夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

三味線 中村貞以筆 その2

2017-06-10 00:01:00 | 掛け軸
昨日は会合で高木豊氏の講演を聞くことができました。野球談義がメインで面白く拝聴できました。やはり巨人の連敗が話題になりましたが、後継者を育てていないツケの恐ろしさを再度認識した次第です。規律のある厳しい監督の元に強い組織が育つということでした。

高木氏が組織を強くすることに大切なのは「人を褒める人間」、「人に意見の言える人間」、「コツコツと努力する人間」を大切にし登用せよということでした。とかく人を悪く言い、人に媚び、天才肌を好む傾向にありますが、それでは組織が強くならないということです。

もうひとつ、組織を強くする本当のプロとは人の気持ちが解る人だとも・・・、批判の多い組織は強くならないということも・・。聴いていてなんともすっきりと飲み込める内容の噺でした。

さて家内がなにやら「カメラはどこ?」と大声で叫んでいます。どうやら永楽の作品である一輪挿しに依頼していた花を生けたらしい。小生が「床に新たな一輪挿しを置いたよ。」とプレッシャーをかけていましたから・・・。



花を生けたら「福寿草」の作品は合わないかと・・・。



ということで本日の作品の紹介となりました。

三味線 中村貞以筆 その2
絹本水墨淡彩軸装 金襴三段表装 一文字は本竹屋町金襴 軸先象牙 共箱二重箱
全体サイズ:縦*横 画サイズ:縦380*横420



中村貞以は幼い頃に両手に火傷を負い、指の自由を失ったため、絵筆を両手に挟む「合掌執筆」により絵を描いています。

そういう画家であったということを思い浮かべて管掌、もとい鑑賞すると作品への思いが違いますね。



拡大写真にするとシミが醜いように写りますが、意外に目立たないものです。しかし掛け軸にシミは大敵です。とくに美人画の顔にシミができると大幅に評価が下がるものですし、鑑賞時にも気になるものです。注意しましょう!




掛け軸の保存には湿度管理が重要で、押入れや天袋などに掛け軸を保存するには命取りになることがありますね。

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中村貞以:明治33年生まれ、昭和57年没(1900年~1982年)。享年81歳。大阪生まれ。はじめ長谷川貞信に、のち北野恒富に師事する。幼児に両手に火傷を負い、指の自由を失ったため、絵筆を両手に挟む「合掌執筆」により、情緒豊で優美な美人画から、戦後は現代的風俗を内面性豊に捉えた人物画を描いた。院展理事。芸術院賞受賞。

  

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漆器は剥げる、硝子や陶磁器は割れる、掛け軸はかびる・・・、これは骨董の宿命です。花はいつか枯れると同じ・・・。



その特性に備えた保存方法を施す必要があります。

本作品は表具、箱の誂えなどは立派なものです。今誂えたらそれだけでもかなりの出費になります。それが掛け軸というもの・・。それが日本の伝統文化です。

そして組織力もまた日本の伝統ですね。


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