9.11について

2001年の9.11事件や、その他色々な感想、思い、などを書いていけたらなと、思っています。

9.11について <貨幣という謎> 西部忠(にしべまこと)著 その5

2018年01月11日 | 日記
とあるスナックで

小林
ではまたまた続きを読んでいきましょう。 P-171


・・・、投機熱は一気に高まりました。一般大衆の参加がバブルの条件であるというのは、今も昔も変わりません。日本の平成バブルも、アメリカの
サブプライムローン・バブルも、投資家や企業だけでなくて、一般大衆が自分の稼ぎから考えると分不相応なお金を投資につぎ込むのは、だいたいバブルが弾ける直前なのです。

グローバル化した現代では、バブルの匂いを嗅いだ外国人投資家たちも、いまこそ稼ぎ時とこぞって参入してきますが、チューリップバブルも多数の外国人がこの投機に加わり、オランダに資金が流入してきたため、日常品や土地、建物、馬と馬車、その他のあらゆる奢侈品の価格も次第に上昇していきました。こうして、物価の急速な上昇が起こっていきます。

球根の価格は際限なく値上がりし続け、この相場に人びとが付いていくために家屋敷を担保にした借金で買いに回り、それが相場をさらに引き上げました。ちなみに、1636年には、球根1個は、馬と馬具をすべて備えた二頭立ての新品の馬車一台と交換されるまでになっていました。当時の馬付き馬車一台が、どの程度の価値を持っていたかは定かではありませんが、現代の高級乗用車以上に高価な品物であったことは間違いないでしょう。まさにバブルの膨張です。
「バイスロイ」という球根一個を手に入れるためには、牡牛四頭、豚八頭、羊十二頭、ライ麦四車、小麦二車、ワイン二樽、ビール四樽、バター二樽、チーズ五百キロ、家庭用品一式が必要でした。いったい、現在の貨幣価値でどのくらいになるか見当が付きません。
また、ある水夫が、たまねぎだと思って間違えて食べてしまった船荷の中にあった「センバー・アウグストゥス」という球根の値段は、バイスロイ種の約二倍の現金に加え、馬付き馬車一台の値が付いたというから驚きです。

さらに、当時の熱狂ぶりを伝えるこんなエピソードもあります。ハーグ市にすむ靴屋は自宅のチューリップ園で、品種改良の苦労を重ねた結果、ついに黒いチューリップを咲かせることに成功しました。この話をどこかから聞き付けたハーレム市の栽培業者がこの靴屋を訪ね、この球根を買取りたいと申し出ました。この靴屋は一五〇ギルダーという高い値で売ることができたのですが、売れてホクホク顔の靴屋の目の前で、この業者は、いま買い取ったばかりの球根を地面に投げつけ、踏み潰してしまいました。
子供のように大切にしてきた球根をグシャグシャにされて茫然自失の靴屋に対して、この栽培業者は平然とその理由を述べたのです。実は自分も黒いチューリップの球根を一つ持っているので、その希少性を守るためにその球根を処分してしまわなければならなかったのだ、と。その球根が何倍、いや何十倍もの価格で売れたに違いないことを知ったこの靴屋はショックで死んでしまったというから、情けなくなります。

お祭り騒ぎの最高潮が終わりの始まり

このお祭り騒ぎのような投機熱が最高潮に達っしたとき、その終わりもやってきます。・・・(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする