さっきん。

　彼女がわがSSの門を叩いたのは８年前の秋のことでした。もう精神的にも肉体的にもぼろぼろの状態でやってきたのですが、それでも私はかわいそうなんて思わない性格です。話をしてつらい思いをしたのがよくわかりましたが大切なのは「やる気」。同じ目にわがSSで逢わない保障はありません。
　それでも最後にがんばる場所を決めた意志は固かったようなのでこちらも彼女に対する気持ちを固めました。名門校から来た選手が普通にやって速くなるはずがありません。徹底的に強化する！！と考えていましたが彼女に必要だったのは強化ではなく「場所」でした。自分の居場所。自分を認めてくれるコーチ、仲間だったと気づいたのは半年後の春のJOでした。帰りの新幹線で彼女がしみじみと語ってくれました。「コーチ、楽しいわ。枚方に来てほんまに良かったわ・・。」「みんなと一緒に練習してるのが楽しいねん。水泳してるって感じ・・。」でした。
　彼女はがんばりや。センスも才能もないけど（ごめん）人の倍動く。一生懸命やる。とても気持ちのいいやつです。アメリカで知り合った毅のいる福大に進路を決めたのも同じ「コーチ」「仲間」「場所」があることを嗅ぎつけたんだとおもいます。
そして彼女は福大を卒業し。トライアスロンの世界へ。
何事にも一生懸命な彼女を神様が見捨てないなら、きっと日の丸をつけて戦う日が来るのでしょう。その日を今か今かと心待ちにしているのは私だけではないはずです。
　たくさんの人たちに護られていることへの感謝と、幸福を感じて彼女は日の丸を背負うはずです。