うちの芝生が一番青い

Tokyoに暮らす、ごくごく平凡で標準的な【ナイスサーティーズ】の奮闘記。

書評 ~ 「人生と仕事の段取り術」

2012年05月14日 | 書評
先週の後半は実に気持ちの良い日が続きましたね。

空を見上げれば青い空、1年で間違いなく一番いい季節。
ビューティフル・デイズ! U2の名曲が聞こえてきそうです。


今週の書評です。


今週のチョイスはこちら

「人生と仕事の段取り術」 ~ 小室淑恵 著




著者の小室氏は「ワーク・ライフバランスコンサルタント」

ワーク・ライフバランスとは何ぞや?
なんとなーく意味は推測できますが、ウイキペディアで調べてみると・・・


ワーク・ライフ・バランス(英: work–life balance)とは・・・

1.「仕事と生活の調和」と訳され、

2.「国民一人ひとりがやりがいや充実感を持ちながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、

3. 家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる」ことを指す。



すなわち、

・仕事一辺倒では「やりがいや充実感を持ちながら働く」ことは難しくなってくる。
   → ライフ=すなわちプライベートを充実させ、
   → そこからのアウトプットも仕事に活かし
   → 仕事においても更なる高いアウトプットを実現しながら
   → トータルでの生活の充実を図る

というもの。

バリバリの仕事人間の方からは「なーにヤワなこと言ってんだよ・・・」なーんて声が聞こえてきそうですが、
「ライフの時間」を捻出するために【超集中型】で仕事をしなくてはならない。

ワーク・ライフ・バランスの実現には「非常にハードな仕事の仕方」が必要なのです。


自分も「朝2時間早く出社して、定時帰り目標」にトライアルして1年半になりましたが、
ここ半年は仕事量が更に増え、仕事の仕方を見つめなおす必要があると思いこの本を手に取りました。

この本で出会った「実践したいこと」「残ったこと」いくつかご紹介します。


1. タイムリミットある働き方


・  ワーキングマザーの働き方がお手本。
    リスクを予想して、優先順位を考え、対策を練っておく。~ 子供の病気など予想外のリスクが付きまとう
    リミットの時間に向けて無駄を省いた働き方をする。  ~ 保育園お迎え という絶対のタイムリミット


・ 終わりをどこに置くかで、仕事のはかどり方は違ってくる。
   「脳はタイムトライアルの時に一番活性化し、クリエイティビティーが豊かになる。


・ 脳科学者  人間の脳は「30分で」と言われれば30分で結果を出すようにできている。
    大切なのは毎日タイムプレッシャーを脳に与え続けること。
    脳の処理能力を活性化させ高い能力を発揮するトレーニングになる。

・ アポイントを長引かせないコツ。何時から「何時まで」と終わりの時間も決めてアポをとる。
    長引きそうだったら「すいません、おしゃべりが過ぎました・・」とこちらのせいにする。


2. 休むことの大切さ


・ 何かを新しく始めるにはエネルギーがいる。
    週に2日きっちり休んで、すっきりとリフレッシュすることが必要。


・ 夜遅くまで仕事をすることが誠意ではない。本当に価値ある仕事をすることが誠意。

・ 翌日の仕事がしっかり見えているのと 「明日もきっと忙しい」漠然な不安を抱えるのとでは、
    家で過ごすリラックス度合いが違ってくる。 ~仕事量の把握、見える化が大切。



3. 本当に価値ある仕事とは・・・


・ 本当にいい提案とは、「変わりたがっている相手を上手に変えてあげる提案」


・ 自分のキャパは広がってもせいぜい1.5倍。メンバーを育てる方がよほど成長性がある。


・ お客様にとって一番いい仕事ってなにか。
    プロの仕事とは常に勉強し続けることが必要。


ワークライフバランスとは、単純に「遊ぶ時間を増やす」ことなのではない。
目指すところは「よりレベルの高い職業人になる」そのための手段である、そう理解しました。



~外に出て情報や知識をインプットしたり、
    お客様の価値観をもっと勉強することがプロの仕事をするために必要。

【 外 】とは「新しいコミュニティ」だけではないと思います。
目下のところ自分にとっては「家庭」でしょうか・・・。


新しいことをたくさん得た本でした。
今年度1番のおススメ!

書評 ~ 父の椅子・男の椅子

2012年05月02日 | 書評
久しぶりの書評です。

約一か月ぶりのチョイスはこちら





「父の椅子・男の椅子」  宮脇 彩 著


今は亡き建築家 宮脇壇(ミヤワキマユミ)氏の長女 彩氏。
彼女が父が生前に集めた「名作椅子たち」とそれにまつわるエピソードをつづった内容となっている。


宮脇壇氏は生前、住宅の世界ではトップの建築家。

「美しいモノ」をこよなく愛する彼の世界観は、独特ながらも非常に興味深い。
いろんなモノに興味をもち、豊かな生活を提唱し続け、多くの共感を呼びました。


彼が数ある興味の中で、もっともエネルギーを注いだのが「椅子コレクション」。
生活に密着した、欠かすことの出来ない家具である椅子。

建築家らしいチョイスです。


高くて買えませんが、僕も椅子は大好きであります。
彼のコレクションの好みと、僕の欲しい椅子がほぼ一致していたのは嬉しい限りです。

欲しい椅子を順番にあげていきますと・・・


1. ザ・チェア (ウェグナー)

  Yチェアで有名なウェグナーですが、最も美しいのはこれだと思います。
  シンプルながらも存在感抜群! 上品かつ優美な雰囲気はその名前の通り、椅子の頂点です。
  たまーに家具ショップで見かけますが、50万以上の値札がぶら下がり、
  「お手を触れないでください」のプレートも一緒です。

2. エッグチェア (ヤコブセン)

  こちらも北欧デザインを代表するヤコブセンの代表作のひとつ。
  秀逸な座り心地、包まれる安心感。
  特別な椅子のひとつです。

3. ラウンジチェア (イームズ)

  座り心地、得られるリラクゼーション。
  その秀逸なデザイン、存在感。
  家具ショップにあると思わず近寄ってしまう名作です。
  我が家のインテリアとは合いませんし、高くて買えませんが「気になる逸品」
  
  高ーいマッサージチェアを買うくらいなら、ぜひこちらを置くことをお勧めします。
  得られる満足感、豊かな時間は生活を変えてしまうくらいのインパクトがあります。


4. シューズロング (ル・コルビジェ)

  窓辺に置いて昼寝をしたい。
  サイズも大きすぎす、オブジェのように美しい。
  そしてうっとりするような「寝心地」。
  最強の安楽椅子です。


途中から思いっきり脱線してしまいましたが、彼の椅子とそれにまつわるエピソードは
どれも非常に面白い。

何か面白いことないかなぁ・・・。
そんなモヤモヤをお持ちの方はこの本を読んでみてはいかがでしょうか。

そして自分だけの特別な椅子を一脚。
生活が変わること間違いなしです。


おススメ!



書評 ~ 「論語」 現代語訳

2012年03月20日 | 書評
  目黒川

大分暖かくなってきました。
あと2週間もすれば桜が川辺を彩ります。


今週の書評です。

今週のチョイスはこちら

現代語訳 「論語」   斉藤孝 訳

  


「論語」とは、孔子を中心とする孔子一門の「言行録」。
孔子が書いたものではなく、孔子の弟子、その弟子の弟子が書いたものとされています。

孔子はいまから約2500年前の人物だから、「聖書」と並ぶ書物といっても過言ではないか・・・。


実際に「論語」から影響を受けた日本人は数多い。

もっとも有名なところでいうと「徳川家康」。
家康はこの論語を基準に政治を行い、徳川幕府を作ったといわれ、
徳川幕府が260年続いたのも、この論語の精神によるところが大きいと言われている。


全体を通して「学ぶことの大切さ」が説かれています。
「学び続けることによって、人生が形成される」


それは学問だけではなく、道徳、礼儀、広い意味での「人間としての在り方」です。
非常に高尚で、大切なことを説いています。


読んだ感想としては

・日本人が大切にする感覚 (努力、礼儀、謙虚さ、道徳、勤勉さ)が 孔子の考え方に近いことがわかる。
 日本の歴史上のかなりの人物がこの「論語」から影響を受けてきたのでしょう・・・。

そして

・実は孔子は「俺は!俺は!!」の人だった。のではないか・・・。

 「自分くらいスゴイ人物になると・・・」的な発言が結構見られます。
 うーん、やはり後世に名を残すくらいの偉人は、多少エラそうなところが必要なのでしょう。


・「○○○な人はダメだ!」
 人物や行動に対する全否定も多く見られます。

 ちょっと私には合わない感覚ですね・・・
 孔子にダメ出しするのもすごいことですが・・・ スイマセン。


「数千年前の書物」の現代語訳というだけあって、少々読みにくいのはご愛嬌でしょう。
5年後くらいにまた読んでみようかと思います。


書評 ~ 「フリーズする脳」 思考が止まる、言葉に詰まる

2012年02月13日 | 書評
今週の書評です。

今週のチョイスはこちら・・・




「フリーズする脳  ~思考が止まる、言葉に詰まる」   築山 節 著


脳神経外科医である築山氏。

氏の著書を読むのは「脳が冴える15の習慣」に次いで、こちらで2冊目です。



「あれ、今何していたっけ・・・?」


まるでパソコンがフリーズしてしまうように、思考が停止してしまうことってありませんか・・・。
思い出したくても思い出せない!

以前は高齢者特有の症状であった「ボケ」の症状。
現代の若い人たちに非常に増えているのだそうです。


この著書は実際に著者の診察にやって来た、10人の30~40代(若い!)の患者の症例を紹介しながら、
その原因とそうならないための対策を紹介している。



10人の症例に共通する原因はおもに2つ。


1. パソコン、インターネットの普及のよる脳の機能退化。

~ 今まで「脳」が一生懸命行っていた「思い出す」「記憶する」「調べる」といった作業。
  これを全てコンピューターがやってくれるようになった。
 
 


2. 仕事が専門家、細分化されたことによる「無意識な時間」の増加。

~ 高度な仕事でも、慣れてくると「無意識」にこなせるようになる。
  ずーっと同じ環境で同じことをしていると、無意識にこなせることが増えていく。
  「無意識な状態」というのは、脳をあまり使っていない状態。



脳の「前頭葉」と言われる部分。
人はこの「前頭葉」で「思考、感情のコントロール」を行う。

目や耳などから入ってきた情報を整理し、組み立て、行動系統に命令する。

1.2のいずれのパターンも、この前頭葉の機能を使わないことにつながるのですね・・・。
当然使っていない機能は退化していく。

(レントゲン写真でも見事に委縮していました!)


便利な世の中になったのに、ヒトの脳が退化していく・・・・。
なんとも皮肉な話です。

他人事ではありませんね。
自分でも多少思い当たる節があるだけに怖い・・・。



意識的にこの「前頭葉」の機能を使っていくことが大切なのです。
自分の置かれている環境や、便利なツールとはうまく付き合っていかなくてはいけません。




「脳が冴える・・・」でも紹介されていた事柄が、ここでも紹介されていました。


・脳というのはもともと「怠ける」ようにできている。

 これは脳の原始的な機能である「感情系」がそれを求めるからで、その要求に従っていくと
 最後には何もしない人になってしまう。



・脳の「基礎回転数」という概念。

 忙しくあれこれマルチにこなしている人は、知らず知らずのうちに脳の機能をフル活用している。
 ハイスペックの自動車のエンジンの回転数と同じように、脳の「基礎回転数」は環境によってつくられる。



おかげさまで「毎日忙しく」過ごさせていただいております。
まさしく「貧乏暇なし」ってやつです。

でもこの自分の今の環境、本当に感謝しなくてはいけないのですねぇ。

忙しい状況を冷静に分析しながら、生活のバランスを取っていく。
そんな感じで生活できれば最高です。
 


書評 ~ 「論語と算盤」(現代語訳)

2012年01月22日 | 書評
毎日、毎日寒うございます。
ついつい外に出るのが億劫になりますね。

寒い中、暖かい家や電車の中で本を読む。
これぞささやかなる喜びの一つかな・・・。


今週の書評でございます。
今週のチョイスはこちら。


「論語と算盤」(現代語訳)  渋沢栄一 著





              
「日本資本主義の父」といわれる渋沢栄一。

「近代日本の設計者の一人」に数えられ、設立にかかわった会社は約470社、
ほかにも500以上の慈善事業を立ち上げたといわれる偉人。


日本の資本主義の黎明期に活躍した人物だが、
今から150年も前に「自由経済」が抱えている問題点を見抜いていた。

資本主義のエンジンとは「人々の欲望」。

その暴走をコントロールするのは人間の道徳心であると唱え、
愛読する「論語」をそのシステムの中に組み込んでいった。


「論語」は中国の春秋時代に活躍した、孔子と弟子たちの言行録。

・「人はどう生きるべきか」
・「どのように振る舞うのが人として格好良いのか」

ということを教えてくれる史上最良の「道徳の教科書」であるといわれている。
(私はまだ読んだことがないので、近々読んでみます)


「経済」と「道徳」は絶対に切り離してはいけないもの。
本の中を通して、その大切さを述べています。



1. 道徳と経済について

・不道徳や嘘、外面ばかりで中身の無い商才など、決して本当の商才ではない。

・「物事を進展させたい」、「モノの豊かさを実現したい」、と欲望を心に抱き続ける一方で、
 その欲望を実践に移していくために【道理】を持たなくてはならない。

・道理をともなった富や地位でないのなら、まだ貴賤でいる方がましだ。
 しかし正しい道理を踏んで富や地位を手に入れたのなら何の問題もない。




2. 競争することの大切さ


・一個人においても、常に周囲に敵があってこれに苦しめられ、
 その敵と争って必ず勝って見せる気概がなくては決して成長も進歩もない。

・絶対に争いを避けようとするような卑屈の根性しかないと、到底進歩したり成長したりする見込みはない。
 また社会を進歩させていくためにも、争いが必要なことは言うまでもないだろう。

・人の品性は円満に発達した方が良いというが、あまり円満におなりすぎると
 「過ぎたるは及ばざるがごとし」 人として品性が全くなくなってしまう。




3. 「常識」とは(バランス感覚の大切さ)


・なにかをするとき極端に走らず、頑固でもなく、善悪を見分け、プラスとマイナスに敏感で、
 言葉や言動がすべて中庸にかなうものこそ、常識なのだ。

・ごく一般的な人情に通じて、世間の考え方を理解し、物事をうまく処理できる能力が常識に他ならない。

・「強い意志」の元に、「聡明な知恵」を持ち、これを「情愛」で調節する。
 さらに3つをバランスよく配合して大きく成長させていってこそ、初めて完全な常識となる。


  ~この人の言っている【常識】はかなり高いレベルにあるようですね・・・
   私のような凡人がこの境地に達するには、かなりの修行が必要かも・・・。





4. 「逆境」に出会ったら・・・


・【どうすることもできない逆境】のとき、それは立派な人間が試される機会に他ならない。
 「自分の本分」だと覚悟を決めるのが唯一の得策。腰を据えてくるべき時を待ちなが、コツコツと挫けず進んでいく。

・しかし【成り行きで出会った逆境】は、ほとんど自分がやったことが原因なので、
 とにかく自分を反省して悪い点を改めるしかない。

・得意なときは誰しも調子に乗ってしまう傾向があるから、禍はこの隙間に入ってくる。

 得意なときは気持ちを緩めず、失意の時だからと落胆せず、
 いつも同じ心構えで、道理を守り続けるように心がけていくことが大切である。





5.  勉強と習慣



・習慣とは、人の普段の振る舞いが積み重なって、身にしみついたもの。
 悪い習慣を持つと悪人となり、良い習慣を持つと善人となるように、最終的にはその人の人格にも影響してくる。

・勉強の習慣を失ってしまえばその人は進歩や成長がおぼつかなくなる。
 そんな勉強をしない国民に支えられている国家は繁栄や発達も出来なくなる。




最後に興味深い一言を・・・

・志を立てる要は、よく己を知り、身の程を考え、それに応じてふさわしい方針を決定する以外にないのである。
 誰もがその塩梅を計って進むようにすれば、人生の行方において、問題の起こるはずは万が一にもないはずである。


日本経済、日本の発展のカギは渋沢栄一氏が、今から100年以上も前に示していてくれていたのですね。


要は「良い心掛け」と「前向きな努力」です。
100年以上も前の本ですが、非常に面白い本でした。