origenesの日記

読書感想文を淡々と書いていきます。

五木寛之『蓮如物語』(角川文庫)

2008-03-11 20:22:36 | Weblog
日本の仏教には2つの方向がある。一つは修行を重んじる聖道門、往生を説く浄土門。浄土門は源信によって広まり、鎌倉時代に法然・親鸞によって大成された。蓮如は鎌倉浄土宗の室町時代における後継者であり、15世紀に広く民衆へと仏の救いを説いた。
五木寛之の本なので多少の脚色があるかと思うが、面白かった。幼なじみの少女シズの存在が物語に花を添えている。気になったのは、本願寺の跡取りである彼に対して比叡山の僧侶から嫌がらせがあったということ。「一神教は危険で仏教は安全だ」というが、仏教者同士の権力争いがあったということも記憶しておいた方が良さそうだ。