卯の花高校三期生の会への祝いの言葉を書いたそうです。高校三期生は昭和26年3月の卒業です。昭和の日本の復興を支えてくれた人たちです。
私たちはこれから、大地震の被害を乗り越え、平成の日本を復興させていかなければいけません。卯高三期生の皆さんのように頑張っていきましょう。
卯の花高校三期会第40回総会が開催されますことを心からお祝い申し上げます。
卯の花高校卒業60年の節目の総会であり、最後の総会であると伺いました。これほど長きにわたり同期会を続けてこられましたのは、高校三期会の皆様の深い友情と固い絆があってのことと感嘆いたしますとともに、皆様の母校である卯の花高校を預かる身として、皆様の御期待に応えるべく全力を尽くさなければならないと改めて身の引き締まる思いでございます。
皆様が卯の花高校を御卒業された昭和26年は、日本がサンフランシスコ講和条約に調印した年であり、日本が国家としての主権を回復し、再び自分の足で歩き始めることになる第一歩の年でした。その後、皆様方が新たな日本を築き上げくださいましたお陰で、私たちは現在の豊かさを享受することができております。心より感謝申し上げます。
さて、現在、明治維新、戦後復興に引き続く第三の大変革期を迎えているのではないかと考えております。しかし、危機感が十分に共有されておらず、また豊かさに慣れてしまっている分、過去の大変革期よりもある意味で困難な局面に立っているのではないかと危惧しております。そして、こうした時期にこそ、卯の花高校の「尚文昌武(文武両道)」の教育が必要とされるのではないかと、卯の花高校の使命を自負してもおります。
10年前、本校は、21世紀のリーダー育成を目指して「卯の花高校新世紀構想」を構築しました。このとき、卯高教育には二つの哲学があると再確認しました。一つは、学問を尊び、芸術を愛し、心身を鍛え、知・徳・体に調和のとれた人間に育成すること、すなわちバランスのとれた人間形成です。もう一つは、生徒の10年後、20年後をみすえ、真に国際社会に適応しうる人材を育てること、つまり長期的な視点で生徒の成長をはかることです。この卯高教育の哲学を見失わず、皆様方から連綿と引き継がれてきました卯の花高校の精神を後進に引き継ぎつつ、卯高教育をさらに進化させてゆく覚悟ですので、今後とも末永く卯の花高校を見守っていただければ幸いです。
最後に、皆様の御健勝と御多幸を心よりお祈り申し上げ、卯の花高校三期会第40回総会へのメッセージとさせていただきます。