道 (真理)

道は須臾も離るべからざるなり 離るべきは道にあらざるなり

世界の金融経済の現状について~Dig

2015-02-27 23:51:52 | OPPT・NESARA・BPPF

2015年2月27日

この数日のメッセージで伝えられている金融経済の動きについて自らに注意を促します。

マスコミに流れる過激なニュースの背景には、旧金融経済と支配体制が崩壊する混乱に乗じ、闇の権力闘争のパホーマンス(演出)が目立ちます。当事者間の犠牲も一般市民の犠牲も少なくなっている理由は、もう先が見えていて公になったときに大儀を保つためだと思います。古来から支配者が生き延びる術です。

下記のメッセージを見るときこのメッセージが、誰を対象にしているか、という見方をしてほしいと思います。

まず第一に王朝には必ず霊能者(預言者)がいて霊的な指導を受けながら時代を生き延びてきました。現代もそのことは変わりません。

次に金融経済は、ほとんど闇の組織です。

市民が肌で感じられる状況として、いつも利用している金融機関の変化があります。政府権力に近かった年金・共済・郵貯・農協・銀行などの膨大な資金の透明化が進んでいます。これは権力を裏で支えていた資金が移動している流れです。

大手銀行の行員が私服になっています。数十年前、国会議員がネクタイをはずしたり、権威を誇示していた市役所や県庁のサービスが極端によくなりました。そのころ松戸市の市長だった松本清という方が市民のため「すぐやる課」という部所を創設して日本中の行政機関にその考えが波及しました。こういう動きが時代を変えています。

駅前の一等地に店を構え金の威厳を押し付けていた銀行員の私服化は、世界の金融の崩壊を意味します。近所の商店になってやがて模様替えしてゆきます。すでに世界の銀行はマーチャントバンク(お金を預かるだけの金庫)に移行しています。金利収入が少なくなり送金など手数料収入に力を入れています。ヨーロッパではもう30年以上前からそういう体質改善を行ってきました。

市民の意識はまもなく大きく変わり始め、若い人はコンビニやネットを利用し銀行にはもういく必要がありません。銀行は高齢者の財産管理に躍起で「振り込み詐欺」などは警察と一体となり善良な市民を巻き込みまるでその後押しをしているようです。

ビジネス環境も含め現状はもういつでも変化に対応できるシステムが準備されていますが、守旧派が自分たちの特権を死守して変化を妨げています。

豊穣資金のメッセージは一体誰に発信されているのでしょうか。金融世界にいる人たちは市民でもありますが、守旧派あるいは闇の支配下にあった関係者でもあります。

資金の流れは受け皿がしっかりしなければ、すべての計画を遅らせてしまいます。

守旧派に資金が流れることは意味がないと思います。

今世界各国では膨大な金額の紙幣が印刷されています。金の裏付けのない紙幣です。

これらのメッセージが何のために伝えられているのか、詳細に観察して自らの問題として受け止める必要があります。

安易な考えは、向上するためのさらなる経験を伴ないます。

これから10年の間にどれほどの進化を遂げることができるでしょうか。

 

シャルダン・ナイルドニュース 2015年2月24日

※  NESARAはあなた方を完全意識の現実に戻すための多くのツールの中の一つに過ぎません。

※  これは繁栄資金についても同じです。一連の予備的な配布は完了しました。しかし、私たちの支援者たちは一時中断する必要があり、間もなくこの複雑なプロセスは再開されます。このプロセスの完了は、現在の統治体を差し替えるように企画されていて、世界的な負債奴隷状態の長い歴史に終止符を打たせます。このプロセスはあなた方に豊かさをもたらすだけでなく、差別と不公正な課税をも終わらせます。

セイント・ジャーメイン 2015年2月26日

※  今は通貨の配布の最中であり、これが進むと、速度が落ちるイベントが多くなることを意味します。それにも関わらず、これでイベントが止まってしまうわけではありません。自分たちのプロジェクトを前向きに進める位置にあり、備えが出来ている者に資金を届けるのがより良く、透明な配布であることが分かるでしょう。あなた方が直面している問題を和らげるために私はあなた方にこの情報をお伝えするのです。

サルーサ 2015年2月27日

※  私たちの優先事項は全ての通貨が次第に等価になるような世界的変化を起こすために必要な行動を開始することです。あまりにも長い間、ある国々が大いに低い評価を受けているので、これらの国々が私たちのリストの最上部に位置しています。金本位制度も再確立され、通貨の限りない価値変更に歯止めがかかります。このような行動は市場を生き返らせ、不当利得を止めさせます。

 Blog NEW SEED 2015 ・ Personal より転載


シェルダン・ナイドルニュース 2015年2月24日

2015-02-25 21:00:24 | シェルダン・ナイドルニュース

2015年2月24日

                           

http://www.paoweb.com/sn022415.htm

SheldanNidle Update

24 February 2015

3 Men, 13 Zac, 11 Ik

セラマト・バリク!良いニュースをたずさえてやってきました!闇の影響全体を解消するプロセスは続いています。適切な祈りと聖なる行動を通じての光が、アヌンナキが遠い昔に設置した障害の内の最後のものを除去する時が非常に近くなっています。この一連の聖なる行動は多量の資金の放出とその恩恵ある配布を実行に移させます。アガルタの者たちは正にこの目的のために作られた特別な聖歌と指令に関する鍵を持っています。これらの行動は正しい聖なる時が来たときにのみ行う事が出来ます。その特別な時は今であり、天はこれらの最後の聖歌を歌う時と方法を指示しています。ガイアはその旅の中でこの密封装置を旨く利用する時点に達しています。私たちの連絡要員はそこで、この最も神聖な仕事を行うように遠い昔に選ばれた光の者たちと共に作業を行います。この時は実に特別であり、全ての必要な聖歌が歌われます。天が選んだ使者たちはこれらの天からの言葉を朗読します。彼らの行動はこの現実のマトリックスを作り直し、あなた方の自由と大繁栄の開始に向けて、この現実を転換させるのに必要な多くのイベントを起こさせます。

この新しい環境の中で、あなた方はアガルタの従兄弟たちと初めて会う事になります。25000年程前のレムリアの破壊から始まった長い間続いている分離は、正式に終了します。あなた方は自分たちの祖先について学んでいて、自分たちがガイアの表面に於いて特別なエイリアンである事が分かりつつあります。あなた方が新しい地理を学ぶと、あなた方のガイアが誰なのかについての考えは新しい方向に向かいます。あなた方の観点のこれらの変化は私たちがあなた方の前に姿を現す最も適切な時を作り出します。本質的に、あなた方は一年間という畏怖の時を過ごしたので、今はあなた方が手にしたこの智恵で新しくやり直す用意が出来ています。NESARAはあなた方を完全意識の現実に戻すための多くのツールの中の一つに過ぎません。クリスタルライトチャンバーの中でのあなた方の回復の時を利用して、私たちは表面と内部の世界の人達の再会をさせます。この再会は地球表面を新しく原始の状態に戻すことになります。その後、恐るべき表面の二元性は動植物が共存する一つのものへと変容します。この原始の開かれた雰囲気の世界は再び二つの大空が存在するものに変化することになります。

想像できるように、この新しい現実はあなた方に新たな責任をも課する事になります。あなた方は内部地球の従兄弟たちに加わり、新統治体を創り出します。あなた方が新たな星間国家を創り出すので、このモデルはこの太陽系全体に広まります。この新しい星間国家には、以前のアンカラ国家が光の完全意識的存在になるという望みの実現を助けよとの指令が天から与えられています。それに加えて、天のミッションの一部として、あなた方は彼らの多くの星間国家の改革を助ける事になります。このミッションはやがてこの組織の当初の目的であるこの大銀河に平和と統合をもたらすような成功に至る支援へと変わって行くことになっています。この大ミッションはあなた方の星間国家を最も大きい尊敬を受けるものに変えて行きます。しかし、あなた方もより多くの銀河を仲間に加えて行くというミッションを抱いています。現在は相互に一体になっている約1万の銀河が近くにあります。私たちの合同ミッションは平和と光を物理的世界全体に広げることです。私たちは創造主(大創造力)の聖なるプランの展開のための他者と一緒になろうとしているのです。

あなた方は変化が具現化する最初の時にさしかかりつつあるので、新しい知識と与えられる智恵を受け取る用意をしていて下さい。遠い昔にあなた方が制約意識の中に閉じこめられた時、あなた方には最初にアトランティス人に、次にアヌンナキ人に嘘をつかれました。新しい現実に対する備えをするので、あなた方には真実が必要です。この銀河は広大で規模は巨大です。それでもそれにはあなた方が知るべき天の秩序があります。私たち全てはこれを認識していて、あなた方に真の祖先と歴史を説明したいと誠実に思っています。あなた方が完全意識を取りもどしたら、あなた方には多量のアカシックレコードについて勉強し、少なくともこの素晴らしい創造の中のどこにあなた方が位置しているのかを十分に把握するようお勧めします。あなた方の多量の経験によって与えられる智恵とこの智恵はあなた方自身の”理解の書”に加えられます。この獲得された智恵を自分の導きに用い、あなた方の星間国家の中に生じるあらゆる問題を創造的に解決するために他の人達と協力する用意をして下さい。あなた方は実に最も素晴らしい新たな生涯の始まりに位置しているのです。

祝福を!私たちはあなた方の次元上昇したマスターです! 多くの素晴らしいイベントが具現化の寸前にあります。私たちの関係者たちはついに起こってくるイベントについて最も大きい幸福感を感じています。闇は長い間私たちの種々の配布を妨げる能力を誇示してきました。彼らの忠実な手下共が忠実であり続けられるのはこれが最後です。この一連の遅延は光がこの矛盾を終わらせる為に必要な書類を入手したので終わりになります。ですから、長い間必要な資金を欠いていた種々のプロジェクトはすぐに適切に開始出来ます。これは繁栄資金についても同じです。一連の予備的な配布は完了しました。しかし、私たちの支援者たちは一時中断する必要があり、間もなくこの複雑なプロセスは再開されます。このプロセスの完了は、現在の統治体を差し替えるように企画されていて、世界的な負債奴隷状態の長い歴史に終止符を打たせます。このプロセスはあなた方に豊かさをもたらすだけでなく、差別と不公正な課税をも終わらせます。

この時点で最も重要な事はこれらの金融資源を利用して、あなた方の夢を実現し、この領域を快適に住める場所にすることです。多くのことを成し遂げなければなりません。私たちは私たちがもたらす教えを知識を増すためだけでなく、あなた方の暮らしを最善のものにするための方法に対する洞察を得るために利用して欲しいと思います。最も大切な事はあなた方がどのようにしてここに来たのか、集合としてどのようにして自分たちを新しい現実に適応させるかを良く理解することです。この領域はたった今輝き出し始めたばかりの実に暗いものなのです。毎日、毎秒毎に天はあなた方に祝福を送っています。これらの多量の祝福と指令を利用し、あなた方が実現したいと思うビジョンを改善して下さい。他者と共同しての仕事をしっかり実施して、愛に満ち、神が与えた責任を果たせるより高いレベルのコミュニティーを創り出して下さい。この目的感を利用してこの世界を良い方向に変えるための大プランを遂行して下さい。

昔、私たちはこの惑星システムを助けるために多くの遠くの土地から来て、この世界に非常に必要な後見人の役割を愛を持って果たしました。私たちは自分たちの相互経験を祝福してこの土地を真のパラダイスにするために用いる祝福として受け取ります。あなた方は私たちの能力を正にその通りに反映する遷移へと近づいています。私たちのプロセスは、智恵の恩恵の内に、あなた方を優しく新しい領域へと導くことです。私たちは数多くの生涯を生きることによって、この仕事を行う為にのみ選び出されました。これらの生涯は私たちをやがてそうなる事へと導いてきました。同様に、あなた方の天のガイドたちは今あなた方一人一人を聖なる方向へと導いています。私たちは彼らを助け、この新しい領域の基礎を作るプログラムを始めました。それ故に私たちはあなた方に常に自分の内側を見つめ、これによる 洞察によって夢に向けての道を確保するようにして欲しいと思います。愛と光は存在する全てだということを忘れないようにして下さい。ハレルヤ!ハレルヤ!ハレルヤ!

今日は、あなた方に良いニュースがすぐそこまで来ていることを保証し続けました。すぐに、この領域は変化することになります。その時まで世界は古い物語と全く変わらないように見えるかもしれません。ですから、ポジティブでいて、何も新しいことが起きないように見えても、集中を切らさないようにしていて下さい。親愛なる皆さん、天からの無限の供給と繁栄が実にあなた方のものであることを知ってください!そうあれ!セラマト・ガジュン!セラマト・ジャ!(シリウスの言葉、一つのものであれ!喜びの中にあれ!)

翻訳:Taki


シェルダン・ナイドルニュース 2015年2月10日 

2015-02-12 19:28:29 | シェルダン・ナイドルニュース

2015年2月10日     

                             

Sheldan Nidle's Update for the Galactic Federation of Light and Spiritual Hierarchy

We are finally playing out the scenario prophesized by Lord Michael eons ago...

from PAO ~ Planetary Activation Organization

2 Imix, 19 Yax, 11 Ik

セラマト・ジャルワ!より良い方向に向けて多くのことが今起きつつあります。古代ファミリーとその永久連合は闇のカバールを跪かせました!この事実はこの最も高貴なこととその素晴らしいミッションに仕える者たちによって大量の資金の移送の始まりという単純な行動という形で知らされています。13000年以上も前にあなた方の祖先たちはアトランティスの没落とアヌンナキの支配と共に大冒険を開始しました。この冒険ではあなた方の祖先に歴史に残る三つの”黄金時代”を通過させました。この全てに於いて、あなた方の祖先は自分たちの主義に誠実で、現在起きている事の舞台を設定しました。起きている事は単に完全意識への復帰の長旅の最終段階です。私たちはあなた方と天からの聖なる指令を倦むことなく実行に移してきた人達に敬意を表します。この現実は大幅に変化しつつあり、あなた方に負債奴隷化状況を終わらせ、自然の尊厳を取りもどし、大いなる豊かさを経験させようとしています。この全ては新統治体とあなた方のスピリチュアル及び宇宙ファミリーの開示に繋がります。

実現しようとしている大変化は永遠によって丁寧にもあなた方に用意された贈り物です。今はあなた方一人一人が完全意識への復帰の準備をする時です。これは天による壮大な行いです。第一段階はあなた方のチャクラとRNA/DNAの変更から始まります。これにはさらにあなた方の多くの身体守護者との協力の下に私たちの種々の医療チームによる日日の調整が加えられました。これらの天使的な者たちはあなた方に対しての計画を持っていて、この計画については、ソウルグループとあなた方に割り当てられている天の管理者たちが詳細を詰めました。これらの聖なるグループは、あなた方の夜間の状態を観察する私たちを助けています。それぞれの調整は実は天が私たちに与える振動との同調です。あなた方は、クリスタルチャンバーに対する備えをさせるための全般の段階の一部である大規模な目覚めのプロセスの一部になる必要があります。これは結局、全ての事における主要点です。あなた方はこの現実から離れ、天と共にあなた方が新たに獲得する能力により適するような調整を行ってゆきます。

新統治体はまず、あなた方をカバールが支配していた政権の残渣から切り離し、長年に亘って政策を設定していた者たち全ての逮捕を実行するため暫定的な機関です。選挙はほとんどがインチキで、主として真の現状に対して明らかな挑戦をしない者を権力の座につけるために仕組まれていました。古代ファミリーとその連合は今新金融システムを構築し、やがては豊かさに基づく貴金属基準の世界通貨改革に繋げる能力を持っています。これがあなた方を世界的な負債奴隷制の中に捕らえてい た通貨システムからの移行の方法なのです。あなた方の世界には私たちが容易に修正出来る、食料、シェルター及び衣料の製造方法を打ち立てられる技術があります。それに加えて、ガイアを助け、目的地に物品を迅速に輸送出来る新しい輸送システムが導入されることになります。これはあなた方にとっての驚異全体の 始まりに過ぎません。カバールは慢性疾患を治療し非常に多くの物を供給する素晴らしい装置を所有しています。

銀河連合は公式宣言を待っています。私たちはあなた方に導師を紹介するだけでなく、もっと素晴らしい技術も供給するつもりです。これらの装置の紹介ができるようになる前に、私たちが持っている技術の幅広いイメージを示したいと思います。私たちの技術でカバールが隠蔽していた技術をあなた方に容易に示せると強く信じています。これはあなた方が完全意識への道筋を進んで行った後である必要があります。これは高度に進んだテレパシーとテレキネシス能力を備えた個人或いはグルー プを助けるために作られているからです。それに加えて、この技術は銀河社会のあり方に極度に適する特別な個人を必要とします。今は人工知能の意味を理解している多くの人達がそれを現状にどのように応用するかについて話し合いをしています。私たちはこのような在りからよりも遙かに進んでいて、天との間の神聖 なリンク、これらの装置、そして私たち自身を構築したのです。公式なデスクロージャーが行われればこれについて更に突っ込んだ話し合いをするつもりです。

ナマステ!私たちは次元上昇したマスターです!喜んで下さい!私たちの智恵を求めている者たちが数多くの技術的項目のうちの最後のものが解決し、最終のカウントダウンがついに始められると知らせてきています。これらの種々の祝福の各々には解決すべき重要な点がありました。私たちの多くの関係者たちはこれらの種々の問題にたいする解決策を考えてきました。親愛なるあなた方には、自信を持ちポジティブでいて欲しいと思います。数多くのもっとも歓迎すべき恩恵があなた方に与えらようとしています。この現実の大きく異なるものへの変容を見て、喜んで下さい。天は実に私たちを祝福し、私たちの栄光の仕事を助けるための数多くの奇跡をおこしました。私たちは勝利しつつあり、負債奴隷を終わりにさせ、豊かさとあなた方の貴重な尊厳を取りもどす統治体の勃興を見ようとしています、

この新しい神聖な環境はあなた方の出自と歴史の容易な発見の単なる先駆けにすぎません。これはあなた方が取った自由への困難な道のりをあなた方にはっきりと見させるために天が行おうとしていることです。遠い昔に、闇のカバールはあなた方にこの道を旨くたどらせないような方法を講じました。私の子供たちよ、実に時々、極めて厳しく思えました。この全ては今だから言えることです。これを自分の内側と周辺で感じる準備をしてください。闇はこの銀河と他の銀河の中で連合を組む試みをしています。彼らの努力はすげなくはねつけられ、今大いなる歓喜がこの銀河全体に行き渡っています。光のみがそのすばらしさを広げ、闇はこの素晴らしい現実に変わっています。私たちは最も貴重なイベントを達成しました。ポジティブであり、大きい一連の宣言が近づいていることを知って下さい!

 

今、あなた方はある大変化の縁に立っています。アヌンナキさえも闇が大君主でありたいと望みましたが、今は光の大勝利を喜んで下さい。私たちはついに大昔にロード・ミカエルが予言をしたシナリオの実現をなしとげつつあります。この作戦には長い時間がかかりました。これまでの間に数千年が経過しました。あなた方はこの世界と別の世界の両方から来ています。自分たちの資源と能力を使って闇に対する勝利に後見した者たちに感謝します。この聖なる演劇は頂点に達しています。光は間もなく前面に出てきて、あなた方が真に成し遂げたことを詳細に述べてくれるでしょう。その時には、天のグループとしての私たちはあなた方に数多くの静かな宣言が行われるのに備えています。これらはあなた方に私たちの約束を果たした多くの者から行われます。私たちの言うことに耳を傾けて下さい。ホッサナ!ホッサナ!ホッサナ!

今日は今起きていることをお話しました。私たちは単にあなた方に辛抱と支持をお願いします。この世界は最近の数十年の間に多くのことを切り抜けてきました。最終解決の時が急速に近づいてきています。ポジティブであり最も神聖な動機を持つ私たちを助けて下さい。親愛なる皆さん、天からの無限の供給と繁栄が実にあなた方のも のであることを知ってください!そうあれ!セラマト・ガジュン!セラマト・ジャ!(シリウスの言葉、一つのものであれ!喜びの中にあれ!)

翻訳:Taki


第46話 大師涅槃に入られ、観世音菩薩に封ぜられる、 本編(完)

2015-02-11 02:20:45 | 観音菩薩伝・観音様

2015年2月11日

 

第46話 大師涅槃に入られ、観世音菩薩に封ぜられる

 いよいよ、大師が涅槃入寂される時刻が来ました。大師は用意した香湯で沐浴浄身して法衣と頭巾を纏い、後事を保母と永蓮に託しました。

 耶麻山麓に住む老幼男女の信者は、大師の涅槃入りを聞き、続々と玲瓏閣に集まって来ました。また保母が走らせた急使は、飛ぶようにして宮殿に向かいました。

 この時宮殿の妙荘王は、昨夜見た変わった夢を思い出しながら、部屋の中で落ち着きも無く暗い表情で歩き回っていました。保母からの急使と聞いて、妙荘王は不安な表情を隠しもせず、直ぐに部屋に入れました。使節から「大師が今宵涅槃に入られます」と聞いて妙荘王は一瞬血の気が引いて顔面蒼白となり、肩を落として失望のどん底に突き落とされたようでした。

「矢張りそうであったか。退ってよい」

 急使を退らせた妙荘王は、深々と椅子に倒れ込みました。実は昨夜、夢・現(うつつ)の中に大師と会ったのです。寝間に入って小半刻した頃でしょうか、枕元に一柱の菩薩が現れました。驚いてよく見ると、紛れも無く愛娘の妙善姫です。左手に浄瓶を持ち、右手に一枝の柳を持っています。姫は、父王に笑顔を見せながら

「父王様、私達は縁あってこの世で父娘に結ばれ育ちました。有難い事です。お陰で私は一心に修行に励むことが出来、ここに正果を成就して尊くも彌陀から『大慈大悲・尋声救苦・広大霊感・観世音菩薩』に奉ぜられました。これから三十二相に変化顕現して衆生の霊苦を救います。将来、父王様臨終の時にはお救いに参ります。どうか父王様も佛門に帰依し、罪業を清算して修行に尽くし、羅漢体を得て下さい。それでは、これでお別れします」

 大師はにっこり笑い、妙荘王に深く揖礼して立ち去って行きました。妙荘王は呆然としていたが、はっと気付いて

「待っておくれ、妙善」

と大声で叫びました。叫んだ瞬間に目が覚めましたが、全身汗でびっしょりです。父と娘が別れるとは不吉な夢を見たと思い、夜が明けるに従って嫌な予感が走り、いらいらしていたところでした。

 独り部屋に籠る妙荘王の胸に、色々な思い出が走馬灯のように流れます。幼くして母と別れ、花園で苦しみ、長じて白雀寺での労役、処刑と入山、須彌山行脚と苦難の多かった妙善、けれども魔難を克服して立派に成長した妙善、止め処も無く涙が頬を伝わります。やがて妙荘王は力なく立ち上がり、妙音と妙元姫を呼ぶように命じました。入って来た二人の娘に一部始終を語り

「早く行って、大師に別れを告げてくるが良い」

「父王様も参られますか」

と聞く両姫に、淋しそうな横顔を見せながら

「いや、わしは行かぬ。二人で行って、わしの代わりを務めてくれ」

と言いました。二人の娘は、父王は大師の涅槃を見るのが辛く悲しいに違いない、だから行けないのだと察して、強いてお勧めもせず、そのまま連れ立って金光明寺へ急ぎました。

 金光明寺は何時の間にか大勢の人が詰め掛け、犇めき合って身動きも出来ないほどです。慈悲深い大師とお別れするために集まった人々ではあるが、また一面、涅槃の歴史的瞬間をこの目で見て子々孫々後世に語り継ぎたいという気持ちもあったのでしょう。殊に玲瓏閣の周囲は、人でぎっしり詰まっています。

 妙音・妙元両姫は、急ぎ修房に入りました。大師を見た瞬間に感情が昂ぶり、涙で霞んで声も出ません。金光明寺晋山以来の再会が、涅槃入寂の日となりました。妙音・妙元姫にとっては、これ以上の悲しい事はありません。だが大師は、微笑みながら言いました。

「二方の姉君、喜んで下さい。私は、いよいよ今夜涅槃に入ります。生死別離は人の世の常、永遠に息むことがありません。昨夜私は自在を観じて菩薩道の極致、阿耨多羅(あのくたら)三藐三菩提(さんみゃくさんぼだい)を得ました。これでお別れしますが、悲しまないで下さい」

 妙音姫は、悲しみを抑えながら訊きました。

「父王にお別れを告げないのですか」

「既に昨夜会ってお別れしましたからよいのです」

 これを聞いた両姫は、父王の見た夢は事実だと知り、更に妹姫に対する尊敬の情を高め、姉妹の縁を結び得た幸運を喜びました。二人の胸に佛門に対する帰依の念いが突然のように込み上げ、思わず叫ぶように言いました。

「大師よ、私達二人も今から帰依すれば救われますか」

「今からでも遅いと言うことはありません。過去を懺悔し、我執を離れ、真心を以って修めたら得道の機会を得て人天を超越できましょう」

「では、今すぐ私達の帰依をお許し下さい」

 大師は頷いて答えました。

「喜んでお受けします。それは、二人の姉君にとって最も喜ばしい事です。どうか今後は求法に専念なさり、正法を得て佛陀の説かれた四諦(苦・集・滅・道。苦・集は悪因悪果、滅・道は善因善果)の理を悟り、八正道(聖者の道。正見・正思惟・正語・正業・正命・正精進・正念・正定)を行ない、善果を修め、罪業を滅ぼして正しい如来の教えを遵守して下さい。私達が人界に姉妹として生まれ合わせた事も、深い因縁があります。姉君の夙世の善根は、浅からぬものがあります。妙音姉君は、やがて理・定・行を司り、妙元姉君は、やがて智徳・証を司り、共に一切菩薩の上首となり、常に如来の化導摂益の事を助成し、衆生の命を延ばし正法を宣揚されましょう。宜しく修行して下さい」

 今度は、妙元姫が訊きました。

「父君は、心から非常に大師の事を思っておられます。父君にも、得道聞法の機縁がありますか」

「父君もやがては佛門に帰依しなければなりませんが、しかし今はその時期ではありません。それは

白雀寺で焼き殺した五百余名の比丘尼の生命を償った後になります」

 三人が話し合っている中に何時の間にか日がとっぷりと暮れ、四方で焚かれた松明や篝火の焔が夜空に映えて、玲瓏閣を鮮やかに浮かび上がらせています。大師の部屋に多利尼が入って来て、準備が整ったことを謹んで知らせました。その後ろから老宰相アナーラが、悄然とした姿を見せました。

「大師、何故そんなに涅槃に入ることを急ぐのです。私は一体どうなるのです。私も職を辞して大師に帰依しようと思っていますのに」

「佛門に入ることは、在職・在家のままでも出来ます。帰依は象よりも心が大事です。宰相よ、私はそなたに大恩を受けています。そなたのお陰で、修行を全うすることが出来ました。将来は、必ずよい報いがありましょう。また、菩薩道を行ずる者の永き祝福と報恩を受けましょう」

「勿体ない。大師の御言葉を聞いて、将来に光明を見出しました。私は、終身必ず大師に帰依します。大師とお別れするのは一番辛いことですが、今此処で大師の涅槃を親しく見られることは終生の光栄です。玲瓏閣へ一緒にお供させて下さい」

 老宰相の願いに、妙音・妙元両姫も共に願い出ました。大師は快く承諾し、静かに立ち上がりました。保母と永蓮が両側から寄り添って、奥殿へと進みました。その後ろに、多利尼・舎利尼・妙音・妙元姫、アナーラ宰相が続きます。

 奥殿に入られた大師は、丁寧に彌陀と佛陀を拝してから、卓上にある浄瓶を両手で捧げ持ちました。奥殿から玲瓏閣にかけて、目を真っ赤に泣き腫らした比丘尼達が並んでいました。大師は、静々と玲瓏閣に登られます。下の広場には耶麻山麓の信者が、寂しさと悲しさを織り交ぜたような表情で土下座して待っております。大師は四方の群集に向かって、合掌しながら語りました。

「私の愛する比丘尼・優婆塞(うばそく)・優婆夷(うばい)達よ。私はこれから涅槃に入り、南海の普陀落伽山へ参ります。今後は諸衆に接して親しく口で以って説法することは出来なくなりますが、肉体というものは早晩滅びるものです。私は既に正覚を得て、消滅の無い自在身を得ました。生死を超越したこの霊魂に、死という言葉は当てはまりません。私は、三界の衆生の霊苦を救うことを発願(ほつがん)しています。肉体のままでは、限られた数の人しか救えません。肉体を捨ててこそ、十方に遍く示現して、災厄や塗炭の苦しみを救うことが出来るのです。決して悲しみ嘆くことはありません。私は永遠に、あなた達の側に居て常に護っています。諸衆達は今後更に、大勢の人や子孫に語り継ぎなさい。もし無量百千萬億の衆生が苦悩・死厄に於いて救われざる時は、一心に私を求めなさい。さすればその憂苦の音声(おんじょう)に応じて即刻私が来て、その尽くを払拭し解脱させて上げましょう。大火に焼かれ、洪水に溺れそうな時、暴風に遭った時にも私を求めなさい。早速威神力を発して、その危難を救いましょう。大海で嵐に遭い船が沈没しようとする時、龍魚猛獣羅刹悪魔の害を受ける時、怨賊に囲まれ悪人に追われ高山より墜落する時、また刀兵乏難・囚禁・呪詛の害が及ぶ時、その他色々な苦しみや恐怖を受けた時には私を求めなさい。即座に威神力を発して、その災難を払い除けましょう。もし淫慾が多く、瞋恚が多く、愚痴が多い場合も私を求めなさい。忽ち、その念を取り除いて上げましょう。

 私には、広大な智慧観及び慈悲の真観があります。常に願い常に望めば、無垢清浄な光があって慧日諸々の闇を破し、能く災の風火を伏し、遍く明らかに世間を照らしましょう。如何なる富貴貧賤の階級の人も、真心を以って罪を懺悔し、過ちを後悔すれば彼岸が待っています。苦海に窮まりはありません。一日も早く、無等等呪の正覚を証すべく目覚めて下さい」

 大師の一言一句は、人の心に響き、聴く人を感動させずにおきません。群集は大師の最後の御言葉を一言も聞き洩らすまいと、真剣に耳を傾けています。大師の嘱咐が終ると、悲しく重苦しい静寂が辺りを包みます。ただ粉火の爆(はぜ)る音と共に、燃える松明の焔が大きく小さく風に揺れて荘厳な大師の姿を浮かび上がらせています。

 説法を終えた大師は右手に柳の枝を持ち、これに浄瓶の水を付けて四方の群衆に振り掛けました。数回同じ事を繰り返してから、小声で偈を誦えました。

「甘露と法雨を散らして、汝等の煩悩の焔を滅す。

 柳の枝の一払いを以って、水火風の災難を消除(のぞ)く。

 凡ゆる所で吾を求めば、凡ゆる所で汝等に応う。

 常に苦海に迷う衆生を、永く救い続けて終らず。

 肉体や世の總ては亡ぶと雖も、真身の実相は常に滅びず」

 大師は誦え終って右手と左手を交差させ、ゆっくりと椅子に腰を下ろしました。この時、突如空中から一条の光が射したかと思うや、大師の身体から金色の光が輝き、その身体は静かに空中に浮かび上がりました。跣足のお姿で左手に浄瓶、右手に楊柳を持ち、燦然と輝く大師の御法像は、金色の光に乗って上へ上へと昇って行きます。余りの尊厳さに大勢の群衆は騒ぐことも忘れ、掌を合わせてただ見送るばかりです。そのお姿も、やがて雲間に消えてしまいました。はっと気付いた永蓮が目を椅子に戻すと、そこには天界に消えた筈の大師が元のままのお姿でおられます。大勢の群衆も、閣上を見上げてどよめきました。保母が近寄って、御身体に触れました。

「大師は、涅槃に入寂されました。大師が・・・」

 激しい嗚咽と共に保母の告げる声が群衆に届くや、今まで静寂を守っていた群衆は一度に堰を切ったように大声で泣き出しました。

時は九月十九日、何時の間にか半分に欠けた月が出て、常に変わらず塵界を照らしています。夜は深々と更け、一陣の秋風に音も無く散る枯葉、何時までもその場を離れようとしない群集の頭上で、今まで美しく輝いていた大きな星が流れるように青い尾を引きながら悲しく消えていきました。

本編(完)

 

観世音菩薩伝(後記)

                            
                          
  

この観世音菩薩の御真影は、砂盤を通じた予告どおり千九百三十二年十二月吉日、中国江西省東部の上空獅子雲中に示現されたものです。指示された時間と場所の空中に向けてシャッターを切った数十台のカメラの一つに、この映像が撮影されていたと伝えられています。これは妙善大師が昇天入寂された時、すなわち観世音菩薩として成道された時のお姿です。従って成道後の尊称は、大師から菩薩に変わり、菩薩道を極めた人の最高位となられました。

菩薩成道の感激的光景に立ち会ったアナーラ宰相は、保母様と永蓮様を伴い、妙音・妙元両姫に従って早速宮殿に参内し、大師の涅槃入りを妙荘王に詳細に報告しました。妙荘王は悲しみと良心の呵責に苛まれ、深く前過を懺悔しました。そして直ちに命を下し、菩薩のご遺体を香布で鄭重に包み、防腐の工夫を凝らした上で栴檀の大香木で特製した棺槨(かんかく。柩)に固く納め、菩薩の墓稜として改築した玲瓏閣にこれを安置させました。更にこの楼閣を大慈大悲観音閣と改称し、永遠に後世の香煙を享けさせるようにしました。また菩薩のお姿を後世に留めるため、一流の工匠に彫刻させた彫像を金光明寺の奥殿に供奉し、絵師に依頼して壁にそのお姿を描かせ、人々に菩薩に対する親近感を末永く抱き続けさせるよう配慮しました。国中に止まらず隣邦外地の民衆も早速これに倣い、寺院は勿論家庭の祭壇に菩薩像を祀り御生前のを讃えました。

菩薩が須彌山へ行脚された途中に立ち寄られた村やの人々、わけても菩薩の恩恵を蒙った人達は、大師入寂の報に接するや延々群を成して興林国へ巡礼し、懿徳(いとく)を偲んで心から菩薩の大乗慈悲心に感泣しました。そうして菩薩の大徳が、この人達の口伝によって、波紋が広がるように西域から須彌山の行程沿いに北天竺にまで鳴り響きました。菩薩の徳風威光は更に大乗信仰の人達によって全天竺から全佛教伝播の国々へと伝えられ、佛陀の教えを遍く各地に広めました。つまり佛陀の真髄を体得された菩薩は、大乗思想の気運を盛り上げさせ大乗佛教を一段と興隆させ、佛教の一層の伝播に大きく貢献しました。正しく佛教あっての菩薩でありますが、また菩薩あっての佛教でもあります。

金光明寺は、菩薩の遺命により保母様と永蓮様が住持を務めましたが、実務は専ら多利尼と舎利尼が勤め、二方は菩薩道に専心奉行しました。この二方は、菩薩成道の大功労者であります。

妙荘王も、その後佛門に帰依しました。上は王から下は庶民に至るまで固く彌陀を信じ、佛陀の教えと菩薩の訓諭を忠実に守り行なって怠りませんでした。妙荘王の佛門帰依には、次に述べるような動機がありました。

菩薩が入寂して二・三年後、突然大病を患いました。その病は普通の病と違って全身に瘡腫(そうしょう)ができ、腫物(できもの)が破れて血や膿が流れ出し肉が腐り爛れてその痛さは針で刺すようで、他に譬えようもありません。妙荘王の苦悶する形相は見るも凄惨で、八方に手を尽くして医者を集め治療させたが、薬功は全くありません。その中、昼は痛みで呻されるばかりでなく、夜になると数知れぬ亡霊・死霊が夢枕に立って悩まされるため、心身共にすっかり痩せ細り、見るも哀れな生きた屍となりました。このような忌まわしい空気が国中に漂っていた頃、一人の老医者が宮殿に現れて、妙荘王を診ました。

「この悪病を治すには、ぜひ自分の血縁に当たる人の目と指を薬と配合して飲む以外に術はありません。これは、焼き殺された五百余名の尼僧の怨恨が憑き纏っているためです。はっきり言ってこれは寃孽(えんげつ)の症状で、尋常の薬石で癒ることはあり得ません」

妙荘王は失望しました。血縁の繋がりがある者と言えば、妙音・妙元の二姫しかおりません。その二人も今は、佛門に入って菩薩道を行じています。譬え佛門に入っていなくても、目をえぐり指を切ることは出来ません。妙荘王は、自分に纏わる不吉な運命に身を任せようという一つの悟りに達しました。今までに犯した罪の報いであるなら仕方がない、自分が病み苦しむことにより加害された無数の寃魂が救われるなら、このまま苦しみぬいて死ぬことがせめてもの償いになると思い至って、きっぱりと老医者の勧告を拒絶しました。老医者は、妙荘王の真実の告白と懺悔を聞き終えると、急に目を輝かせながら

「驚きました。もはや絶望と診断しましたが、只今の懺悔と捨て身の願心によって急に容態が変わりました。癒す方法が一つ見付かりました。速やかに誰かを遣わして、大香山に登らせなさい。そこの精舎に目的とするものが置いてありましょう」

妙荘王は観念したのか首を振ったがアナーラは、松林精舎へは曾て大師を訪問したことがあるので自ら使いを買って出て、早速早駕籠を飛ばして大香山へ向かいました。往年姫を尋ねて大香山へ向かった情景がアナーラの心中を過ぎり、感慨正に無量です。松林精舎は、以前姫が絞首刑に遭った時、神虎が突然現れ姫を咥えて入った所です。

アナーラ宰相は松林精舎に到着するや早速門内に入って調べると、中央の卓上に小箱があり、ふたを取ってみると中に香布に包まれた両眼と指が入っていました。アナーラはこれを謹んで持ち帰り、老医者に確かめて間違いないと解るや早速治療を依頼しました。老医者がその眼と指とを薬に配合して施術したところ、不思議にも妙荘王が見る見る中に元気を取り戻し病気が癒えました。大いに喜び感激した妙荘王は恩賞を取らせようとしたところが、老医者は固くこれを拒み妙荘王に言上しました。

「実はこの指と眼は、王様の三番目の姫である菩薩のものであります」

妙荘王は、驚きの余り声も出ません。しかし本当だろうか、と一抹の不安と疑念を抱きました。顔色の変化を読み取ったのか、老医は

「信じなければ、観音閣に安置されている菩薩の御遺体をお調べになれば解りましょう」

と言って立ち去りました。

早速王が自ら観音閣に参って調べてみると、果たして老医が言ったとおり、菩薩の遺体から眼と指が抉り取られていました。妙荘王は痛ましさと、人の子としての孝心を失わない菩薩の厚い心遣いに痛く感動し、自分の犯した罪業の深さを益々痛感し世を儚んで城に戻らず、そのまま大香山の松林精舎に出家してしまいました。その後修行に励み正果を得て遂に「大荘厳善勝菩薩」に封ぜられ、国母寶妃も「大聖慈萬善菩薩」に加封されました。

その後王位は妙音様の婿である超魁様か、妙元様の婿である可鳳様かのどちらかに継がせるようにと命じられたが、二人とも妙音様・妙元様の強い感化力を受けているため堅くこれを辞退し、遂には出家してしまいました。困り果てたアナーラ宰相以下の大臣・高官が集まって相談した結果、妙荘王の弟であるシッタンタツ様を立てることにしました。この王弟も始めは堅く辞退したが、兄妙荘王と重臣達のたっての要望で已むを得ず王位を継承したのでした。かくして菩薩の感化力は、人を無慾にし譲り合うことを美徳とさせました。

シッタンタツ王は、菩薩の説法と行蹟を記述させてそれを経典とし、菩薩の大乗慈悲行を体して治国に当たりました。そして佛教を国教に定め、布教師を諸国に遣わし、佛陀の真旨と菩薩の真行を宣揚しました。

 このようにして菩薩の有形無形の影響は人々の心の中に沁み込み、人徳を崇めるようにその心を感化しました。アナーラ宰相はその後一切の国務・政治をシッタンタツ王に返上し、妙荘王を追って大香山に登り出家して修行に励んだが、日浅くして没しております。

妙音様はやがて菩薩の遺言どおり大智師利文殊菩薩(だいちしりもんじゅぼさつ)となり、妙元様は大行能仁普賢菩薩(だいぎょうのうじんふげんぼさつ)に成果(じょうか)されました。

幼い時に国母を失って以来ずっと菩薩を愛し守り共に苦労をして来られた保母様は、菩薩保護の大功によって保赤君菩薩(ほせきくんぼさつ)に封ぜられ、また永蓮様は長年の菩薩随持の大徳によって持香龍女菩薩(じこうりゅうにょぼさつ)に封ぜられ、共に末永く菩薩の霊前に侍って離れることはありません。きっと無限永遠に菩薩に随って、世衆の厄難と業苦を救い続けられることでありましょう。

 かの奇童であった畛英様も菩薩が入寂されてから翻然と悟り、これまた大香山の松林精舎に入って一心に修行に励みました。本性は聡明で霊気に優れていたので参悟も頓に早く、普通人の遠く及ぶところではありません。功徳円満となった後は善財童子に封ぜられ、菩薩の蓮台の下に収められました。

その後耶麻山の金光明寺は尼僧寺として発展し、大香山の松林精舎は比丘尼達の寺院として規模も共に大きく膨らみ、勤行に精進する人は日に日に増加の一途を辿って行きました。

人類が歩んで来た永い歴史を通じて菩薩の庇護と保佑を受け、慧光と慈愛を享けた人は何十億何百億あったか分かりません。仮令日月の光が潰えることがあっても菩薩のは滅することなく、また減ずることもなくその威神霊は遍く拡がり、その威光は大きく輝いて世人を照らし、その御意思は後代に受け継がれて青史に馨り続けられましょう。

正しく菩薩生誕の時に老翁が予言したとおり、菩薩は人世を化して佛國としました。一度に咲いた華が一度に散るように菩薩の人間生活は僅かに十数年の短い期間でしかなかったが、百年生きるよりも価値があり、千年生きて勤める以上の大きな聖事を果たされたのであります。

観世音菩薩には、千手・千眼、聖、馬頭、十一面、准胝(じゅんでい)、如意輪の六観音の化身のほか、楊柳、龍頭、持経、圓光、遊戯、百衣、蓮臥、瀧見、施薬、魚藍、王、水月、一葉、青頚、威徳、延命、衆寶、岩戸、能静、阿耨、阿摩提、葉衣、瑠璃、多羅尊、蛤蜊、六時、普慈、馬郎婦、合掌、一如、不二、持蓮、麗水観音等の分身があります。時と場合に応じて菩薩はこれらの分身に変化し、随地に色身を示現なされては人々の苦難を助けておられます。これら何れのお姿も、世を愛し衆生の霊苦を解脱させるために顕現されたのであります。菩薩のお働きが余りにも大きいため後来経典の上にその状況が無限に表現され、そのが讃えられました。その一例として『観無量寿経』の中に

「この菩薩の身の丈は八十萬億那由他由旬(*)で、身は紫金色、頂に肉髻(にくげい)あり、頚に圓光あり。面は各百千由旬、その圓光中に五百の化佛あり、釋迦牟尼佛の如く一つ一つの化佛に五百の化菩薩あり、無量の諸天が以って持者となり、挙身光中、五道の衆生、一切の色相みなその中に於いて現ず。頂上の毘楞迦摩尼寶(びりょうかまにほう)は以って天冠となす。その天冠中に一立化佛あり、高さ二十五由旬なり。観世音菩薩の面は閻浮壇(えんぶだん)、金色の如し。眉間の毫相に七寶色を備え、八萬四千種の光明を流出す。一つ一つの光明に無量無数の化佛あり、一つ一つの化佛は無数の化佛を以って持者となす。変現は自在にして十方世界に満ち、譬えれば蓮華の色の如し云々」

とあります。

菩薩のは人類の続く限り絶えることなく人々の魂の中に刻み込まれ、菩薩信仰は限りなく盛んになりましょう。菩薩は婦人として最高の道と法を得られたお方であり、最上の道徳を歩まれたお方であります。素直で清純で汚れを知らない山奥の谷間に咲く美しい紫蘭の花のように、遠くからでも近くからでも美しく芳しい香りを漂わせており、富貴に生まれて富貴に染まらず、栄華に生まれて栄華に汚されない麗しい大慈大悲の菩薩、一切の苦厄と魔障を救脱される菩薩、福徳智慧の圓満なる菩薩は、永遠に窮まりなく変化して三界十方の衆霊を救い続けられることでありましょう。実(げ)に菩薩は、過去の衆生だけでなく、現在・未来を通じて永遠に衆生の救星になられることでありましょう。慈悲に満ちたその温かい御相貌は、人類の究極理想とする母親であり、尊敬し崇拝して止まない偉大なる萬世の師表でもあります。

(*)我が国および中国など漢字文化圏では、数の単位としては一萬(万)刻みに大きな数を表わす事が慣わしとなっています。小さい方から順に示せば、萬・億・兆・京(けい)・垓(がい)・溝(こう)・潤(じゅん)・正(せい)・載(ざい)・極(ごく)・恆河沙(ごうがしゃ)・那由他(なゆた)・阿僧祇(あそうぎ)・無慮(むりょ)・大数(たいすう)・不可思議(ふかしぎ)となります(垓の所またはその次に、稀・穣を入れる説もあります)。つまり那由他は非常に大きな数を表わす単位で、一那由他は一の次に〇が四十八個付いた数です。これは一億を六回続けて掛けた数に相当し、大宇宙に存在する総ての星の数よりも遥かに大きな数です。

由旬は古代インドで用いられた長さの単位の一つで一由旬は約十一キロメートル、あるいは十四キロメートル余りと言われています。中国では六町を一里として三十里または四十里、あるいは十六里に当たるとされています。

最後に、恐らく誰もが疑問に思われる数々の化身をされた老人、長眉の老翁、百衣老僧、予言者白髯老人或いは老医師等の御本体は燃燈古佛の化身されたお姿でありました。仙佛は時運に応じて、随所に分霊化身されます。諸佛祖の顕現護庇があってこそ、始めて菩薩の成道がありました。これも無量の寿命・無量の光明であられる彌陀の御配慮と慈悲深い本願と存じ、深く礼拝感謝を捧げる次第であります。

 (完)


観音菩薩伝~第44話 奇童、計を使って浄瓶に柳の枝を挿す、第45話 大師、比丘尼達に最後の説法を行なう

2015-02-10 00:17:51 | 観音菩薩伝・観音様

2015年2月10日

第44話 奇童、計を使って浄瓶に柳の枝を挿す

 その後、大師は老翁から授かった浄瓶を奥殿の壇卓の上に安置し、独り修房に籠り結跏趺坐して内功の修行を続けられました。この日から誰ともなく金光明寺の屋上に、夜になると金色の光が燦然と輝き大光明を放つのを見た、と言う話が至る所に拡がり、大師の法身は神通無礙になられたということで、人々の心の中に大師の菩薩道に精進成就されることの祈願が一層深く込められるようになりました。

 一方、寺院の衆尼は、誰もがこの白玉浄瓶の由来を知っていますので、敬虔な気持ちで朝晩仕えて怠りありません。永蓮は、毎日比丘尼達から浄瓶の消息を聞いて、常にその変化に備えていました。

 こうして何事もなく、一か月の光陰が過ぎ去りました。その頃、畛英(しんえい)と呼ぶ十二・三歳の使い走りの小坊主が金光明寺に来ました。非常に剽軽(ひょうきん)で明るく、よく冗談を言ったり、おどけたりして絶えず比丘尼達を笑わせていました。時には大真面目な顔で嘘を吐き、正直な比丘尼を驚かせることもあります。この畛英も浄瓶の由来を人から聞いて知っていたが、まだ子供であるうえ、何時まで経っても浄瓶に柳の芽が生えないので、だんだん浄瓶の話が信じられなくなってきました。当然の理として、誰かが瓶の中に水を入れたり柳の枝を挿さない限り、自然に水が湧いたり、柳が芽生える筈がない、と畛英は思い込むようになりました。

 ある日、奥殿の前を通り掛かった畛英は、壇卓の上に安置してある浄瓶を見て、ふと悪戯心が湧きました。私が水と柳の枝を入れてみよう、と思い付いたのです。子供らしい戯れの心が、大変な結果を招くとは露ほども知りません。早速様子を窺ってみると、比丘尼達が始終出入りしていて、とても中に入り込めそうにありません。それではと夜になって忍び込もうとしたが、夜番の比丘尼が交代で勤行しており、これも叶いません。深い悪気があってしようとするのではなく、ただ皆を驚かせよう、どんな表情で驚くだろうか、という軽い気持ちからの思い付きであったが、三か月が過ぎても付け入る隙がありません。こうなると子供心にも意地を張り、どうしてもやってやろうと真剣に考えるようになりました。

 こうしている中に一つの計画が思い浮かび、早速実行に移しました。先ず畛英は山に入って楊柳の枝を手折り、誰にも気付かれないように一桶の水と楊柳の小枝を持って奥殿の隣部屋に入り、そっとこれを隠しました。それから別棟の薪木(まき)小屋に行き、枯れ草に火をつけて、素早く元の隣部屋に戻り身を潜めました。火は折からの風に煽られ、薪木に燃え移り大きく広がって行きました。通り合わせた比丘尼がこれを見て、大声で

「火事です。火事です」

と騒ぎ立てたので、寺中の比丘尼が手に手に水桶を提げて薪木小屋に集まって来ました。奥殿にいた比丘尼も、もちろん飛び出して来ました。

これを待っていた畛英は、隣部屋に用意していた水と柳の枝を持って素早く奥殿に忍び込みました。壇卓に近付くと、飛び上がって浄瓶を掴み、中に水を注ぎ入れ、楊柳を端整に活けました。終ると、気付かれないように布巾で卓上を拭い、足跡を消し、用意してきた水桶を提げて火事場に駆け付けました。桶を提げて火事場に駆け付けた畛英を誰も疑う者も無く、むしろ消火を手伝った労をねぎらうほどでした。畛英は上手く行ったと喜び、後で起こる騒動に大きな期待を掛けて胸を膨らませました。皆の話が本当なら、この日が大師の涅槃に入られ成佛される日だ、果たして如何なる結果になるだろう、私の悪戯と知らないから皆は驚き慌てるだろう、色々な事を想像して独り楽しんでいました。しかしその夜は、火事騒ぎに疲れたのか、比丘尼は誰も奥殿に行かず、それぞれ自分の修房に帰りました。畛英の予想は外れ、その夜は静かに更けて行きました。

 

第45話 大師、比丘尼達に最後の説法を行なう

 その翌朝、何時ものとおり三人の比丘尼が奥殿に入って来ました。朝の掃除が始まりました。三人の比丘尼達は期せずして卓上の浄瓶を見て、自分達の目を疑いました。浄瓶に水が満ち、青々とした楊柳が生えているではありませんか。両眼を擦ってみたが、夢ではありません。三人はその場に座り込んで、暫くの間呆然自失した状態でした。軈て一人の比丘尼が気を取り直して浄瓶の側に寄り、手で触れてみてはっきりと確かめました。幻でもありません。事実です。三人の顔は喜びに変わり、清掃道具を放り出して、一目散に注進に駆け出しました。信じていたが、まさかこんなに早く現実に成佛する日が来るとは、誰も想像をしておりませんでした。しかも、生死を解脱した佛道最高の涅槃に入られる目出度い日です。夢中で駆け出して行く三人の向こうから、摘み取ってきた花を持ち静かに歩いて来る永蓮に危うく衝突しそうになりました。

「何事です。寺院の中では、もっと落ち着いて静かに歩くものです」

 永蓮の厳しい声に蹈鞴(たたら)を踏んで立ち止まった三人は、興奮した声で次々に言いました。

「大変です。浄瓶の中に柳が生えました」

「水も一杯入っています」

「本当です。この目で確かめました」

 これを聞いた瞬間に永蓮の顔から血の気が引き、目の前が昏くなり掛けたが、気を取り直し三人の比丘尼に確かめてから

「そなた達は、この花をお供えしておくれ。私は、大師にお知らせに参ります」

 手に持った花を比丘尼達に渡し、引き返して行く三人の後姿を見送ってから永蓮は、荘厳な気持ちになって大師の修房に向かいました。こんなに早く成道されるとは、喜んでよいのやら悲しんでよいのやら、心が複雑に揺れ動きます。大きな願望の実現と大師にお別れしなければならない悲しみが入り混じり、永蓮の心は千々に乱れます。修房に入ると大師は、保母と向かい合いながら何事か話し合っていました。永蓮が口を開こうとするより先に、大師が話を切り出されました。

「永蓮よ、そなたに話したい事があります」

 静かな語調の中に、重大な響きを持っております。永蓮は不安に胸を押さえながら

「何でございましょうか。私も、大師にお話申し上げたい事がございます」

 永蓮の縋り付くような瞳を優しく見返しながら、大師は答えました。

「浄瓶に水が湧き、柳が生えたことでしょう」

「どうしてそれを御存知なのですか」

「いよいよ私は、今日涅槃に入ります。昨夜私が冥想している時、白蓮が満開になったのを観じたのです。もう、この身体を捨てて往きます」

 保母の啜り泣きが聞こえます。永蓮は、答える術を知りません。暫く萬感の思いを抱いた大師は

「長い間そなた達二人と苦労を共にして来ましたが、これでお別れです。私の仕事は、これから益々忙しくなるでしょう。世の中の諸法は無常です。一日も早く解脱して、四方の生民を塗炭の苦しみから救わなければなりません。私が涅槃に入った後は、保母と永蓮が私の後を引き継いで後修を導き、更に修練に精進して下さい。諸々の人に善法を施し、佛陀の真伝を説き聞かせ、煩悩と顛倒を除いて上げて下さい。切に頼みます」

 永蓮は沈痛な面持ちながら、意外に落ち着いて答えました。

「大師様。御成道をお喜び申し上げますが、私達は今後大師の恩恵と説法を受けることが出来ません。どうすればよいのでしょうか」

「永蓮よ。悲しむべきではありません。人身は一時的なもの、霊魂は永遠のものです。菩提薩埵の法身は常にして滅びることなく、永遠にそなた達と共にありましょう」

 静かに話し合っていたところに、あの三人の比丘尼が浄瓶に柳が生えたと知らせたのか、大勢の比丘尼が大師の修房に押し掛けて来ました。多利尼、舎利尼も部屋に入り、永蓮の後ろに跪きました。重苦しい空気が流れて、しわぶき一つありません。涅槃に入るという喜ぶべき日であるのに、誰も喜ぶ人がおりません。誰もがやがて別離せねばならない大師への慕情と哀愁で胸が詰まり、喜びの気持ちがどうしても湧いてこないのです。皆は言葉も無く、俯いて泣くばかりです。

 この様子を後ろのほうで窺っていた畛英は、さてこれからどうなるであろうかと、身を乗り出して見ていました。大師は畛英のほうに僅かに目をやったが、構わず皆に語り掛けました。

「親愛なる比丘尼衆よ。皆も承知のとおり、浄瓶に水が満ち楊柳が生えました。これは或る機会を借りた彌陀の思し召しと佛陀の権化です。やがて楊柳は私が世間一切の苦厄と災難を払い除けるための慈器となり、浄水は甘露の法雨に変わりましょう。世の中に苦悩と災難が続く限り、この楊柳と浄水は衆生の良医となり心の病を癒すでありましょう。私の往生は衆生済度の第一歩であり、世が続く限り人類に佛法の奥義を与える機会になります」

 保母の胸は張り裂けそうになり、思わず叫びました。

「大師様。今しばらくお待ち下さい。悟りを開かれていない人々がたくさんおります。これ等の人々を教え導いてから涅槃に入られても遅くはありますまい」

 多利尼も、泣きながら言いました。

「現在私達が大師とお別れすることは、生身を裂かれるよりも苦しく切ない思いです。いや私達だけでなく、この世界から太陽が無くなるのと同じです。全民衆の悲しみです。もう暫くお待ち下さい」

 大師は慈しみの目で皆を優しく眺めながら言いました。

「親愛なる比丘尼諸衆よ。涅槃は、自然に課せられた因縁です。時は既に熟しました。人間、肉体を有する以上は、早晩死を避けられません。私は自分の身体の為すべき事は全て果たし、行なうべき事は尽く行ないました。たとえこの肉体を捨てても、皆さんを教え導くことは出来ます。そなた達から大衆に言い聞かせて下さい。無量百千萬億の衆生があって、諸々の苦悩や煩悩を受ける時、恐怖受難の時、救いを必要とする時は私を求めなさい、と。私の法身はその身辺に来て護って上げましょう。佛門を奉ずる人は、驕慢を戒め、正しい心意を持ち、深い智慧と清静な霊気を養い、貪欲や瞋恚、愚痴を戒め、貧富老若の分け隔てなく正しき真理を説き正しき法を伝えなさい。咒文や法術などを使って、衆を惑わしてはなりません」

 説法する大師の顔色は艶々としており、とても今すぐ涅槃に入られる人とは思えません。しかし大師の言葉は一言一句人の心を打ち、別離の悲しみは更に深まるばかりです。余りにも悲しい別離の場面を見ていた畛英は、自分の犯した悪戯の罪が恐ろしくなり、突然耳を劈(つんざ)くような大声で泣き出し、大師の側に駆け寄って

「大師様。お許し下さい。全て私の悪戯です」

床に頭を打ち付けて泣きじゃくりながら謝る畛英に、人々は驚きましたが、何の事か分かりません。大師は温かい眼差しで畛英を見ながら、優しく論(さと)しました。

「畛英よ。哀しまないで良いのです。そなたの心の動機は彌陀の所願であり、佛陀が与えたものです。気にする事はありません。しかし今後は、怪異を慎み、軽妄を戒め、邪心を捨て、具足戒を持して修行するように心掛けなさい。決して虚偽や妄語を発して人々を惑わしたり誑かしたりしてはなりません。

 修行の要素は、身・口・意の三業にあります。身は殺・盗・淫の三戒を守り、口は妄言・綺語・両舌・悪口の四戒を守り、意は貪欲・瞋恚・愚痴の三戒を守って、これらを放縦にせず抑制し、精進して業根を折伏(しゃくふく)し、諸々の罪過を無くして涅槃に親近する行に努めるべきです」

 畛英は、自分の悪戯から大師をとうとう涅槃入りさせてしまった、と身を震わせて泣きました。さながら不孝な子が死に往く慈母に取り縋って泣いているようで、満座の人を泣かせました。大師は普段と変わらない様子で、今後の修行のあり方について説法を続けました。大勢の比丘尼は、これが最後の説法と知り、悲しみを抑え、耳を欹(そばだ)て一生懸命聴きました。

「菩薩行とは上に妙理を求め、下に衆生を済渡することです。私は無量劫を経るとも伝法救霊の行を続けるという、海のように広大無辺な弘誓を発しました。諸々の方所に応じて諸有の苦を滅し、水火風の災難を消滅し、縁・無縁を問わず時に応じて無量の苦を救いましょう。菩薩道を成したならば、久遠の大光明が得られます。永遠の生を享けた人には寿限は無く、天地萬物や人類が続く限りその上に居し、その中に与(くみ)し、その消滅や消長や変化に遭っても変わらずに存在し、後世の人々の心の中で生き続けていくことでしょう。

 佛法は、永遠に滅びることはありません。法身も、永遠に死にません。天地日月が壊れても、法身の実相は極楽に留まって絶えることのない法悦と快適を享けられます」

 大師の言葉が止まるのを待ちかねたように、永蓮は覚悟を決めて問いました。

「大師は、何時ごろ涅槃に入られますか」

「日暮れから夜に掛けてです」

「何処で涅槃に入られますか」

 大師は暫く考えておられたが、顔を上げて

「玲瓏閣がよいでしょう。多利尼よ。そなたご苦労ですが玲瓏閣に行って、辺りを綺麗に清掃し、道場を構えるように取り計らっておくれ。それから中央に椅子を一脚置くことを忘れないように」

 多利尼は流れる涙で顔を上げることができず、頭を垂れたまま畏まりました。暫く静寂が流れ、再び大師は語り始めました。

「凡そ修行には、苦労や艱難は付き物です。皆も終始不退転の心を固めて、正法を求め続けることです。怠惰や傲慢の意念を起すべきではありません。心して修行して下さい。

 比丘尼衆よ。私と縁あることを喜びます。これから修行する人に、よく言い聞かせるがよい。私は未来永劫、私を信ずる人と共にありましょう。真の危難に遭えば、心を定めて私を念じなさい。必ず妙智の力を以って、世間の苦を救いましょう。神通力を具足し、広く十方の諸々の国土に刹に身を現じないことはありません。種々の悪趣、地獄、鬼、畜生、生老病死を滅してあげます。固く信じて努々(ゆめゆめ)疑うこと無きように。

 では私は、これから涅槃に入る準備をしましょう。舎利尼よ、そなたは盥に香湯を入れて運んで来ておくれ」

 語り終わるやそのまま瞑想される大師の姿を見てどうすることも出来ず、大勢の比丘尼は悲痛な面持ちでその場を引き下がりました。保母と永蓮は、修房に戻ると、大師の為に荘厳な法衣と頭巾を用意しました。布作りの履物も用意したが、大師は平常どおり跣足のまま涅槃に入りたいと言われたので、大師の意志を尊重して履物を揃えるのは止めにしました。