origenesの日記

読書感想文を淡々と書いていきます。

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本当に豊かなもの、生命を育むものは

2021-08-15 14:18:30 | Weblog
高橋源一郎『丘の上のバカ ぼくらの民主主義なんだぜ2』を読んでいたら、ル=グイン(『ゲド戦記』)の言葉が引用されていた。
彼女は女子学生たちに向けて言う。男性は上ばかり見てきた、「天」、「神」、「正義」。それの対して、女性は下ばかり見てきた。「大地」、「闇」。しかし、本当に豊かなもの、生命を育むものは上ではなく、下にある。
印象的な考え方だと思う。
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イギリスのブラックコメディっぽいドラえもん

2020-01-11 20:53:31 | Weblog
「この道具を使うと全ての商品の消費税が軽減税率になるんだ。コンビニでイートインしても税率が変わらない。これで計算にも迷わないで済むよ」「凄いね、ドラえもん。でも、全部が軽減税率になったら、日本政府の税収が減って困るんじゃない」「大丈夫だよ(   )」
(  )内のオチはどれが良いだろうか。A「戦闘機を買わなくてもアメリカ大統領と仲良くなれる道具も用意してあるから」B「衆議院議員のクローンを作り出して、参議院議員にするから」C「その分、公的教育にかかる費用を減らせば、国民から知識を奪って制御しやすくなるし、政府にとって一石二鳥だよ」
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排外主義的な政治家

2020-01-11 20:40:40 | Weblog
排外主義的な政治家は人権を重んじないようなイメージがあるが、実態は必ずしもそうではない。ヨーロッパでは「性的マイノリティの人権や男女平等を守るために、価値観を共有しないイスラム教徒を追い出せ」というような主張している政治家もいる(ピム・フォルタイン、ヘルト・ウィルダースなど)「人権」は確かに大事なことなのだが、合衆国で「黒人を隔離するのは白人の人権のためだ」という主張があったことも考え併せると、「人権を守る」という理屈が差別を正当化する恐れもあるように感じている(「環境を守る」も南北問題の助長の可能性を指摘されているが)。
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マルクスの評価

2020-01-11 20:33:05 | Weblog
吉本隆明の対談集を読んでいるのだが、フーコーとの対談では、マルクスとマルクス主義を切り分けなければならないと提唱している。マルクスの思想と歴史上のマルクス主義や共産主義を切り分けるべきだというのは確かにそうだと思うのだが、1982年生まれの私から見ると、戦前生まれの吉本や柄谷行人は過剰なまでにマルクスに拘っているように見える。両者ともに歴史上の共産主義の盛衰を同時代人として体験し、両者ともマルクスの思想を共産主義の失敗から救い出す必要性を(別の形ではあるが)感じているとは思うのだが、果たして平成生まれの知識人はマルクスをどの程度、積極的に後世に残すべき思想家と見出すだろうか。過剰な拘りから離れて、マルクスを、ケインズやハイエクのような「偉大な経済思想家の一人」と評価するかもしれない。
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最近見た映画7

2009-01-12 00:07:18 | Weblog
『ジャンパー』
『スターウォーズ』の新エピソードで若きアナキン・スカイウォーカーを演じたヘイデン・クリステンセンが主演。自分の意思のままに別の場所にジャンプすることができるようになった少年の物語。特に面白くはなかった。
『エリザベス・ゴールデンエイジ』
エリザベス1世を描いたケイト・ブランシェット主演の歴史映画。カトリック復興を強行に推し進めたブロッディ・メアリーの後に女王となったエリザベス1世は、カトリックとピューリタンを抑圧し、英国国教会の徹底を図った。当然この時代においては、カトリックに対する風辺りも強く、当時のイギリスの貴族たちの反カトリック的な感情もこの映画では描かれている。カトリック教徒の家に生まれたウィリアム・バードやシェイクスピアは、このような時代を生きていたがために自らの信仰を隠さなければならなかったのだろう。
エリザベス1世に幽閉されやがては処刑された薄幸の貴族メアリー・スチュアート、無敵艦隊を率いながらも結局はイギリス軍に敗北を喫するスペイン王フェリペ2世、エリザベスに仕える探検家で詩人のウォルター・ローリーなど、歴史上有名な登場人物が独自の解釈のもとで描かれている。
『ダークナイト』
タイトルにバットマンという名がついていない、バットマン・シリーズの最新作。前作『バットマン・ビギンズ』に続いて暗くシリアスなムードの作品であり、快楽殺人を続けるジョーカー役のヒース・レジャーのおどけた演技が観客に恐怖を与えてくる。ティム・バートン版でジョーカーを演じたコミカルなジャック・ニコルソンとは別次元の怖さ。
この映画には2つの重要な対照関係がある。同じく闇を生きるバットマンとジョーカーという対照関係。光の騎士と呼ばれるハービー・デントと闇の騎士バットマンという対照関係。
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荒俣宏『知識人99人の死に方』(角川ソフィア文庫)

2009-01-09 00:28:45 | Weblog
作家や学者、音楽家といった日本の知識人たちがどのように死んでいったかを叙述した本。荒俣版『人間臨終図鑑』と言えようか。荒俣が主な著者ではあるが、章によっては関川夏央(有吉佐和子)、猪瀬直樹(三島由紀夫)、都築響一(稲垣足穂)、武田徹(今西錦司)といった作家たちの手による文章を読むことができる。特に都築の稲垣足穂に関する文章は素晴らしく、足穂という我儘で世間を斜めから見た作家の魅力を伝えてくれる。三島も川端も安岡も安岡も大江も、皆足穂から悪口を言われている。当時は足穂から批判されることが一流作家の条件だったのも。
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私の死はもう眼の前に迫っているが、私は死について何も考えていない。考える事の興味が無い。多くの人が死について色々考えているが、すべて無駄だと私は思っている。
(259)
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第1回芥川賞作家・石川達三が死に迫ったときに言った台詞である。死について人は色々と考えるが、どのような思想も死を的確に表現することはできない。石川のこの考え方は、実は著者荒俣の死に対する考え方に近いのではないかと思う。様々な知識人が死について考えたが、結局それは正しかったと言えるのだろうか。ロシュフーコーの名言にあるとおり、いかに知識人といえども、死を直視することはできなかったのではないか。
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エーリヒ・ケストナー『消え失せた密画』(創元推理文庫)

2008-12-29 20:37:05 | Weblog
クロッツ率いる強盗団に美術品を盗まれたシタインへーフェル。盗まれた美術品を取り戻すために、秘書イレーネ・トリュープナーと彼女とひょんなことから知り合った肉屋オスカル・キュルツが活躍する。ユーモア・ミステリの傑作と言われ、冷静さとはほど遠い直情的な主人公キュルツが特に魅力的な一作である。青年作曲家ルーディ、変装の得意な悪人クロッツ、なぜか憎めないクロッツの手下たちといった登場人物たちもそれぞれが個性を主張している。
20世紀には興味がない、などと言う知的スノッブのルーディが個人的にはベスト・キャラクターかな。
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今谷明『書評で読む歴史学』(塙書房)

2008-12-29 00:48:38 | Weblog
室町時代の封建主義研究で有名な歴史学者が朝日新聞に掲載した書評を纏めたものである。戦後の歴史学を呪縛したマルクス主義について、柳田國男と折口信夫について、織田信長の評価について、邪馬台国論争について、十字軍について、網野善彦について、などなど、洋の東西を問わない著者の歴史学に対する興味を伺い知ることができる。尚、著者は京都大学経済学部出身であり、大蔵省官僚であったこともあったという。ゆえに、歴史学者の中では特に経済や行政に詳しい。歴史学をロマンティシズム抜きに見ることができる著者の批評眼は貴重なものだ。
本書を読んで気になった本。
水谷三公『ラスキとその仲間-「赤い三十年代」の知識人』
政治学者ハロルド・ラスキらがマルクス主義・ソ連礼賛に走ったことについての批判的論考。
フランソワーズ・ジルー『イェニー・マルクス-「悪魔」を愛した女』
マルクスの妻の手記をまとめたもの。
井上章一『狂気と王権』
王と狂気、あるいは王権に対する反逆者と狂気について。
ロイ・ポーター『ギボン-歴史を創る』
ローマ帝国史で有名なエドワード・ギボンについて。
子安宣邦『「宣長問題」とは何か』
加藤周一が適した宣長問題に対する学者の返答。
森山軍治郎『ヴァンデ戦争-フランス革命を問い直す』
フランス革命の負の側面である農民虐殺について。呉智英が好きそうな研究書。
千田稔『邪馬台国と日本』
邪馬台国論争と日本ナショナリズムについて。『魏志倭人伝』を根拠とした九州説に比べて、有力説である畿内説にはナショナリズムの影が付きまとう。
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高階秀爾『本の遠近法』(新書館)

2008-12-26 20:30:09 | Weblog
著名な美術評論家である著者が、専門内外の本に関して綴ったエッセイ。
面白かった比較文化を2つ。
将棋とチェスは同じくインドを起源にしているという。しかしそのルールには違いがある。将棋の特徴は、敵の駒を取って味方の駒にできることである。この将棋のルールはヨーロッパ人には理解しがたいものだという。戦後すぐのときに、GHQから将棋が「捕虜を兵士として利用するゲームだ」と批判されたときに、とある棋士は、「これはかつての敵も味方も平等に扱うゲームだ」と反論したという。
じゃんけんは日本特有のものである。グーもチョキもパーもどれが強いとは言えずに、関係性によって勝敗が決まる。これは日本人の国民性をよく表しているものなのではないか。
専門外のことについてもいろいろと触れられているが、やはりルネッサンス関係や美術関係の書評は濃い。塩野七生のルネッサンス論を評価している辺りは、著者の度量の広さを表しているのか。
特に気になった本。
カントローヴィッチ『王の2つの身体』
中世において王が有していた肉体としての身体、国家としての身体。
ウィリアムズ『文化と社会 1780-1950』
1780年以降、文化という言葉の持つ意義に変化が生じた。異文化との交わりによって、人々は自国の文化を意識しなければならなくなったという。文化と植民地主義の切っては切れない関係を論じた作。
ル=ゴフ『煉獄の誕生』『中世とは何か』
12世紀後半から18世紀末まで人々の心を支配したカトリックの煉獄。19世紀における自然科学の発達(丸い地球に我々は住んでいる)が、煉獄を衰退させたという。ル=ゴフはアナール派の歴史学者。
プラーツ『肉体と死と悪魔』『綺想主義研究』『官能の庭』
イタリアのロマン主義研究者の本。プラーツは『家族の肖像』の主人公のモデルである。
ブルクハルト『イタリア・ルネサンスの文化』
ルネサンス論の古典。高階垂涎のレヴィットのブルクハルト本は良作だった。高階をブルクハルトを引用しながら絵画を楽しむ上では文化的背景が重要だと論じている。絵画を虚心坦懐に味わうべきだなどと言ってはならない、と。
バルザック『知られざる傑作』ジェイムズ『未来のマドンナ』モーム『月と六ペンス』
美術家を描いた代表的な文学作品。
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立川武蔵『空の思想史』(講談社学術文庫)

2008-12-25 00:31:30 | Weblog
すべてのものは空である。ナーガールジュナによって大成され、中観派によって継承された空の思想。それは唯識論のように認識のみを実在とすることなく、認識含めるすべてのものを、超越的存在さえも、空として捉える思想である。著者はインド哲学が専門だが、本書はチベット・中国・日本で空の思想がどのように継承されたかについても述べられている。インド・チベット・日本の大乗仏教の格好の入門書ともなっている。特に代表的な大乗仏教国であるチベットの仏教に関してはわからないことが多かったので(映画『セブン・イヤーズ・イン・チベット』を見たときに気にはなっていたが)、勉強になった。
本書の末尾では、著者によるキリスト教批判が展開されている。現代には、長らくキリスト教文明であった国々でも、仏教への関心が深まりを見せた。著者はこのことを興味深いと感じ、仏教的な智慧が閉塞する現代文明への救いとして機能し得るのではないかと考察している。
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