前回、〇〇焼を使っておりますか?の記事が反響がありましたので、
具体的に酒処押上文庫ではどんなことをしているか書いてみます。
押上文庫好みの器として筒、碗、盃というものは基本の形として提唱しておりますが、
これを実際に作って、使ってみなければなりません。
この碗という形、煎茶碗ではよく見ますが意外とぐい呑みとしては作られていないのです。
そこで唐津の作家、安永さんにお願いしまして、こちらでサイズ等詳しいことをお願いしまして作っていただきました。
ぐい呑の究極としてお酒の質感と器の質感を近づけたいという考えを持っておりますので
どの作家がどんな土を持っていてどのように焼けるかを知っておかなければなりません。
この碗型は柔らかい質感を持つお酒に大変よく合いますので、
唐津でも特殊な山瀬というところの白い土で作っていただきました。
古いものでも唐津はしっかりとした強さを持つものが多いのですが
こちらの山瀬窯のものだけは柔らかさを持ちます。
お酒も米の質がお酒の輪郭、質感を決めるように、
陶器も土の質が、器の輪郭、質感を決めます。
土の仕事がされている(土がわかる)陶芸家のものが値段も高くなり
独自のものを作っていると思われます。
よく器を作らないのですかとか
もし免許があったらお酒を造りたいとは思いませんか?
と聞かれますが
答えはノーです。
やはり一人の人間ができることは限られておりますので
それぞれのプロに任すのが筋だと思っております。
器についても轆轤がひけることがプロののように思われておりますが、
まずは土探し、釉薬、窯の作り方、詰め方、絵付けなと轆轤よりも難しい課題が山積です。
お酒に関してもお酒を造るのがうまくても
まずは、米や水、設備、仕込み計画や常にお酒に再現性があるのかなど難しいことばかりです。
もしお酒がこれから嗜好品になっていくならば分業制であるべきだと思います。
お酒などもなぜ酒屋さんをはさむかというと
その蔵のお酒のあり方、出荷の仕方などたくさん解決しないといけない課題がたくさんあります。
そこで信頼できる酒屋さんを持つことがきちんとお店にお酒を入れることにつながっていきます。
そこで押上文庫では何をやらなくてはいけないかというと
その仕入れたお酒をどうやっておいしく飲んでいただけるか、
楽しく飲んでいただけるかを考えることだと思っております。
どんなお酒を仕入れるか、
そのお酒をいつ提供するか、(そのためにはどうやって管理するか)
どんな温度帯で出すか、
ここまではトップクラスのお酒を提供されている店はやっております。
このあとは、
そのお酒のどんな側面を見せて飲んでいただくか、(そのための器の開発、)
どんなスタイルで飲んでいただくのか、(注器の開発)
季節感のあるお酒の提供の仕方を考えていく。
こんなところがお酒を嗜好品にしていく課題だと思っております。
今飲み放題の店も増えております。
安く元が取れるまで飲まなければ損のような空気感も広がっています。
今後もそのような店は増えていくと思います。
しかし押上文庫では蔵の方が精いっぱい仕込んだお酒をゆっくり堪能してほしい。
そんな願いから周辺環境、文化を整えていきたいと思っております。
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