ニュージーランド移住記録「西蘭花通信」

人生の折り返しで選んだ地はニュージーランドでした

西蘭家2023年出来事ランキング

2023-12-30 | NZ生活
とうとうランキングから「コロナ」が消えました。でも次は「戦争」「自然災害」💦
注:(  )内は2022年のランキングとその寸評

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10位:戦争の日常化
ロシアのウクライナ侵攻の長期化だけでも大きな脅威のはずなのに、10月からはイスラム組織ハマスのイスラエル奇襲攻撃、それに続くイスラエルのガザ侵攻が始まりました。アジアでも日々緊張が高まっていて、それらが日常化していく危うさ、恐ろしさ。
(コロナ3年目とウクライナ情勢:コロナがまだニュースだった3年目)


9位:エアフライヤーがやって来た!
次男からクリスマスプレゼントでもらったエアフライヤー。すっかりキッチンの一部と化し重宝しています。焼き豚とグラタンの頻度が上がり、ナッツは必ずローストします。
(さよならラグビー:今年のRWC決勝戦の後味の悪さたるや。ラグビー離れは決定的)


8位:日本旅行
ほぼ4年ぶりに特養の母に再会。両家と叔父叔母の墓参りも。「いつか親が他界したらもう行くこともないのかな」と、漠然と思っていた日本ですが、今回初めて四国や瀬戸内を訪れて考えが変わりました。しばらくあちこち回ってみようかと思い始めました。
(治安、物価、金利、ガソリン:今年もこれらは悪化の一途。でも利上げは踊り場か)


7位:アクセサリー作りが一段と本格化
2006年から始めたチャリティーショップでのボランティアは今年で17年となりました。同時に2020年から再開した趣味のアクセサリー作りと創作品をチャリティーショップに寄付する作業がますます本格化し、店頭でのボランティアとほぼ逆転しました。
(借家のリノベーション:今ではいいテナントに恵まれ、公私でお世話になっています)


6位:タイ旅行
2004年に香港からNZに移住して以来、香港への里帰りは何度か果たしましたが、その他のアジアはとんとご無沙汰。5月に長男の引っ越しの手伝いがてらにタイへ。香港時代に大変お世話になったチェンマンでリタイアライフを満喫中の友人にも再会。
(オーストラリア旅行再開:今年も5回に分けて、行き尽くせない魅惑の大陸を猛攻中)


5位:ハワイのラハイナ焼失
8月のマウイ島でのハワイ王朝の古都ラハイナ焼失は一生心に残ることでしょう。今やたった2回とはいえ、この目でオールドラハイナを見て、歩いておいたことに感謝するばかりです。自然災害で街が丸ごと消えるリアルを初めて実感する辛い出来事でした。
(コロナ後初の日本行き:あの時はコロナで特養が面会謝絶。母には会えませんでした)


4位:オークランドや北島の自然災害
1月末の暴風雨と2月のサイクロン・ガブリエルで、NZ北島は局地的に大規模災害に見舞われました。オークランドも例外ではなく都会での自然災害が身につまされ、ホークスベイやコロマンデルの被害は背筋が凍る思いでした。再発しないことを祈るばかり。
(リノベーションの継続と前庭整備の終了:喉元過ぎれば辛さ苦しさも忘れ良い思い出)


3位:次男家にベスが来た!
2020年に家を買っておきながらシティーに住んでアーバンライフを満喫していた次男。ガールフレンドの強い希望もあり、自宅に戻って犬を飼うことに。戻る前にリノベーションも決行し、満を持して迎えた11歳の保護犬ベス。一家のアイドルに一躍急上昇
(試練の還暦:還暦を厄年とする見方もあり、翌年の今年はかなり後厄的な1年でした)


(※クリスマスコスのベス)


2位:高血糖退治
前々から指摘を受けていた血糖値の上昇が、8月1日の検査でインスリン投与が必要になるほど爆上げしていることが判明し、上を下への大騒ぎに。しかし、同月末から前代未聞のインフルエンザにかかり体重3kg減。その後も減量を続け計5kg減で5ヵ月後の現在、血糖値はほぼコントロールされました。体調も良く、心身ともに健やかに。
(長男との4年ぶりの再会:この時に親子3人でじっくり話し合った結果・・・)


1位:長男のNZ定住決定
今年最大のニュースは長男がNZ定住を決めたこと 昨年1位は次男のNZ定住決定でした。コロナの影響もあり、図らずも息子2人が海外生活を断念して戻って来ました。それだけNZがいろいろな面で安全だったり便利だったり、若い2人にも現状では理想の地だったことは、この国を移住先に選んだ母親としては嬉しい限りです。
(次男のNZ定住決定:2年連続で息子たちが1位になりました。来年は誰かな?)

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編集後記「マヨネーズ」 
昨年ここで「来年は確実に『家族』(含:犬)の年」と言っていましたが、本当にそんな1年になり、コロナを意識しなくなった年でもありました。2024年は『ミニマリズム』を念頭に、レス・イズ・モアを今まで以上に実践していきたいです。ほしいものは『健康』『経験』『時間』。夫は『目指せシングル⛳』らしい

今年も大変お世話になりました。どうぞよいお年をお迎えください。2024年もよろしくお願いいたします。

西蘭みこと

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西蘭家2022年出来事ランキング

2022-12-28 | NZ生活
来年こそはこの場でコロナという言葉が出ない年になることを祈っています。
注:(  )内は2021年のランキングとその寸評

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10位:コロナ3年目とウクライナ情勢
新型コロナウイルスという言葉を見聞するたびに「新型ねぇ」と違和感を覚える、コロナ3年目。「もはやこれは日常」と思えるまでになってきました。今のところ夫婦で未感染か感染しても無症状だったか。長期化するウクライナ情勢にも胸が塞がります。
(クイーンズタウンとの邂逅:けっきょく今年は再訪できませんでしたが来年こそ)


9位:さよなら、ラグビー
夫は高校時代から、私は夫と知り合ってから長年生活の一部だったラグビー。息子たちも5歳からプレーを始め、何年も毎週末ユニフォームを洗っていました。夫はNZでレフリーにまでなり2020年に引退。今年はなぜか急に夫婦でラグビー観戦からも引退
(夫のゴルフ再開:夫婦でラグビーよりも興味のあるものを見つけてしまったようです)


8位:治安、物価、金利、ガソリン
NZに移住して18年。今年ほど治安の悪化を感じたことはありませんでした。クルマごと店に突っ込むラムレイドやギャング犯罪の横行。世界的傾向とはいえ物価と金利の上昇、ガソリン価格の高騰も驚くべき水準に達しました。円安もドキッとする展開に。
(テスラがやって来た:ガソリン価格の推移を見るまでもなくEV化は正解でした)


7位:借家のリノベーション
テナントが出ることになり、自宅の改装中だったにもかかわらず、かなり全面的な改装を決定。キッチンは一から造り直しました。幸先よく新しい入居者も決まりました。
(次男とGFの自立:2人とも社会人になり、今年は2人揃って転職が吉と出ました)


6位:オーストラリア旅行再開
7月のヌーサ、11月のグレートオーシャンドロードでのメルボルン~アデレード走破と、3年ぶりの海外旅行で真っ先に向かったのはオーストラリア。南オーストラリアのマウントギャンビアを気に入り、隣国の地方の愉しみ方を検討中。
(自宅の売買:急に思い立って5月に購入、7月に売却を決行)

信じがたい美しさのブルーレイク
@マウントギャンビア



5位:コロナ後初の日本行き
日本政府が外国人の受け入れを再開したのを受け、NZ国籍の私たちもコロナ後初の日本へ。特養にいる母の見舞いは本人がコロナに感染してかないませんでしたが、コロナ後に亡くなった父と伯父伯母の墓参り、妹など親族や友人との再会も果たしました。
(ロックダウン中の引っ越し:ともに大変な時期を乗り切り自宅の買い手とは友人に)


4位:リノベーションの継続と前庭整備の終了
昨年越して来て以来のエンドレス・リノベ―ション。今年もコロナでの品不足や人手不足もあり延々とやっていました。4ヵ月遅れで4月にバスタブがつき、9月に床の研磨、前庭整備と塀の建設、10月にカーポート設置が終了。12月にすべての塗装終了。
(新居のリノベーション:断続的に1年以上継続しており、来年も続く予定💦)


3位:試練の還暦
『年女の年は試練の年』と前回の記事でも綴っていましたが、2~10月ぐらいまでは心身の不調、リノベーション、人間関係などに頭を悩ませる厳しい時期が続きました。不調は腱鞘炎や血糖値の上昇という新たな展開も迎え、ランとヨガがますます重要に。
(コロの家出:さすがに今は旧居までは行かなくなり、首のGPSはほぼネックレス状態)


2位:長男との4年ぶりの再会
日本滞在中、タイに住む長男(28歳)が出張の日程を合わせてくれ、2019年2月以来ほぼ4年ぶりに親子で落ち合いました。18歳でNZを出てから一度も里帰りせず、海外生活も早10年。いろいろ起業して猛烈に忙しそうで、滞在中も仲間と新会社設立。社名は私の案になり、今回の滞在のいい思い出に。来年のNZでの再会を約束しました。
(2年目の新型コロナウイルス:コロナのランキングは今年が最後になりますように🙏)


1位:次男のNZ定住決定
今年最大のニュースは次男(25歳)がNZ定住を決めたこと。次男は2019年に渡英した後、海外でキャリアを積む予定でした。コロナで軌道修正を迫られながらも「再び海外へ」と強く願い、ガールフレンドがオーストラリアで大学院に進学するのに伴い、来年から2人でメルボルンに住む計画でした。しかし、彼女が学業を諦めてでも挑戦したいキャリアを見つけ、2人はNZに留まり、犬を飼うことに。親としてはバンザ~イ🙌
(ダウンサイジング:レス・イズ・モアを実践中。ほしいもの『健康』と『経験』)


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編集後記「マヨネーズ」 
私の今年を一言でいえば『リセット』でしょう。何がどう変わったのかを言葉にするのは難しいのですが、還暦を実感する1年となり、これからは「耳順」を生きていくのでしょうか。来年は確実に『家族』(含:犬)の年になりそうで、今から楽しみです。

来年こそはマスクと完全におさらばできる年になりますように。今年も大変お世話になりました。どうぞよいお年をお迎えください。2023年もよろしくお願いいたします。


西蘭みこと

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西蘭家2021年出来事ランキング

2021-12-28 | NZ生活
まったく更新することなく年末を迎えましたが、こっそり作成してこっそり公開する、西蘭家2021年出来事ランキング。世界はまたもやコロナに明けコロナに暮れます。


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10位:クイーンズタウンとの邂逅
1993年に初めて訪れた時から乱開発ぶりが目につき、性に合わなかったクイーンズタウン。意に反し2002年に再訪し、事故という嫌な思いをしてそれっきりだった場所。コロナ禍で国内を巡る中、19年ぶりに再訪し何だかアク抜けした気がし、また行きます。

(※ぜひ来年もまた)



9位:夫のゴルフ再開
昨年、14シーズンにわたったラグビーのレフリーから正式に引退した夫。しばらく手持無沙汰のようでしたが、30代まで熱心にやっていたゴルフを再開したら、今度は止まらなくなってしまいました。家の芝刈りもそこそこに、コースの芝刈りに励む日々。


8位:テスラがやって来た
8月に政府の補助金を利用してクルマのEV化を決定。ロックダウンのただ中、時間があるのをいいことに自分のクルマになることだし、夫が調べに調べ上げてテスラのモデル3に決定。中古車不足で乗っていたホンダの引き取り価格が思った以上でラッキー


7位:次男とGFの自立
次男(24歳)とイギリス人ガールフレンドが昨年11月に我が家を出てシティーで自活。今年はGFちゃんが大学を卒業して就職。息子も転職して2人の生活は着々と軌道に乗り完全に自立しました。今でも週1回は遊びに来てくれます。長男も事業拡張中です。


6位:自宅の売買
今年3月に突然スイッチが入った、2006年に購入した自宅の売却。昨年11月までは自分たちのためにせっせと改装していたので、4ヵ月後の急な方向転換でした。5月に理想の家に巡り逢え新居購入、7月に理想の買い手に旧居売却。15年間、ありがとう


5位:ロックダウン中の引っ越し
7月に旧居を売却したものの8月からのコロナによるロックダウン突入で引っ越しは10月に延期。引っ越し準備に時間がとれ、少しでも気持ちと手間をかけて旧居を明け渡せたのは幸いだったのか。買主の好意で段階的に越せたのも助かりました。


4位:新居のリノベーション
眺めがよく便利な場所で、1階と2階で2棟になり旧居の離れのテナント氏と一緒に引っ越せる理想の家に巡り逢ったと思った新居。引っ越してみたらいろいろ問題が発覚し、偶然とは思えない悪質なものもあり、以前の家主と問題を知っていたのかどうかは不明ながら仲介業者への不信感と不満が募りました。幸い修理業者や施工業者、隣人たちに恵まれ、一気にバスルームのリノベーションに突入し守りから攻めに一転


3位:コロの家出
引っ越し直後から長時間家を空けるようになった飼い猫コロ非常にビビりな性格なので家に入り浸るのかと思ったら、ビビリゆえに慣れ親しんだ旧居に戻りたいという想いが想像以上に強かったようで、引っ越しから1ヵ月後にとうとう家出決行。最初はどこにいるのかわからずにビラを配って探し回り、とうとう1週間後に旧居のお隣さんが捕獲成功。今では首輪にGPSをつけて、旧居や周辺を夜な夜な散策して周っています。


2位:2年目の新型コロナウイルス
やはりこれなくしては語れない2021年。オークランドは今年だけで3回ロックダウンを経験し、8月17日から12月2日までは107日の長丁場となりました。居住者一丸となってさまざまな行動規制に耐え、ワクチン接種に走り、マスクに接触確認アプリの利用と、感染防止になることは何でもやった年でした。現状ではオミクロンの市中感染は未確認ですが、官民挙げてのNZのモグラ叩き並みのコロナ叩きは今後も続きそう。


1位:ダウンサイジング
2年目のコロナが急速に日常化していく中、私にとって今年一番印象に残ったのは引っ越しを機に本気で取り組んだダウンサイジングでした。家の間取りを小さくし、ガレージに物を収納しないと決め、家具や本棚など収納場所そのものを寄付し、持ち物や買い置きを収納できる分にまでに減らしました。管理と掃除の負担を減らし、機能性を高めながら、レス・イズ・モア(少ない方が豊か)を実現していきたいと思っています。


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編集後記「マヨネーズ」 
去年の今頃、「さすがに1年後は今よりましになっているだろう」と思っていましたが、ほとんど同じかもっと厳しい状況の中で今年も暮れていきます。去年の夏は南島南端まで飛行機で出かけていましたが、今年の夏は何が起きてもすぐに帰宅できるよう、クルマで近場に行くことになりそうです。ロックダウンの合間に自宅の売買が滞りなくできたことは、今思うと本当に幸いだったと思います。結果的に人との交流が少ない年になりましたが、その中で貴重な出会いもあり、新し隣人もできました。

来年こそは少しでも安全に自由に行動できる年になりますように。今年も大変お世話になりました。どうぞよいお年をお迎えください。2022年もよろしくお願いいたします。


西蘭みこと

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最後の淑女

2021-01-30 | NZ生活
「葬儀はヘラルドの死亡欄で。場所はピュレワ。」
と、元ボランティア仲間から突然メールが来たのが数日前。同じく元ボランティア仲間で最年長だったバーバラが危篤という悲報でした。ヘラルドはNZの全国紙。頼めば葬儀社が家族のメッセージを添えて葬儀の日時などを知らせる死亡広告を掲載します。ピュレワは葬儀場兼火葬場で、人類初のエベレスト登頂を果たした故エドモンド・ヒラリー卿もここで荼毘に付されました。

「娘さんがお葬式の用意をしていて驚いたけれど、家族といものはそうすべきなのね。」
と言ってきた仲間によると、容態はここ2ヵ月で急速に悪化し、1週間前に見舞った時には心の中で「さようなら」と告げるしかなかったそうです。メールの翌日にバーバラは召され、家族の用意周到な準備でその3日後には葬儀という運びになりました。

バーバラは私の父と同じく、1929年にこの世に生を受け91歳でこの世を去りました。日本で言えば昭和4年生まれの昭和一桁世代。第二次大戦を経験し、堅実で、勤勉で、努力と忍耐が当たり前だった世代。戦後の平和と経済成長をもたらし、懸命に生きた果実としてそれらを謳歌した最初の世代ともいえます。

私がバーバラを知ったのは、ボランティアを始めた2006年でした。誰よりも高齢でありながら、誰よりも美しく、気高く、「奥方」という言葉が相応しい淑女でした。物静かで上品な語り口とは裏腹に、抜群のユーモアでみんなを卒倒させるなど朝飯前で、誰からも一目置かれ、慕われる、天性のリーダーでした。コロナがなければ、自分で運転してずっとボランティアに来ていたでしょうが、ここ1年は前々から入所していた老人ホームの戸建てのコテージでご主人と過ごしていました。

彼女の醸し出す気品は目に見えるオーラのようでした。たかがボランティアに来るのでも、きちんと化粧をし、髪のセットときたらたった今、美容院から出て来たかのようでした。これを出勤前に自宅で1人で90代になっても続けていました。服装も常にカジュアルスマートで、本物のジュエリーと香水をまとい、「どこぞにお出かけ?」という姿で、寄付の品が山積みになった倉庫のように雑然とした場所に優雅に毅然と現れるのが常でした。

アートや銀器への造詣が深く、園芸の知識でも並みいるガーデン好きの中で抜きん出た存在でした。何よりも彼女の料理の腕前は誰もが認めるところで、実際に食べたことがなくても、朝日が東から昇るようにそれは仲間内で当たり前のことになっていました。その立ち居振る舞いや尽きない知識から、「いい家の出の令嬢で、いいところの奥様」で、日頃から銀食器やボーンチャイナで食事をし、バラやシャンデリア、絵画やベルベットのソファーに囲まれて暮らしている、というのが仲間が思い描いていたイメージでした。しかし、お葬式で明かされた彼女の生い立ちは、私たちが知らないものでした。

バーバラはオークランドに生まれ、父親は戦争に行き、一時はステートハウスと呼ばれる国有住宅で暮らし、公立校を出て秘書過程を終えて16歳から働き始めました。自分で収入を得ることは、自由闊達で独立独歩な彼女の視野を大きく広げたようです。合唱団に入り、水泳もサーフィンもし、ネットボール(英連邦で人気の主に女子がするバスケットボールのような競技)を楽しみ、ダンスホールでご主人と知り合ったそうで、ごく普通の家庭に育ち、キウイらしく活発で社交的な生活を送っていたのです。

成長の過程で彼女は料理を学び、母親の料理を疑問視するようになっていきました。裁縫、園芸、芸術、クラッシック音楽、オペラ、アンティークや高級品への造詣も自分で深めていき、その中で優美な気品を身に着け、彼女の強さ、公平さ、惜しみなく与えて分かち合う天性の性格と相まって、バーバラは揺るぎない淑女になっていったのです。親や結婚相手の七光りではない自力で培った品格は、いくつになっても色褪せることなく、むしろ輝きを増していきました。

6、70代の多いボランティアの中で90代になってからも、美しさと誰よりも若々しい肌を保っていたバーバラ。その秘密を知りたいと、
「どうしたらそんなに綺麗な肌でいられるんですか?」
と、武骨にも単刀直入に聞いてみたことがありました。返ってきた答えは意外にも、
「いいものを食べなさい。」
でした。
「添加物のない、自分で作った季節の物を食べるのよ。」
という言葉は、医食同源を信じる私の心にストンと落ちました。健康なくして美肌もないと思っています。

いったい何人の女性に、「彼女のようになりたい」と思わせたことか。長い人生でその数は何百、何千だったかもしれません。もちろん、私もその1人です。「100歳までは生きたくない」とはっきりと言っていたこともありました。思い描いた人生を努力と運で切り開いていった91年。「人生のドライビングフォースだった」と語るご主人。英語のドライビングフォースには『推進役』や『原動力』という意味がありますが、なんとバーバラを言いえた一言か。圧倒的な愛と優しさに裏打ちされた力強さと優美さ。激動の時代を生き抜いた最後の淑女。もう彼女を超える人に出会うことはないでしょう。


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編集後記「マヨネーズ」
いつ、誰のお葬式に行ってもNZのお葬式は温かく、正直で、胸に迫るいいものです。笑いあり、涙あり、最後はみんなが笑顔で締めくくれる、理想の人生のような式は、故人の人生の縮図でもあるのでしょう。

R.I.P バーバラ。安らかに。



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西蘭家2020年出来事ランキング

2020-12-29 | NZ生活
毎年こっそり作成していましたが(笑)、公開するのは3年ぶりとなった西蘭家出来事ランキング。人類史上に残る激動の年ということで、久々に公開してみようと思います。

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10位:家のリノベーション
2年前のペンキ塗りが最後だった家の修繕。またもや急に思い立ち(←計画性ゼロ)、ドア2枚の交換、窓1枚の修理、買い換えたクルマの日除けにカーポート設置、デッキ全面に屋根代わりのシェード設置という作業を断続的に行い、無事終了しました。


9位:国内旅行再開
コロナで海外に行けなくなり、息子たちが住むイギリスやタイ、投資先のハワイやオーストラリアへの予定していた旅行もできなくなりました。その分、コロナで痛手を受ける国内経済への応援を意識してせっせと国内旅行へ。NZの良さを改めて実感しました。

(まだまだ知らないNZがたくさんある!)


8位:日本訪問
本人の希望で1月に老人ホームに入った父。入所前の健康診断でステージ4の肺ガンが見つかりました。元々1月末からの日本訪問を予定したので入所直後の父に会い、安心した様子にホッとしました。しかし、コロナで再訪はかなわずそれが最期の面会に。


7位:世代交代の実感
7月に次男(23歳)が住宅購入を決め、その時に「こうやって次世代が育っていくんだな」と、実感した数日後に父が91歳で穏やかに逝去。その後も息子たちの躍進は止まらず、起業した長男の事業拡張、次男は公認会計士になり、いよいよ免許皆伝となりました。


6位:夫のラグビーレフリー引退
世代交代の波は親にも。夫は2007年から14シーズンにわたってオークランドやカウンティーズマヌカウ協会のラグビーレフリーを務めてきましたが、コロナ禍の中で全ての予定が狂いに狂った今シーズンをもって引退しました。14年間ご苦労さまでした。


5位:私の完全リタイア
40歳でサラリーママ引退、50歳でセミリタイア、60歳で完全リタイアと漠然と抱いていた夢は、41歳の謎の肺炎SARS、50歳のリーマンショック後の欧州債務危機でかない(笑)、今回はコロナでの超低金利と夫の理解で、完全リタイアに踏み切りました。


4位:アクセサリー寄付の本格化
2019年末にボランティア先を変わり、そこでひょんなことから始めた、寄付されてきたアクセサリーの修理やリメイク。移住前後はクラフトフェアにも参加していたこともあり、元々アクセサリー作りが好きだった私。創作意欲に火がついて、1年間でとうとう2,000点近くを制作・リメイクして寄付しました。これがリタイアの直接要因になり、今やほぼフルタイムのボランティアとして、毎日制作に励む生活に。


3位:次男とGFとの同居
暗く辛い話ばかりだったコロナ禍ですが、3月のロックダウン直前に次男とガールフレンドがイギリスからNZに舞い戻り、まさかの4人暮らしが始まりました。共同生活は8ヵ月続き、交代で夜ご飯作ってはお互い食べたことのない新鮮なメニューに写真を撮ってはコメントし合う日々でした。2人ともNZで仕事を見つけ、コロナもひと段落で11月にシティーに引っ越していきました。貴重で楽しい8ヵ月をありがとう!


2位:父の逝去
1月の肺ガン発覚で「余命半年」と診断されたとおり、7月17日に眠るように旅立って行きました。昭和一桁の天晴な大往生。自らの意思と資金で全てを実現し、誰にも迷惑をかけず、自分も痛みも苦しみもないまま静かにこの世を去りました。戦火を生き抜き、戦後の高度成長を駆け抜けた波乱の91年。どうか安らかに眠ってください。特養の母は元気そうで、ぜひこのままコロナ禍を生き延びてほしいものです。


1位:新型コロナウイルス
世界中のほとんどの人にとって、今年一番のニュースはこれだったのではいないでしょうか。2003年に香港でSARSを経験していたこともあり、2月の日本でダイアモンドプリンセス号のニュースに接しながら、「コレ、ヤバいなー」と懸念していましたが、まさかここまで拡大するとは!改めて100年前のスペイン風邪の展開を検索して、対応と覚悟を決めました(笑) 2021年には少しでも状況が改善していますように(祈)

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編集後記「マヨネーズ」 
コロナの大騒ぎの中でも人生が新しい局面に入ったのを感じる1年で、その結果のリタイアでした。19歳で家を出て以降の40年間の報酬のための労働に終止符を打ち、これからは無報酬の労働に精を出します。NZは長期のロックダウンの実施、オークランドはそれを2回経験し、一時はどうなることかと思いましたが、金利低下で投資には追い風になり、次男たちとの束の間の同居も実現し、こうして例年と変わらない年末年始を過ごせるありがたさ。いつでも希望はあると信じたいです。

今年も大変お世話になりました。2021年はメルマガからブログへの移行を本格化させ、もう少し更新していけるようにと思っています。良いお年をお迎えください。


西蘭みこと

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クリスマスはいらない

2020-11-10 | NZ生活
最近知り合った友人と話しているとき、
「クリスマスはどうするの?」
と、この季節であれば軽い挨拶代わりの質問をしてみると、
「うーん。特に予定はないわ。」
という、ちょっと意外な答えが返ってきました。彼女は敬虔なキリスト教徒が大勢いるヨーロッパの国からの移民だったので、てっきり「クリスマスぐらいは教会に行かなきゃ」とか「家でパーティーよ」という答えが返ってくるものとばかり思っていました。彼女が普段は教会に行っていないことは知っていました。

「みことはどうするの?」
「どうもこうも!クリスチャンでもないアジア人にとってクリスマスはただの休日よ。子どもが小さい時はパーティーとかしたけど、今はなにもしないでのーんびりするだけよ。」
という、あまりにもぶっちゃけな答えにお互い大笑い。弾ける笑い声の後にふと彼女が真顔になり、
「私はクリスマスが嫌いなの。」
と静かに言い切りました。

「わかると思うけど、私の国では宗教がすごく大事で、特に地方の暮らしはそれがすべてなのよ。両親も熱心なクリスチャンで、小さな頃から「これはするな」「あれをしろ」と口うるさく言われて育ったの。常識的な理由で「これはするな」「あれをしろ」と言われるなら納得できるけど、宗教の理由で「これはするな」「あれをしろ」の連続は、その教えを信じられなかったら毎日が地獄よ。クリスマスは信仰の象徴だから、私はずっと嫌いなの。」

彼女の話は私にとっての正月に重なりました。暮れの大掃除から始まり、お節作り、親戚一同集まっての新年会、書初め・・・それらが私にも苦痛の連続でした。早く大人になって新年を自由に過ごしたいという想いは、お年玉で帳消しになるようなものではありませんでした。正月は私にとり、家族の歪みの象徴でした。

今にして思えば母はホーダーでした。「捨てられない」「片付けられない」でどんどんモノを溜め込んでしまう、溜め込み症とも言われる精神疾患です。今年2月に父がホームに入った後に実家を片づけながら、それが紛れもない事実であることを確認しました。立ち眩みがするほどの異常な量のモノ、モノ、モノ、モノ、モノ、モノ。26年前に建て替えた注文住宅は驚くべき収納スペースの箇所と広さでしたが、そのすべてにモノがぎっしり詰まり、さらにタンスやチェストなど新たな収納場所が追加されていました。

子どもの頃の大掃除はそうした母の収納品を引っ張り出して棚を掃除し、新しいビニール袋に入れ直して収納し直すといった、途方もない作業が続きました。中でもゆうに100体以上の人形が飾られた人形ケースの掃除は何年も姉妹2人の仕事でした。人形といっても高価なものではなく、景品でもらったようなものもたくさんありました。朧げな記憶の中、太陽銀行(1968年創設)の支店開設でもらった人形まであり、その時点で銀行が太陽神戸銀行(1973年合併)になっていたことは子どもでも知っていました。

お節作りも新年会も母だけでなく、周囲の大人から「あれをしろ」「これをしろ」の連続で、男たちがどっかり座り込んで酒を酌み交わしている中、女たちは給仕や子どもの世話に追われ、いとこの中で年長だった私にも小学生の頃から指示が飛びました。年齢の違う普段は顔を合わせることのない子どもたちを束ねることは容易ではなく、台所の手伝いもさせられました。さらにお節作りの最中から新年会の後まで続く、母の親戚一同に向けられた執拗な愚痴を聞かされることも、新年を黒塗りにしていくものでした。

「人はみな罪を背負って生まれて来て、教会に通って善行を続けて善人になるなんてバカげてるわ。人を恐怖で宗教に縛りつけ、教会に通わせようとしているだけよ。NZに来てみたら、みんな自由じゃない。教会に行ってもいいし行かなくてもいいし。誰も「これはするな」「あれをしろ」なんて言わないし、それでもいい人がいっぱいいるじゃない。原罪なんてでっち上げよ。今でも両親は『あなたのために祈ります』って言うけど、私のためじゃなくて神に祈ってるのよ。そんなのノーサンキューだわ。」

「だから私にはクリスマスはいらない」
と言う彼女に、私も心の中で
「新年が来ても、私には正月はいらない」
と同意していました。お互い大人になり、自分の意思と力で自立し、生い立ちからの呪縛を逃れ、祖国を出てNZに出会いました。私よりずっと若い彼女のきっぱりとした一言で、私の中できちんと「新年」と「正月」の整理がついたように思います。今年もまたクリスマスがやってきて、その後に新年を迎えますが、コロナに翻弄された2020年が行き、2021年が訪れることを心から祝おうと思います。

こんなことをしていたのも今は昔



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「マヨネーズ」
宗教観、家族観、そもそもの価値観は人それぞれ。正解も不正解もありません。今年7月に91歳で苦しむことなく大往生を遂げた父の旅立ちは、私にとっては哀しみよりも祝福でした。自分も後に続けるとは到底思えないほど完璧な人生の終え方でした。なので私の中に喪中という発想はありません。自分がこの世を去ったときも、家族には前向きであってほしいと願っています。(まぁ願わなくても自然にそうなるでしょうが)
今年だけでもコロナで思いがけず命を落とした人が世界で130万人に迫る中、元気に生き伸び、普段通りの生活が送れるだけでもありがたく、祝福に値すると思っています。

西蘭みこと

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