とあるスナックで
山田
山田
いま、図書館で借りてきた、<貨幣という謎>という本を読んでいるんですが、この中で、今までの<バブル>のことが書かれているんですよ。これから起きるかもしれない<暗号通貨バブル>を考えるうえで参考になるかもしれませんね。 P-156
1 人間の同調願望が生み出すバブル
これまで、貨幣や市場についていろいろな角度から見てきました。しかし、これは実は基礎編で、次の応用編に行くための準備作業であったのです。貨幣と市場という二人の主役がそろったので、いよいよバブルの話をすることにしましょう。ここでも、ポイントとなるのが、第二章で説明した「観念の自己実現」です。
「バブル」という言葉
若い人たちはまだ生まれていなかったり、記憶にないという場合もあるでしょうが、今日「バブル」という言葉を私たちが耳にするとき、まっさきに思い浮かべるのは、1985年から90年まで続いたいわゆる「平成バブル」でしょう。
「バブル」という言葉は、1990年代には、流行語大賞といっても過言ではありませんでした。この間、「バブルがはじけた」や「バブル経済崩壊後の不況」といったフレーズを何度も耳にしました。しかし、いまやすっかり市民権を得たこの言葉も、バブル真っ最中の80年代には経済理論や経済史の一部の専門文献を除けば、ほとんど使われていませんでした。株式用語にも「ガラ(大暴落)」はありましたが、「バブル」はなかったはずです。
試しに、日経四紙(日本経済新聞、日本金融新聞、日経産業新聞、日経流通新聞)に掲載された記事件数を調べたあるレポートを見てみると「 バブル経済」というキーワードを含む記事件数は92年にピークに達し、その後は減少しています。これに対して、「バブル崩壊」の方は92年以降97年のピークをはさんで98年頃まで一貫して高い頻度で使われてきました。つまり、90年代を通じて「バブル」という言葉はずっと流行っていたのですが、前半から後半へとその使われ方が明らかに変化しているのです。
「バブル経済」に、80年代後半までは羽振りがよかったなあと懐かしむ気分が入っているとすれば、「バブル崩壊」には、90年代以降の長期不況(「失われた20年」とも言われています)の元凶はバブルにあったというように、当時を非難する意味が込められているわけです。
「バブル」という言葉の流通(流行)そのものが、いわばバブルの仕組みを表しているのではと考えさせられます。実際、バブルの発生から崩壊へと、人々の気分は気づかないうちにガラリと変わってしまうのです。
平成バブルについて
「平成バブルといっても、すでに四半世紀以上も前のことですから、若い読者の中には、その実態がどのようなものだったのか、わからない人も多いでしょう。まず「平成バブル」について、簡単におさらいしておきましょう。
・・・・。(続く)
1 人間の同調願望が生み出すバブル
これまで、貨幣や市場についていろいろな角度から見てきました。しかし、これは実は基礎編で、次の応用編に行くための準備作業であったのです。貨幣と市場という二人の主役がそろったので、いよいよバブルの話をすることにしましょう。ここでも、ポイントとなるのが、第二章で説明した「観念の自己実現」です。
「バブル」という言葉
若い人たちはまだ生まれていなかったり、記憶にないという場合もあるでしょうが、今日「バブル」という言葉を私たちが耳にするとき、まっさきに思い浮かべるのは、1985年から90年まで続いたいわゆる「平成バブル」でしょう。
「バブル」という言葉は、1990年代には、流行語大賞といっても過言ではありませんでした。この間、「バブルがはじけた」や「バブル経済崩壊後の不況」といったフレーズを何度も耳にしました。しかし、いまやすっかり市民権を得たこの言葉も、バブル真っ最中の80年代には経済理論や経済史の一部の専門文献を除けば、ほとんど使われていませんでした。株式用語にも「ガラ(大暴落)」はありましたが、「バブル」はなかったはずです。
試しに、日経四紙(日本経済新聞、日本金融新聞、日経産業新聞、日経流通新聞)に掲載された記事件数を調べたあるレポートを見てみると「 バブル経済」というキーワードを含む記事件数は92年にピークに達し、その後は減少しています。これに対して、「バブル崩壊」の方は92年以降97年のピークをはさんで98年頃まで一貫して高い頻度で使われてきました。つまり、90年代を通じて「バブル」という言葉はずっと流行っていたのですが、前半から後半へとその使われ方が明らかに変化しているのです。
「バブル経済」に、80年代後半までは羽振りがよかったなあと懐かしむ気分が入っているとすれば、「バブル崩壊」には、90年代以降の長期不況(「失われた20年」とも言われています)の元凶はバブルにあったというように、当時を非難する意味が込められているわけです。
「バブル」という言葉の流通(流行)そのものが、いわばバブルの仕組みを表しているのではと考えさせられます。実際、バブルの発生から崩壊へと、人々の気分は気づかないうちにガラリと変わってしまうのです。
平成バブルについて
「平成バブルといっても、すでに四半世紀以上も前のことですから、若い読者の中には、その実態がどのようなものだったのか、わからない人も多いでしょう。まず「平成バブル」について、簡単におさらいしておきましょう。
・・・・。(続く)