ちょっと前ですが和楽という雑誌に歌舞伎の特集が組まれておりました。
入門編としての特集ですが表紙を見てちょっと刺激を受けました。
表紙が助六でしたが演者が誰かと
11代(先代)の市川團十郎か?
違う。
15代 市村羽左衛門だ。めずらしい。
和事の特集で昔の役者が取り上げられることは非常に珍しい。
(家系図が載っていることは多々ありますが)
良く歌舞伎は出雲の阿国から400年の歴史があると言われますが本当か?
答えは否。
能は観阿弥、世阿弥その前から700年の歴史があると言われますが本当か?
これも答えは否。
なぜか。歴史を造ってきた例えは過去の名優たちとつながっていないからです。
入門書をみても演目の解説、小道具の説明などあと現代の役者がちょっとという具合です。
例えはオペラを観に行く人で過去の名歌手を知らないと言うことはありえない。
マリア カラス デル モナコ ジーリ カルーゾなど
ピアニストで グレン グールド ホロヴィッツ コルトーなどを知らないと言うことはありえない。
指揮者で フルトヴェングラーやカラヤンを知らないことはありえない。
勿論音源も残っているので復刻もされている。(録音と実演が違うとはいえ)
偉大な先人がいて今がある、これが歴史であり文化だと思います。
日本の芸事も先人の音源も残っている。映像もある。
役者も趣味人だから絵や書、芸談も残っている。
さらに伝説の時代(録音技術のできる前)には浮世絵も残っている。
しかしこれらが整理されていない。
と言うことは歴史もないと言うことになる。
文化というものはそういうものだと思います。
この和楽では昔の舞台写真が珍しくたくさん使われ現代では坂東玉三郎さんが特集されている。
ちょっと古い写真が多いような気もするが昔と今をつなぐ歌舞伎の入門者の特集としては
かなり良いのではないかと思います。
文化というものは演者だけが頑張ってもダメでまわりの文字できちんと伝える人
理解のある(厳しさも持った)お客さんがいてはじめて成り立つものだと思います。
邦楽の催し物を開催するようになり入門書に目を通しはじめて、きずいたことを書いてみました。