プラdroidは、ねんど子猫に愛を観るか?

管理人「osuzu」が制作する模型関連のブログです。

冬の北海道観光と「許されざる者」2013 リメイク版の・・映画評。

2016-11-28 | その他趣味の話・・イロイロ

今回は「プラモ」の話じゃありません! (恐ろしく長いんで興味無い人はパス! お勧め。)

実は、先だって左手に「名誉の負傷」? を負ってしまいまして・・模型制作はおろか、本業のサラリーマンも休職の身!

の管理人だったりします。 (現在、制作依頼頂いてますH様ゴメンナサイ! いましばらく御待ちを!)

多分、2~3週間は会社も休まざるを得ない状態で・・・結構、重症? のような気もしますが

殆ど使い物にならない左手以外は、至って元気なもんですから・・・自宅療養中とは言えヒマ・・持て余し気味なんです。

元来、ジッとしてるのが何より苦痛な達でして、故にプラモ以外の趣味も「釣」「ギター」「写真」等、多岐に渡るんですが

どれもこれも、「片手じゃ辛い!」芸事ばかり・・。 なので・・久々にジックリ「映画鑑賞」でもするか!

で見たのが「許されざる者」・・と言っても、あの「イーストウッド様」のオリジナル版と

俗に「リメイク版」と言われる「渡辺兼」主演の「許されざる者」・・・比較同時鑑賞です。

 言わずと知れた「イーストウッド様」の代表作。 過去何度か鑑賞済みですが

      比較の為、今回も同時鑑賞。 何度見ても・・イイです。

 まさか邦画でリメイクされるとは!・・・の「リメイク版」2013。 

      基本、ミリオタなんで「戦争映画」が主食ですが、こういうのも結構好きです。

      でも・・邦画は近年の例でいけば「北の零年」を筆頭に、ガっくりするパターン多いんで

      コレも正直、公開当初から全く見ようと思いませんでした

      「どうせ御泪頂戴感全開の邦画スタンダードでしょ? ケッ!」 と思いこんでたもんで。

管理人含め、多少なりとも「映画好き」を自負する方々に多々見受けられるのが、「リメイク作品」言うだけで

色眼鏡で斜に構えて見ちゃう傾向・・強いと思うんですが(オマエもな!)・・コレは・・・イイです! 凄くイイ!

「オリジナル」は映画に限らず、いろんな意味で「絶対的」な存在なんで、それを超える事は有る意味で

「不可能」ですが個人的には、そこを敢えて「超えた!」と言いたいぐらい良かったです。

二昔前の「角川映画」の良作・・「人間の証明」やら「野生の証明」。「復活の日」とか「戦国自衛隊」等々。

当時はガキながらに「はァ~邦画もヤレバ出来るじゃん! スゲ~よ角川!」な~んて想ったもんですが

(ある日突然「私をスキーに連れてって」路線に行っちゃったのには口あんぐりでしたけど・・。)

あの頃の感動に近い物を感じ取れた秀作・・いゃ・・傑作と想いました!。

マァ、自身が北海道人と言う事も有り、余計に感情移入しちゃう側面もあるんでしょうが

近年、これ程北海道が似合う・・・イャ、北海道でなくては成らない必然性を感じ取れる映画も

チョット記憶に有りません。

大好きな「イーストウッド様」の、あの代表作が・・よもや、こんな形で「リメイク」されるとは・・

公開当初から、あんまり評判も芳しくなかったんで観てなかったんですが

嬉しい誤算でした・・・これなら劇場で見るべきだったと深く反省!

 

オリジナルが「西部開拓期」の辺境地、「ワイオミング」を舞台にしているの対して、「リメイク版」は

維新後の北海道は「鷲路村」。 架空の村名であり、ロケ地は旭川近くの上川町付近が主だったようですが

イメージとしては、劇中で語られる「札幌から80里(310km位)・・」や、名前の響きからして「足寄?釧路?」の更に奥。

一部撮影も行われた「阿寒湖」周辺。 と言ったところじゃないでしょうか?。

今は「憧れの都道府県」1位常連の北海道ですが、維新後の北海道と言えば・・・

訳有りの人が行く未開の地・・・ハッキリ言って、「左遷地」or「流刑地」?辺りが、その実情でして

劇中でも、剣豪として名を馳せながらも、賊軍の残党として人目を忍び生きざるを得ない

元幕軍兵・十兵衛(渡辺兼)を筆頭に

たとえ嘘でも、夢の一つも語らなければ生きる術も無い、同じく元幕軍兵で銃の名手・金吾(柄本明)。

アイヌ人ハーフとして、この地で細々と生きてゆく他ない事を判っていても

それを受け入れられずにいる五郎(柳楽 優弥)。

そして彼らに、金目当てに命を狙われる事となる、普段は真面目な元仙台藩士の兄弟(彼等も元賊軍)と

彼らに懸賞金を賭ける女郎達・・・

「もう・・何処にも行き場が無いんだ・・」 物語中盤の「金吾」のセリフが全てを象徴するように・・・

それぞれが、それぞれの事情を抱えながら此の「最果ての地」で・・

何が有ろうとも、淡々と生きてゆく他ない当時の蝦夷地の悲哀を漂わせてくれます。

実は、管理人の母方の家系も元、「会津藩家臣」(要は賊軍!)の系譜で有り、墓が道南は江差に有ったり・・

多くの人が「アイヌ民族の民芸品」と想っている「木彫りの熊」が実は、賊軍の残党として蝦夷地に流れざるを得なかった

かつての家臣らの困窮を憂いた徳川義親が作らせた逸話等、結構身近に賊軍にまつわる話が有ったり・・・

「小学生の頃、同級生にアイヌ人ハーフもいたっけなぁ・・」とか・・。(コレ本当です・・・こう書くだけで、なんか差別的な

感じになるのが痛し痒しですが、全くそんな意図は有りませんので御間違え無きように! 彫が深くて美男美女、多いんですよ。)

誠に個人的事情ながらツボにハマル要素が多くて、リメイク版の舞台背景だけでも泣けてきたりします。

そして雪! ラストシーンと共に「オリジナル」との違いが際立つ「雪景色」ですが。

物語序盤、春までの食料備蓄もままならぬ事を悟った十部衛が、亡き妻との誓いに背いてまで、再び「刀」を手にする

十分な動機付けの伏線となると共に、「オリジナル」以上に過酷で厳しくも美しい・・・舞台演出に一役買ってくれてます。

 ←コレも映画の一コマですが、同じ日にまとめて撮ったんですかね?

                    雪景色はどれも曇天なのが少々残念な感じがしないでもありません! 

何故なら、雪国に住む者といたしましては「雪がチラつく曇りの日は暖かい!」イメージだからなんです。

本当に寒くて美しいのは、晴れ渡った日の早朝や夕暮時なんであります。

例えば・・・・・

 ←コレは数年前に、それこそ阿寒近辺の峠で撮った写真ですが・・確か気温は-15°前後。

素手でカメラ持ってると、5分と持たずに指が動かなくなります。

道東や道北の冬の峠道は、高緯度地方特有のティンバーライン(森林限界線)の低さも有って

晴れて放射冷却現象バリバリの強烈に寒い日に巡り会えれば(そうそう簡単では無いですが・・)

ココでしか見る事の出来ない、神々しいまでの情景が手軽に? 楽しめる穴場多いです。

観光する方は要チェック!

←コレは道北は美深町での一コマですが、夜明け前には-25°位まで

              下がってました。 上の写真は横殴りの風雪により木々が白くなった物ですが

               此方は空気中の水分等が着氷して白くなった物です。

 この写真の数日前には-30°近くまで下がった日も有りまして、温泉宿の車の7割方はエンジン掛からなくて

大騒ぎでした。 近くにスバルのテストコースが有り、丁度発表目前の「レヴォーグ」?の寒冷テストだったのか

マスキング&センサー車両とスバル車多数も御宿泊してたんですが、スバル車・・殆ど全滅でした! 笑えました。

生まれも育ちも北海道の管理人ですが、流石に-30°越えの経験はありません。

札幌近郊じゃ-15°越えも滅多に有りませんもんで・・。

 ←同じく道北は「サロベツ原野」。 意図して綺麗に撮ってますんでコンなんですが

 普通に撮ったらコンナ感じ・・・ただ白く・・ホンっと~に何もない。

同じ北海道でも、道北の雪景色はより物哀しい感じがして・・・失恋等の痛手を癒す傷心旅行先にお勧めです!

悲しみにくれる貴方様を、更なる孤独と絶望の淵に誘ってくれる最高の情景を、もぅええわ言うだけ堪能できます。

あと、真冬の「露天風呂」は最高です! 個人的お勧めは「天塩川温泉」(音威子府)。 チッさい露天風呂ですが

極寒の朝に是非入ってみてください。 外気温に釣られて下がりきった湯温のおかげで

風呂から出るに出られなくなりますんで・・・心行くまで雪景色を堪能できます。

あと・・室内に戻る際にはドアノブにも留意して下さい。 気温の低い時に迂闊に濡れた手でドアノブ掴むと

瞬時に凍りつきまして・・しばらく露天風呂出入り口前で、奇声を発しながらの裸踊りを余儀なくされるという・・

これぞ北海道?・・・と言う体験が可能です。 (体験者 談!)

 ←コレは吹雪のイタズラで・・建物に出来た「雪庇(せっぴ)」と呼ばれる

吹雪の後に良くみられる現象です。 吹雪と言えば3年前?でしたか・・道東を中心に襲った猛吹雪で

一晩で8人もの犠牲者が出た惨事が、まだ記憶に新しいですが・・それほど・・現代の装備を持ってしても

北海道の「冬」は侮りがたい・・と言う事です。

管理人も生涯を通じて二度ほど、本物の「猛吹雪」に見舞われた経験が有りますが

「本物の猛吹雪」になると・・運転する車のボンネットが見えなくなります・・コレほんとです。

 夜で尚且つ、近間に街灯の光や雪導(スノーポール言います)が有れば、吹雪の間隙を縫って

それらの光を目安に微速前進位は可能なんで、まだマシなんですが。

昼間や街灯も無い田舎道でコレに捕まると・・「命に係る」と言わざるを得ません。

ボンネットも見えない状況が5分も続くと、左右の感覚は勿論、上下方向の感覚さえ怪しくなってきますんで

動く事も出来なくなります。 かと言って、そのままジッとしていても一時間と持たずに車は雪に

埋もれてしまいますし、車を捨てて中途半端な服装のまま外気に身をさらすことは即、死に直結します。

冷静で迅速、且つ的確な判断が、何よりも求められる希有な状況ですが

現代の整備された道路網と自動車を持ってしても、こういう場面が有りうるんですから

車も無ければ道路も無い、劇中の時代・・百年以上前の開拓民達が、どうやって毎年冬を乗り越えたのか?

そこに住む者故に、先人たちの偉大さに・・想いを馳せずにはいられませんし・・・冬を越す金の為・・

錆びれた「刀」を再び手に取る他無かった、十部衛の心情も・・察するに難くない・・と言う感じでしょうか。

 

さて・・話が大分逸れましたんで・・映画に話題を戻しますと、もう一つ「オリジナル」には無い描写に「刀」があります。

コレも「オリジナル」以上に、物語に深みを加える重要な要素となっています。

一応、悪役の警察署長・大石一蔵(佐藤浩市)が元長州藩士・北大路(國村隼)に投げかける

「俺はナァ・・侍崩れが大っ嫌いなんだよ・・」のセリフや、錆びて見るからに古びた十部衛の「脇差」?からも

変革期にあって消えゆく古き者達(幕府や侍)・・大石ら官軍側から見れば・・ある意味で「許されざる者」達の

象徴とも見てとれます。 そして・・壮絶なクライマックスシーン。

その古く錆びれた・・「許されざる者」達の象徴にも見える「刀」で、アッサリと切り捨てられる大石ですが

同時に又・・十部衛の「刀」もアッサリと折れてしまうあたり、これもまた変わりゆく時代の暗示にも見えます。

そして尚、銃を使わずに討伐隊の警官や村の男達を次々と倒していく十部衛。

その一連のシ-クエンスも又、当時の白兵戦時に於ける「刀剣」の有効性を感じ得る、素晴らしい迫力に満ちています。

「銃持ってる奴! 撃てよ!」と思われるかもしれませんが、劇中の距離感に於いて「長く・重い」小銃で

不規則に動き回る物を狙い撃つ事は以外に困難な事や、当時の小銃(多分、スナイドル?)は後装式単発。

「手負いの熊」よろしく、深手を負いながらも全身にアドレナリンをみなぎらせて暴れまわる「獣」を眼前に

一撃で、十部衛の頭か心臓を撃ち抜かなければ、確実に自身の命が無い事は素人目にも明らかで・・

見るからに実戦経験の乏しい彼等が、躊躇せざるを得ない雰囲気が漂うあたりが又・・・イイ感じです。

 

マァ・・敢えて、銃器オタクの観点から苦言を申し上げさせて頂きますと・・。

当時の銃器は「黒色火薬」(弾速遅い&煙酷い)の「大口径弾薬」(弾速遅い=デカくて重い弾で、それ補う)。

反動も無けりゃ・・黒色火薬特有のガンスモークとも言われる発砲煙もまるで無し・・そりゃ、ネェべさ! とか。

「金吾」あたりが何で「ウィンチェスターM1892」持ってんだ?(年代的にペケだし、1873の代用にしても基本

「金持ちの銃」・・ミスマッチ感は拭えない。 分かってて敢えて使ってるのかな?) とか・・・銃器以外でも

いくら卑怯者相手とは言え男尊女卑の、あの時代に「女郎」が「男」に懸賞金掛けてタダで済むか? とかの

ツッコミ処もママ見受けられる本作ですが・・・個人的には、それらも余り気にならない程・・

「脚本・カメラワーク・俳優陣の演技」のどれもが素晴らしく。

 

(出てくる役者さん、皆素晴らしい演技ですが・・特に彼 「柳楽 優弥」の演技は・・

コレの為だけに金払う価値有り・・と思える。)

ジックリと見入る事の出来る・・「これぞ映画!」と呼べる作品でした。

 

「オリジナル」公開当初より、論争の的となった「許されざる者とは・・誰なのか?」も、「オリジナル」同様

「主要登場人物」の全てが・・「許されざる者」である。 との解釈が一番シックリくると思われます。

但し・・「オリジナル」がイーストウッドが師と仰ぐ「ドン・シーゲル」と「セルジオ・レオーネ」に捧ぐ・・と

公言した意味も含めた解釈となると・・。(以下、あくまで個人的見解)

二人とも、当時としては過剰と見られた「暴力描写」の影響か、特に「保守的なハリウッド関係者」からの

評価は芳しくなかった事。 (「ダーティハリー」公開当初ですら、一部にそのような反応が有った)

故に「オリジナル」のマニー(イーストウッド)は、単なる冷酷な元殺人者として描かれたのではないか?。

 * マニーら三人は「シーグル・レオーネ・イーストウッド」らの象徴にも見えます。

特に「セルジオ・レオーネ」は、イタリア製西部劇(マカロニウエスタン)生みの親として

本家アメリカの伝統的西部劇を愛した「保守的なハリウッド関係者」からは、「許されざる者」として最後まで

冷遇され続けます。 それは逆に・・彼らに見出され育てられた「イーストウッド」から見れば・・

そんな「古く・・保守的に過ぎるハリウッド」こそ「許されざる者」である。 との解釈も成り立ちます。

 * 保守的で他者の考えを受け入れない「ダゲッド保安官」は・・ハリウッドの象徴にも思えます。

とでも想わなければ・・・理由はともかく・・劇中、最も多くの人を殺める事となり、正に最も「許されざる者」で

あるはずの元殺人者マニーが・・「西海岸(ハリウッド?)で商売が成功して・・」終わるラストに繋がらない・・・

つまりは・・劇中の人物はもとより、この作品に携わる全ての者が「許されざる者」・・・なのかもしれない・・

と・・・「オリジナル」を解釈してきた・・管理人なのですが・・転じて「リメイク」は・・

表面上は「オリジナル」を、破綻の無い範囲で上手くトレースしながらも、細部の印象は結構異なります。

特に・・元々、単なる人殺しでは無い「十部衛」が、最後は最も「許されざる者」として消えゆくラスト等。

誰しもが納得しうる筋書きとする事で、より娯楽性の高い「楽しめる映画」に仕上がった感が有ります。

反面、維新の頃の北海道を舞台とする事で・・「官軍と賊軍」・・「アイヌと和人」・・「銃と刀」等々・・。

時代の変革期における・・「古き者と新たな者」・・「支配する者とされる者」等の対比が、より鮮明に感じられます。

この辺りは・・現在にも通じる、技術革新への安易な依存(映画界で言えば安易なCGの多用等)や

異文化への無理解(オープニングで大石が語る、アイヌの熊送りに対する嫌悪等)に対する警鐘とも取れますし・・

生まれも育ちも日本でありながら・・在日三世で在るが故の「李相日監督」ならではの「想い」にも見えます。

そして・・イーストウッドらが、そうであったように・・「古い常識」に縛られずに「マカロニ・ウエスタン」を作ったように・・

「李相日監督」が「フジヤマ・ウエスタン」(和製西部劇)を作った事、そのものが・・

「イーストウッドらへの最大の敬意」・・にも・・想える様な・・気がする事も有る・・管理人なのでありました。


マァ~・・何にしても「素晴らしい映画」です。 以前、たまたまTVで見た「フラガール」の出来の良さにもタマゲましたが

こういう「本物の映画」が世に出てくるうちは・・まだまだ日本の映画も大丈夫!(オマエ、何様?)と想いました!

TVドラマか映画か見分けのつかん物や、これ見よがしな御泪頂戴演出物・・

マンガかTVドラマベースでなけりゃ売れない映画(しかも気絶するほどツマラン)しか作れん人達にこそ見てほしい。

あっ! 北海道の人も是非見ましょう! こんなにも北海道の景色が映える画面は・・もしかしたら

「幸福の黄色いハンカチ」や「北の国から」以来かもしれませんぜ。 (3年も経ってから言うなよ・・)

 



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