origenesの日記

読書感想文を淡々と書いていきます。

千足伸行監修『すぐわかるキリスト教絵画の見かた』(東京美術)

2008-04-15 19:05:19 | Weblog
キリスト教絵画を、旧約聖書・キリストの生涯・聖母マリア・聖人といった章分けで紹介する本。入門書的なものだけれども、いろいろと見たことのない絵画が沢山載っていて楽しむことができた。個人的に気になった絵画&主題をメモ。
プッサン「ルツとボアズ」
「ルツ記」をもとにしている。主人公ルツと彼女の姑であるナオミ、ナオミの親類で後にルツと結婚するボアズの3人の物語である。刈りの時期を迎えた田園風景が美しい。
クラナハ「ユーディト」
旧約聖書外伝の「ユディト記」をもとにしている。アッシリアの将軍ホロフェルネスに支配されたベトネア。智謀に長けた未亡人のユディトは、色香で兵士を騙しホロフェルネスのテントに入り込み、将軍の首を取る。ホロフェルネスの首を持つ美女ユディトは、サロメにも似ている。
ストロッツィ「盲目の父を癒すトビアス」
バロック期の絵画。旧約聖書外伝(カトリックでは第二聖典)である「トビト記」をもとにしている。失明した父トビトと孝行息子トビアスの物語。親子は天使ラファエルの加護により救われ、父は視力を取り戻す。
ウーデ「その子らを我に来させよ」
ドイツ印象派の画家。だがこの絵画はどちらかというとバルビゾン派のようにリアリスティックに描かれている。大勢の子どもたちと交わるキリストの姿が描かれており、温かいタッチに癒される画である。
デューラー「4人の騎士」
黙示録に範を取った木版画。四人の騎士は疫病・飢饉・戦争・死の象徴であり、迫力に満ちている。町田の美術館にあるみたい。