夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

蘆雁図 橋本雅邦筆 東京美術倶楽部鑑定書添

2019-05-30 00:01:00 | 掛け軸
狩野芳崖と並ぶ近代日本画の創始者と評される画家の作品の紹介ですが、現在はそれほど手の届かない金額で取引されているということでもありません。

蘆雁図 橋本雅邦筆
紙本水墨軸装 軸先象牙 橋本秀邦鑑定箱(昭和3年10月)二重箱
東京美術倶楽部鑑定書添(平成31年2月9日) 
全体サイズ:横440*縦2160 画サイズ:横310*縦1230

 

この作品を観て真作であると判断できる方はかなりの目利きでしょう。



とくに橋本雅邦は国画会などの伝統的な技法で描く作品もあり、その作品が模写されているとまったく判別が難しくなります。



この作品はそのような定型的な技法ではないのでまだ見極めが簡単です。



本作品には東京美術倶楽部の鑑定書が添付されていますから真作と判断していい作品です。



当方の所蔵作品には東京美術倶楽部の鑑定書のある作品があります。贋作を真作と素人判断している御仁がものすごく多いのですが、それではひとつも真作は集まりません。贋作の山を築くことになります。

真贋を見極めるには贋作を手元においてはいけません。万人が認める真作を手元に置く必要があります。




問題の多い橋本秀邦の鑑定箱書、そして朱文の「雅邦」の印章ですので、箱書や印章のみで橋本雅邦の真作とは断定しないでください。

残念ながら橋本雅邦の真作と判断できるのは東京美術倶楽部の鑑定書があったり、過去の由緒ある美術本に掲載されている作品のみです。門下生が多く、また著名な画家であったことから数多くの模写が存在し、真作と認められるのにはそれなりの根拠が必要です。

  

ただし下記の作品は鑑定のない作品です当方では真作と判断している作品です。

猿使い 橋本雅邦筆
紙本水墨額装 タトウ 
全体サイズ:横455*縦900 画サイズ:横290*縦650



このような真贋の判断はある程度の経験を積まないと身についてきませんので、単に印章や落款の照合という手順では判らない世界ですね。

以前に知人が鶴を描いた六曲一双の作品を思文閣に処分しようとした時に最初の評価金額が40万円でした。小生が美術本に掲載されていることを指摘すると思文閣にて400万円で引き取られたことがあります。プロでもそんなものです。

真贋は実に奥深く、骨董品の価格は実に魑魅魍魎たる領域です。なお思文閣のオークションでも橋本雅邦の作品は十数万円からスタートしている作品もありますが、これは一応真作、ただ万人が認める真作ではないというお値段です。これを魑魅魍魎たる世界という・・・。

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