origenesの日記

読書感想文を淡々と書いていきます。

ペガサス流星拳

2008-04-14 23:55:08 | Weblog
聖闘士星矢の冥王ハーデス編を読んでいたら、オルフェという人物が出てきた。彼は竪琴を使って星矢たちを攻撃する聖闘士なのだが、かつて亡き妻エウリディケを追って、冥界へと旅立ったという設定が付与されていた。言うまでもなく、オルフェはオルフェウス神話から来ており、あのマンガの中では比較的ギリシア神話に忠実に描かれたキャラクターなのではないかと思う。ダイダロス、アイオロス、アフロディーテあたりはあまり神話の設定が生かされていなかったような。
聖闘士星矢の世界は一応、ギリシア神話をもとにしているのだけど、なぜかシャカがいたり、ハデスの冥界が明らかに中世カトリックの地獄に似せられていたりと(ダンテ『神曲』が引用されている)様々な文化が独自な形で混合している。

ロヨラとバロック美術

2008-04-14 23:46:03 | Weblog
マルティン・ルターによる宗教改革とイグナティウス・ロヨラによるイエズス会は対照的でありつつも、ともにルネサンスを象徴する宗教者である。
美術史においてはルネサンスの均整のある美術がミケランジェロを頂点として歪みを重視するマニエリズムへと移り、それがやがて動的で劇的表現のバロックへと移っていったということになる。バロックはイタリアを中心とした反宗教改革的なムーブメントでもある。ルネサンス的な均整が崩されたとき、カトリックの美術家たちは、質実剛健なプロテスタンティズムに背を向け、新たなるカトリック美術を創造しようと試みた。カラヴァッジョ、ルーベンス、ベラスケス、レンブラント、ベルニーニといった作家たちの作品は、カトリック美術の新たな世界を描き出すものだった。
彼らは宗教的にはロヨラの徒である。カトリシズムを破壊しない程度にカトリシズムを内部から改革していく。
バロック音楽に関してはどうだろうか。バロック音楽もイタリアとフランスを中心としたカトリック的なものであったと言うことができる。しかしハインリヒ・シュッツを起点とするJ・S・バッハやヘンデルのドイツ・プロテスタント作曲家たちが、カトリック・バロックに新たな流れを作り出す。そしてその流れこそが古典派へと繋がっていく。