お酒と器の下町サロン 押上文庫の公式ブログ

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安永頼山さんの山瀬斑碗型、と森本良信さんの備前緋襷銚子。(お酒周辺文化向上のために)

2016-09-13 | 焼物の話

前回、〇〇焼を使っておりますか?の記事が反響がありましたので、

具体的に酒処押上文庫ではどんなことをしているか書いてみます。

 

押上文庫好みの器として筒、碗、盃というものは基本の形として提唱しておりますが、

これを実際に作って、使ってみなければなりません。

この碗という形、煎茶碗ではよく見ますが意外とぐい呑みとしては作られていないのです。

そこで唐津の作家、安永さんにお願いしまして、こちらでサイズ等詳しいことをお願いしまして作っていただきました。

ぐい呑の究極としてお酒の質感と器の質感を近づけたいという考えを持っておりますので

どの作家がどんな土を持っていてどのように焼けるかを知っておかなければなりません。

 

この碗型は柔らかい質感を持つお酒に大変よく合いますので、

唐津でも特殊な山瀬というところの白い土で作っていただきました。

古いものでも唐津はしっかりとした強さを持つものが多いのですが

こちらの山瀬窯のものだけは柔らかさを持ちます。

 

お酒も米の質がお酒の輪郭、質感を決めるように、

陶器も土の質が、器の輪郭、質感を決めます。

 

土の仕事がされている(土がわかる)陶芸家のものが値段も高くなり

独自のものを作っていると思われます。

 

よく器を作らないのですかとか

もし免許があったらお酒を造りたいとは思いませんか?

と聞かれますが

答えはノーです。

 

やはり一人の人間ができることは限られておりますので

それぞれのプロに任すのが筋だと思っております。

器についても轆轤がひけることがプロののように思われておりますが、

まずは土探し、釉薬、窯の作り方、詰め方、絵付けなと轆轤よりも難しい課題が山積です。

 

お酒に関してもお酒を造るのがうまくても

まずは、米や水、設備、仕込み計画や常にお酒に再現性があるのかなど難しいことばかりです。

 

もしお酒がこれから嗜好品になっていくならば分業制であるべきだと思います。

お酒などもなぜ酒屋さんをはさむかというと

その蔵のお酒のあり方、出荷の仕方などたくさん解決しないといけない課題がたくさんあります。

そこで信頼できる酒屋さんを持つことがきちんとお店にお酒を入れることにつながっていきます。

 

そこで押上文庫では何をやらなくてはいけないかというと

その仕入れたお酒をどうやっておいしく飲んでいただけるか、

楽しく飲んでいただけるかを考えることだと思っております。

 

どんなお酒を仕入れるか、

そのお酒をいつ提供するか、(そのためにはどうやって管理するか)

どんな温度帯で出すか、

 

ここまではトップクラスのお酒を提供されている店はやっております。

 

このあとは、

そのお酒のどんな側面を見せて飲んでいただくか、(そのための器の開発、)

どんなスタイルで飲んでいただくのか、(注器の開発)

季節感のあるお酒の提供の仕方を考えていく。

 

こんなところがお酒を嗜好品にしていく課題だと思っております。

 

今飲み放題の店も増えております。

安く元が取れるまで飲まなければ損のような空気感も広がっています。

今後もそのような店は増えていくと思います。

 

しかし押上文庫では蔵の方が精いっぱい仕込んだお酒をゆっくり堪能してほしい。

そんな願いから周辺環境、文化を整えていきたいと思っております。

 

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〇〇焼を使っておりますか? 弐

2016-09-09 | 焼物の話

なぜ〇〇焼というものが重要視されるようになってしまったのか?

 

それは明治以降日本文化の見直しでお茶の文化、

安土桃山から江戸初期までも焼物が重要視されたからだと思います。

この時代に全盛期を迎えたといわれる窯業地はほとんどが時代遅れのような感じでした。

そこへお茶文化の見直しとともに昔の優品を再現しようとする動きが出てきました。

そのうち人間国宝(需要無形文化財保持者)に認定された陶芸家が出てまいりました。

 

そこに芸術ブームなどもあって作品が高い値段で売れるようになっていきます。

そのような窯業地には作り手がたくさん集まってきて

有名な〇〇焼というものができていきます。

一種のブランドづくりかもしれません。

 

昔は指導者がいて作り手がいたのですが、

そこのところがすっかり抜けまして作り手は作家性、個性などを求められて

陶器があまり売れなくなった今日

皆様苦労されているのではないかと思っております。

 

酒処押上文庫店主からの提言

いろんな産地のもの陶器やほかの素材にも目を向けていただきたいと思います。

こちらは、唐津、織部、備前、古染付を春慶塗のお膳にのせてみました。

例えば備前焼だけで構成したものよりも色合いの良さ、軽さなどがご理解いただけるかと思います。

更にお料理をのせますとより違いが見えてまいります。

 

この全体のバランスを見るということは今の工芸品のあり方には逆行しておりますが

横のつながりを大切にしどんなところで使うのか、どうやって他のものと合わせるのか

ということを考えなければ日本の手工業は衰退していくと思われます。

 

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〇〇焼を使っておりますか? 壱

2016-09-09 | 焼物の話

この記事についてはだれかを批判するために書いたのではなく

器についての理解をしていただくために投稿しております。

 

先日テレビの番組を製作している方から唐津焼について教えてほしいとお電話をいただきました。

当店でも唐津焼を使っているかとのことでしたが、

うちは唐津だけでなくバランスをとるためにいろんなところのものを使っておりますと答えました。

自分の説明不足もあり、電話だけではなかなか納得はされなかったのではないかと思います。

確かに今の常識ですと産地ごとに分かれお店でも〇〇焼をこだわって使っておりますということになっているのかもしれません。

例えば先日の酒の会で焼き物について話し今度そちらへ参りますということをお伝えしましたら

やはり〇〇焼を使っていただいているのですかという話になりそればかりは使っていませんというお話をしましたら

やはり怪訝そうな顔をされておりました。

(酒処押上文庫の唐津焼の優品を集めてみました。

一個一個は大変な銘品なのですがそれぞれが個性が強いですので

同じ産地のものがそろうと鈍臭く見えてしまいます。)

 

焼物は産地だけを追っかけていくと見誤ります。

 

もともと桃山末期から江戸初期のお茶人たちは

美濃で唐津で、備前、信楽でいい焼き物を良い作品焼いているからそれを用いているのではありません。

もちろん有名窯業地にはすぐれた土があり

それは常識として知られておりましたが

お茶席で使われていた器は全部注文品なのです。

中国ほどはっきり官窯(権力者のための窯)と民窯ははっきり分かれておりませんが

美濃ですと大萱、元屋敷などの優品を生み出した窯とそれ以外に真似したものと分かれます。

それに茶席で同じ産地の焼き物をたくさん使うことはまずありえません。

したがってこの産地ではこういうものを作らせようという分業制でした。

したがって焼き物を見ようとするときは時代、指導者の好みを見なければならないのです。

 

おまけ

備前焼だけを集めてみました。

こちらも一個一個は名品ですが、、、

 

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7月22日(金)から渋谷の炎色野さんで池西剛さんの器展があります。

2016-07-19 | 焼物の話

今回は青瓷に初挑戦だそうで楽しみです。

たぶんもともとは青瓷をやる予定ではなかったと思いますが

黄瀬戸、粉青沙器について研究のついでにわかってきて今回作品として形にしたと思われます。

向付などの食器が中心のようですが酒器も展示されるようなので

お酒が興味ある方で一歩踏み出してみたいという方、

ちょっとおつまみを盛ってみたいという方はぜひお出かけください。

 

 

 

ただいま、酒処押上文庫営業中です。

 

 

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新宿柿伝ギャラリーで吉野魁、敬子親子展が開催されます。

2016-03-11 | 焼物の話

 

昨年秋に亡くなられた吉野靖義(魁)さんの追悼展が新宿柿伝ギャラリーで行われます。

期間は3月13日から19日までです。

酒処押上文庫でも吉野さんの唐津の器は多く使っております。

昭和の巨匠たちが桃山陶の再現をこころみて表面的には同じようなものができたとされていますが

桃山陶と昭和のものとの間にはやはり質感に

大きな隔たりがあることは両方のものを見てきたものとしては指摘せざるを得ません。

 

志野や織部などの美濃焼のもの、唐津焼においても古いものは磁器のように土の味がきめ細やかだとかんじました。

桃山陶に限らず古陶には陶器に分類されるものでも磁器質でありきめが細かいためにシャープな造形を持っている気がします。

料理の器、酒の器の質感で昔の器のように硬さはあるが柔らかさもあるものを欲しておりましたので、

どなたか土の作り方について研究し作品を作っていないかと探していた時に出会ったのが吉野さんでした。

食器を見ていただければわかるのですが粘土とは違う磁器もののようなシャープな造形と

絵付けの筆もスピードの速さ(器の質感が多分にそうさせていると思う)が感じられます。

 

例えば料理を続けてお出ししていると

現代陶のようなもっさりした造形、質感のものが続きますと献立やお膳にのせたときに

リズム感が鈍くなるように思えます。

まだ土をどうやって作っていくかというのは課題があると思いますが、

吉野さんの遺志を継いでいろんな方に研究していただきたいと思っております。

 

唐津焼の渋い焼き物でほかのその辺の焼き物との違いが分かりにくいかもしれませんが

是非、手に取って見てください。

ちょっとでも気に入ったものがありましたら買い求めて使っていただきたいと思います。

そうしますと似たような焼き物とは芯のところから全く別物であると感じていただけると思います。

 

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