夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

大津絵 その20 鷹匠  

2021-09-27 00:01:00 | 掛け軸
大津絵は民画として大いに人気が出たため、古く見せた贋作が横行したようですが、蒐集する側は贋作の横行よりも問題なのは古くていいものが入手できなくなっているということです。流行や人気が出るのことの最大の弊害は作品の評価が恐ろしく高くなることです。



古い大津絵などは数が少なくなり、江戸初期の作品はまず入手不可能でしょう。幕末から明治初期の作品が主流で、それらの作品ですら、民芸館でしたお目にかかれないという状況です。

さて本日は当方にて大津絵10種の最後の画題となる「鷹匠」の作品の紹介です。

大津絵 鷹匠  
紙本着色軸装 二枚綴り 軸先 合箱 
全体サイズ:縦1490*横310 画サイズ:縦595*横225

 

大津絵の鷹匠の作品は若衆姿が多いですが、いでたちは、羽織袴に脚絆がけで大刀を帯びています。リアルさよりも華やかさ、格好の良さを描いたものとされ、「伊達な若衆が鷹手に据えて」と歌われたほど、伊達で女姿に近いですが、こんな言葉が宝永に使われていることから古い画題の一つと推定できます。



しかし引き続きもてはやされた画題と見えて、後年十種の大津絵として残るほどです。



穀物をついばむ鳥の害を減らしたり、狩で獲物を捕らえてくる鷹の特性から護符の意味が生まれてようで、「五穀成就」・「紛失帰る」・「利益を収める」の護符となるそうです。

初期の大津絵は諷刺画的であったのですが、大津絵は上述のようにだんだんと護符的性質を持つようになります。さらには賛(和歌)を書き加えた「道訓的」になっていきますが、この頃には二枚続きではなく一枚絵(一枚板)が主流になります。

*これを「第三期」とするようですが、そのようなレベルの高い話は蒐集家にとって無意味であり、そのようなことは学芸員らの知識人に任せておきましょう。



時代が下がった作品のようですが、贋作ということや近代の作とは違うようです。



大津絵は基本的に2枚綴りを基本とします。もちろん1枚の作品もありますが、決して主流ではありません。

古い作ほど鷹の描写が鋭く、格がずっと高いとされます。本作品は鷹や人物の描き方から時代の下がった作品と推定されます。江戸初期の作品で保存状態の良いものは下記の作品があります。



時代と共に鷹の描き方が簡略化されてくるようです。

  

表具はおそらく前の所蔵者によるものと推測されますが、キチンと改装されています。



ただし保管箱がありません。誂える必要がありそうです。



ちなみに定められた大津絵十種とは以下のものです。

1.寿老人(外法と大黒の梯子剃り) 長命を保ち百事如意
2.雷公の太鼓釣り         雷除け
3.鷹匠              利益を収め失物手に入る
4.藤娘              愛嬌加わり良縁を得る
5.座頭              倒れぬ符
6.鬼の寒念仏           小児の夜泣きを止め悪魔を払う
7.瓢箪鯰             諸事円満に解決し水魚の交わりを結ぶ
8.槍持奴             一路平安道中安全
9.釣鐘弁慶            身体剛健にして大金を持つ
10.矢の根            目的貫徹思い事叶う



もちろんこの他にも大津絵には題材がたくさんありますが、本作品にて当方には「大津絵10種」がすべて揃ったようです。



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