これまでの同著者の本に比べて、語り口が物語口調で柔らかく、読みやすかった。ロヨラとともにイエズス会を設立したフランシスコ・ザビエルの航海について書かれた歴史書である。
インドを始めとする東方へと旅立ったフランシスコ・ザビエル。その背後には太平洋を支配し「海の帝国」にならんとするポルトガル王ジョアン3世の思惑があった。ジョアン3世は、教皇パウルス3世の命に従い、異端尋問を行った人物でもある。ポルトガルを強大な国へと成長させようとした王の世俗的な欲望。カトリックの教えを世界中に広め人々を救おうとしたザビエルの崇高な意志。この相反するはずのものが合わさり、ザビエルの航海は始まった。
当時、ヨーロッパ~インドへと至る海には、イギリスやオランダの東インド会社の人々やスペイン・ポルトガルを始めとする商人たちが犇いていた。ザビエルの航海自体の大変さもさることながら、インドやマラッカでのザビエルの落胆は大きかったようである。そこではカトリック教徒である人々が娼婦を囲い堕落した生活を送っていたからだ。その落胆は、日本人への期待に繋がっていく。
ヨーロッパの商人たちが活動する海。明帝国の支配する海。この2つの海を旅してカトリックを伝えようとしたザビエルの姿を丹念に描き出した好著である。
インドを始めとする東方へと旅立ったフランシスコ・ザビエル。その背後には太平洋を支配し「海の帝国」にならんとするポルトガル王ジョアン3世の思惑があった。ジョアン3世は、教皇パウルス3世の命に従い、異端尋問を行った人物でもある。ポルトガルを強大な国へと成長させようとした王の世俗的な欲望。カトリックの教えを世界中に広め人々を救おうとしたザビエルの崇高な意志。この相反するはずのものが合わさり、ザビエルの航海は始まった。
当時、ヨーロッパ~インドへと至る海には、イギリスやオランダの東インド会社の人々やスペイン・ポルトガルを始めとする商人たちが犇いていた。ザビエルの航海自体の大変さもさることながら、インドやマラッカでのザビエルの落胆は大きかったようである。そこではカトリック教徒である人々が娼婦を囲い堕落した生活を送っていたからだ。その落胆は、日本人への期待に繋がっていく。
ヨーロッパの商人たちが活動する海。明帝国の支配する海。この2つの海を旅してカトリックを伝えようとしたザビエルの姿を丹念に描き出した好著である。