大牟田・オープンシャッター・サロン茶塘

商店街の活性化を目指して、大牟田市新栄町の空き店舗を改装、サロン茶塘が開設された。茶塘や商店街のイベントを紹介します。

金陽会の絵画展より

2023年05月14日 05時22分50秒 | 日記

白い雲におおわれそうな間に青い空が見えます。遠くの山は青紫にけぶり畑が幾重にも広がっています。
 前面の生き物は何?丸くて青い瞳、かなたの誰かを凛として見ているようです。
 これは、金陽会の大山清長さんの作品《奄美の豚》だそうです。〜豚なの!お鼻が長いのね。
 「古くから養豚が盛んだった鹿児島・奄美大島では、豚肉が食文化の中心を占めていた」そうで、「黒豚が一般的だったので、白い豚を飼うようになったときは珍しがられていたそうです。」
 学芸員蔵座江美(ぞうざ えみ)さんは「どこまでも続くかのように広がる丘を、飄々(ひょうひょう)とした表情で歩く一匹の豚」と紹介されています。蔵座さんがどういうきっかけでこの作品に注目され、奄美での展覧会を企画されたが書かれています。 
 「〈ふるさと、奄美に帰る〉展覧会の会期の中盤」、「車椅子に乗った高齢の女性が《奄美の豚》の前に来た途端、満面の笑みで発した一声『よう肥えてとる』だった」そうです。「『聞き間違いか?』と思ったのもつかの間、すぐさま『正月豚じゃ』と作品を指しながら振り向かれた」そうです。〜正月豚⁉
 「会場に足を運んでくれた地元の方が、この絵の前で『年末になると、正月、親戚一同にふるまうために海岸で豚をつぶしていた』『豚は捨てるところはなかった。血さえ捨てずに使った』などと語ってくれました。この女性もそうやって豚を食べていた頃のことを懐かしみ、口をついてでた言葉が『正月豚』だったのでしょう」とあります。
 「大山さんも正月豚を思いだしながら描いたのかもしれません。『食べられなくてよかったね』とつい声をかけてしまう作品です。」と結ばれています。〜思いがけない奄美の豚の肖像です。
*〈金陽会〉ハンセン病の国立療養所だった菊池恵楓園(熊本県合志市)で、1953年に始まった絵画クラブ。独学で美術を学び合い、画派や技法にとらわれない作品が多く生み出された。現在900点超の作品が園内で保管されている。
(下:20235月7日 西日本新聞〈光の画家たち 金陽会菊池恵楓園から〉欄-蔵座江美・学芸員「念願だった〈里帰り〉大山清長《奄美の豚》」より)