4月1日(月)がきて、奥井はとうとう学長に就任しました。
辞令を受け取りに行く途中で階段を踏み外して左手と臀部を打ったようです。このときは気がついていませんが、臀部はかなり強く打ったようで、のちのち治りかけの強烈なかゆみに襲われ、難渋します。奥井も歳だなあ!
ところで、奥井は20歳になったと言っていますが、50歳で折り返して35歳になったところで、毎年若返っていくのに飽きたので、20歳から順に年を取り、成長していくことにしたそうです。要は、実際は65歳なのに20歳の気持ちでやっていくということなのでしょうが、無理があると思いますね。
奥井が言うには、20歳の目線で空を見れば、青空も白い雲も希望がいっぱいに見えるらしいです。20歳って実力はなくても希望に満ちていましたね。これから人生が始まるって感じで、未熟な自分に対して自信は持てなかったけれど、希望だけはありました。奥井も希望だけはあるのでしょうか。希望を持つエネルギーがあったから、20歳になろうと思ったのでしょうし、学長を引き受けたのでしょう。奥井のそういう若さには驚かされます。呆れもしますが…。
では、4月1日の奥井からの私信を紹介します。
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感受性
1日午前、J法人本部にてとうきび大学学長の辞令を受けた。昨年11月に始まった青天の霹靂劇に終止符を打ち、学長としての活動が始まった。案ずるより産むが易し。行動したほうがストレスは少ない。しかし、行動は慎重に。高齢者の不注意な行動は思わぬ怪我を招く。
Hにある法人本部に向かう途中のT駅で転んだ。M線でT駅に着き、本部まで歩こうとしたが、駅構内で迷った。スマホで調べていたら、2段だけの階段の1段を踏み外した。体勢を崩し、左臀部を打ち、左手をついた。大したことはないと思ったが、左手は内出血、臀部は結構痛い。子供なら何ともないことが、高齢者は怪我。慎重な行動を心がけよう。組織運営も同じと自戒。
午後、大学に戻り、新任者や昇格者へ辞令交付。続いて学長就任あいさつ。作成しておいた原稿を時々見ながら、アドリブの嵐。原稿の倍以上語った。転んだときは慎重な行動を心がけねばと思ったが、すぐに忘れるのも高齢者の常。思いが溢れて饒舌になってしまった。しかし、「後悔先に立たず」なので、後悔はしないことにしている。
20歳になったことも時々すっかり忘れる。「自分の感受性くらい、自分で守れ。ばかものよ」。茨木のり子さんの声が聞こえる。20歳の感受性を思い出そう。今日、ワクワクしたことはなかったか。道に迷うという経験は久しぶり。ドキドキした。転ぶのも久しぶり。新鮮。同行したN事務局長が食堂で出会った学生に声を掛けていた。「今日、授業に出たのか」「出てますよ」「珍しい」「そんなことありません」。事務局長と学生が近い。ワクワクする。学長室に珈琲を届けてくれた女性事務職員と段ボールからクラス通信やはがき表彰状のファイルを出しながら歓談。とても興味を持ってくれた。打ち解けるとワクワクが飛び交いそう。今日一日の感受性を思い出してみた。
新たな旅立ち。感受性を鍛えよう。愉快にやろう。それにしても臀部が痛い。