origenesの日記

読書感想文を淡々と書いていきます。

Cowboy Bebop

2008-03-10 19:38:47 | Weblog
を見ている。全編に溢れるジャズとブルースが心地よい。宇宙空間の描写とジャズ音楽がこれほどまでにマッチするとは。まだ17話までしか見ていないけれども、好きなキャラクターはヴィシャスかな。若本規夫演じる彼が登場すると話が俄然面白くなる。ヴィシャス絡み以外の話では、妹を救おうとした青年の物語であるWaltz for Venusやジェットの過去の話であるBlack Dog Serenade、フェイ・ヴァレンタインの過去の話であるMy Funny Valentineが面白かった。
サブタイトルがなかなか洒落ていて面白い。以下、メモ。元ネタがある場合は右に記した。

Asteroid Blues
Stray Dog Strut
Honky Tonk Women (The Rolling Stones)
Gateway Shuffle
Ballad Of Fallen Angels
Sympathy For The Devil (The Rolling Stones)
Heavy Metal Queen
Waltz For Venus
Jamming With Edward (The Rolling Stones)
Ganymede Elegy
Toys In The Attic (Aerosmith)
Jupiter Jazz (PART 1)
Jupiter Jazz (PART 2)
Bohemian Rhapsody (Queen)
My Funny Valentine (Jazz Standard)
Black Dog Serenade
Mushroom Samba
Speak Like a Child (Herbie Hancock)
Wild Horses (The Rolling Stones)
Pierrot Le Fou (Jean-Luc Godard)
Boogie Woogie Feng Shui
Cowboy Funk
Brain Scratch
Hard Luck Woman (Kiss)
The Real Folk Blues (PART 1) (Muddy Watersなど)
The Real Folk Blues (PART 2)

横浜とプロテスタント

2008-03-10 18:33:07 | Weblog
ヘボンは1859年、北長老派ミッションの派遣で来日した。彼は神奈川の横浜で医者として働きつつも、『和英語林集成』をつくり、ここからヘボン式ローマ字は生まれた。彼と夫人が開いたヘボン塾は、男子のための明治学院と女子のためのフェリス女学院の前身となった。明治学院は1887年にヘボン塾と東京一致神学校を基盤として誕生し、1949年に新制大学となった。1949年は後発のプロテスタント学校である青山学院が新制大学となった年でもある。フェリス女学院は1870年に開設され、65年に大学が設置された。
初期の明治学院には、キリスト教徒の島崎藤村が学んでいるが、当時の日本のプロテスタント教会においては「横浜」というのは極めて重要な場所だったのである。
日本初のプロテスタント教会は1871年に今の関内周辺に建てられた。横浜海岸教会として今も観光スポットとして人気を集めている。

伊藤比呂美『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』(講談社)

2008-03-10 18:24:39 | Weblog
詩人である伊藤が、様々な古典文学(梁塵秘抄、中也、賢治…)から声を借りて、古典を語りなおすことで自身の身辺を描き出した散文文学の傑作である。
巣鴨で暮らす詩人。彼女には外国人の夫と娘2人がいる。寝たきりの母親と老いた父親がいる。自身も50歳を過ぎ、乳も垂れ、老いを感じ始めている。この私小説のテーマは「老いと宗教」と言ってしまってもいいのではないか。
詩人は死に向き合う母親を介護しながら、宗教的な救いを夢想する。しかしそれは「キリスト教」「イスラム教」といった大文字の宗教による救いではない。仏教とアニミズムが混じったような、特殊な宗教的な救いだ。詩人は浄土宗の源信の『往生要素』を読みつつも、ここに見られるあまりにも過酷な地獄の描写に違和感を覚える。一方で賽の河で急逝した子どもたちがたむろする様子を描く「地蔵和讃」にどこか暖かさを感じる。地蔵様は、若くして亡くなった子どもも生まれることさえなかった白子も平等に扱ってくれるんだ、と。
個人的に秀逸だと思ったのが、謡曲「姥捨」の用い方である。若い男性と捨てられた老婆の一夜の出会いを描いた原作。詩人はこの作品を、自分と年老いた父親の関係を描くために転用してしまう。ここで性別は反転する。「姥捨」に潜む男性中心主義を軽やかに批評し、自らの作品の血肉としてしまう。これこそが詩人の力であろう。