origenesの日記

読書感想文を淡々と書いていきます。

レッドクリフ

2008-03-18 23:40:11 | Weblog
三国志演義の赤壁の戦いの映画花が今年上映されるようだ。監督は『ミッション・インポッシブル2』などを撮ったジョン・ウー。主な配役は以下の通り。
周瑜:梁朝偉(トニー・レオン)
諸葛孔明:金城武
小喬:林志玲(リン・チーリン)
孫権:張震(チャン・チェン)
曹操:張豊毅(チャン・フォンイー)
劉備:尤勇(ヨウ・ヨン)
趙雲:胡軍(フー・ジュン)
孫尚香:趙薇(ヴィッキー・チャオ)
チャン・フォンイーの曹操はまさに打ってつけの役だと思う。豪快な曹操が見れそうで楽しみ。金城武はあまり諸葛亮といった感じがしないが…。

不老不死について

2008-03-18 22:37:34 | Weblog
中国には秦・漢・魏晋代に流行した神仙説というのがある。この世には修行によって不老不死となった神仙が存在するという説だ。これは仏教が普及する以前、「死後の生」という概念があまりなかった古代の中国において、長生きを願った人々の思想であると考えられる。この思想においては究極的な目標は、秦の始皇帝が願ったような不老不死となる。
ところで、キリスト教圏ではこの寿命を越えた長生きへの志向というものは希薄である。近代に世俗化される以前のキリスト教においては、現実の世界は死後の世界(神の国)よりも重要性のないものである。キリスト者にとって大事なのは、死んだ後に神の国に入ることで現世で幸福を得ることではない。このような信仰に生きる人々にとっては寿命以上の長生きなど何ら意味のないものである。ましてや不老不死などは、神の国から信仰者を遠ざけてしまうもの以外のなにものでもない。(スティーヴン・キングの『グリーン・マイル』で主人公は、自分の長すぎる寿命のことを神からの罰だと考える)。
不老不死に対する古代の中国人と中世のキリスト教信者の考え方は対照的だと言うことができると思う。私は今のところ不老不死に対する欲求はあまりないかなあ。自分がいつまでも死ねないというのは一つの恐怖だと思うし(『火の鳥』未来篇でそのような話があったけれども)。

小林標『ラテン語の世界 ローマが残した無限の遺産』(中公新書)

2008-03-18 21:46:23 | Weblog
ラテン語学習者向けではなく、ヨーロッパ文化に関心のある読者に向けて書かれており、読みやすい。rivalの起源は同じ川から水をひく者(rivalis)であり、cultureの起源は耕すを意味するculturaである。身近な英語もラテン語から多大な影響を受けており、熱心な英語学習者はラテン語を学ぶ必要があると言われるのもそのためである。6章の「黄金時代の文学者」ではキケロ、カエサル、ウェルギリウス、ホラティウス、オウィディウスといったヨーロッパ文学の源泉となったラテン語作家5人について触れられており、勉強になる。ウェルギリウスと聞いて思いつくのがまずダンテ『神曲』であり、その他にもパーセルの『ダイドーとイニアス』、ヘルマン・ブロッホの『ヴェルギリウスの死』、アンドレ・ジッド『コリュドン』などがウェルギリウス自身とその作品をテーマにしている。ホラティウスの『歌唱』『詩論』、オウィディウスの『変身物語』(Metamorphoses)も西洋文化を語る上で外せない重要な文学作品だ。
以下、メモ。
-一時期ローマ人を支配下においたエトルリア人であるが、彼らはラテン・アルファベットをヨーロッパ世界に広めるのに一役買ったと考えられる。アルファベットを広めたのはローマ人だけの功績ではない。
-イギリスは大陸に比べるとラテン語からの影響が少ないが、マンチェスター、ウィンチェスターといったchesterはラテン語起源である。