの仕方、ブレイクポイントの遊び方、避け方、などなどこれもみっちりと時間をかけて教わった。

途中、ハイウェイ脇にあるスペースに車を寄せた。きつい斜面の下に1kmほどのビーチがあり、ぼくはそこで昼食を摂ることにした。デイパックにガスとバーナーとインスタントラーメンとチョコレートを突っ込み、崖を下る。

ぼくは流木に座ってバーナーをセットし、コッヘルのまわりにアルミフォイルを巻きつけ風防にした。今日の波は比較的おだやかである。シットオントップに乗って波でゆるりと遊んだら楽しいかもしれない。この海況ならば、もちろんシーカヤックで沖に出てみるのもいいだろう。犬と一緒に砂浜をかけまわるのもいいなー。野田知佑さんが犬を連れてカヌーの一人旅をしているのが、なんだかよく分かるきがする。犬とカヌーでの一人旅はきっと相性がいいのだ。ラーメンを作っている間ぼくはカメラを片手にその辺りをぶらついた。浜辺の植物も花をつけていてきれい。ぼくは春の暖かな陽気の中、すこし伸びてしまったラーメンをなべのまま食べ、チョコレートビスケットを3枚かじった。

公園にたどり着き、キャンプ場に入った。レッドウッドの巨木に囲まれた静寂そのもののキャンプ場である。ぼくにとっては夢のような場所である。テントをたてて、ハイネケンをプシュッと開ける。さて、のんびりキャンプのはじまり、はじまりー。

ビールを飲みながら本を開く。Bill Bryson著、"A Walk in the Woods"という本である。これは彼がアパラチアン・トレイルを歩いた時の紀行文である。ぼくはまだ半分くらいしか読んでいないけれど、この本、ひじょーにおもしろい。アウトドア好きなジャーナリスト、という感じのこのイギリス人の著者はほんとに筆達者で、毒舌をウィットでうまく薄めるやり方が絶妙である。アメリカのNational ParkやNational Forestの知られざる功罪両面を、きちんとしたデータと共に読者に訴えてくる。それもあくまで客観的に、ドライに、知的に。一方で話のもう半分はバーガーが食べたいだの、足がくさいだのとぶちかまして笑わせてくれる。この「ゆるみ具合」とマジメ具合の振れ幅がいい。本の最初は話がカタくて難しくて、投げ出そうかと思ったけれど、どっこい後半がオモシロイのだった。

晩御飯は白米、たくあん、野菜とギョーザのスープ。デザートにりんご。ごく簡単な料理である。ぼくのキャンプの料理はどんどん簡単になってきている。量も全て少なめに用意してきた。生のゴミを出したくないからだ。量がたりなければくだものとスナックで補う。

食事を終えたぼくはファイアーピットに薪をセットして火を入れた。アメリカのキャンプ場ではだいたいこういったファイアーピットが置かれているので堂々とキャンプファイアーができるのがいい。ただし、公園内では薪を集めるのは禁止されているので、薪は自分で持ってくる必要がある。ぼくはビールを飲みながら本の続きを楽しんだ。焚き火のそばで、お酒をちびちび飲みながら本を読むのがぼくにとっての無常の楽しみである。ぼくって幸せだなぁ。

空気にしばらく漂っていられるほどの細かい雨が降ってきた。それが本をぽつぽつと濡らす頃になってぼくはテーブルを片付け、テントの中へもぐりこんだ。もう寝よう。時間は午後9時すぎだった。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
必要なもの! (カヤッカー)
2007-03-13 21:48:42
こんにちは。
静かな夜の焚き火、お気に入りの本、シンプルだけれどおいしい食事、そしてなにより美味い酒。
これ以上必要なものは無いですよねえ。 分かる人にだけ分かる、本当に贅沢な時間。
返信する
Re: 必要なもの! (サトウ(管理人))
2007-03-14 01:58:46
こんにちは。
カヤッカーさんのおっしゃることよーく分かります。
ごく少ない「必要なもの」で満たされるんですね。
ぼくはまだキャンプ歴は短いですが、以前に比べてどんどんシンプルなスタイルへ変容していってるきがします。
返信する