ニュージーランド移住記録「西蘭花通信」

人生の折り返しで選んだ地はニュージーランドでした

58歳のリタイア

2020-11-03 | ボランティア
あまりにも間が開いてしまい、何をどこから語り始めたらいいのか?!自分でも苦笑いです。最後のメルマガ更新が2018年12月だったので、あれから約2年。本当にいろいろなことが起き、今はコロナのただ中。2019年6月にイギリスにワーキングホリデーに行った次男もコロナ禍を逃れてNZに戻り、ガールフレンドも一緒に来たので、今年3月以降はまさかの4人暮らしが続いています。長男はタイが気に入り、あちらで元気にやっています。猫2匹クロとコロも元気で、今や立派なオッサン猫です。

夫と私も相変わらずで、仕事にボランティア、投資に旅行という50代に入ってからの生活にほとんど変わりはありませんでした。しかし、今年に入ってからは、状況が変わってきました。まず夫が今シーズンをもって、41歳で始めて54歳まで続けたラグビーのレフリーから引退しました。私は1年前に、2006年から13年間続けたボランティアの慈善団体を離れ、まったく新しい団体と職場でボランティアを続けています。仕事は今までと同じチャリティーショップ(こちらではOPショップ)で、仕分けに値段付け、レジに店番といった何でも屋ですが、勝手知ったる仕事なのですぐに慣れました。

ボランティア先を変わって早々に店内を片づけていた時、“Broken”(壊れモノ)と書かれた小さなビニール袋を見つけました。かなり放置されていたのかビニールは薄汚れていました。口がセロテープでしっかり塞がれていて、中に入っているものが黒と紫のアクセサリーだとはわかりましたが、それ以上はわかりません。
「いくら1ドル(約75円)でもこれじゃ売れないな。」
と思い、ビニールを開けてみると中から何か所か切れたネックレスが出てきました。

自然に壊れたのではなく、何かをしようとしてバラしかけたようでした。複雑なデザインで一部の部品が欠けているのか、並べてみても元のデザインが判りませんでした。もともとビーズアクセサリー作りの趣味があり、香港やNZでクラフトフェアに出店したこともある私にとり、それをリメイクすることはお茶を1杯淹れるのと同じぐらいたやすいことでした。元のものよりシンプルなデザインに作り変え、余った部品でピアスも2点作り、店に持って行きました。それがすべての始まりでした。

ネックレスは6ドルで、ピアスは2ドルで売れ、1ドルだった“壊れモノ”は10ドルになりました。金額は知れていますが、長年投資の世界で斬った張ったとやってきた身には差額の9ドルよりも、同じものがちょっと手を加えただけで10倍になったことが重要でした。この倍率が維持できれば100ドルは1,000ドルに、1万ドルは10万ドルになります。借金をしてでもレバレッジを効かせて相場に挑むのはこのためです。

すぐにマネージャーとボランティアのヘッドに事情を説明し、壊れたアクセサリーがすべて私のところに来るようにしてもらいました。私自身も売りに行くほどある、香港から持ち込んだ手持ちのビーズでイヤリングやネックレス作りを始めました。マネージャーたちは気を利かせて、アクセサリーコーナーに私が作ったものを置けるコーナーを作って応援してくれました。試しにピアス1点に2、3ドル(150~200円)の値段をつけて様子を見ると、ぽつぽつ売れ始めすぐに商品として軌道に乗って行きました。


(材料は寄付の品だったり自前の物だったり)


あれからかれこれ1年。コロナのロックダウンで店が閉まっている間も創作を続け、今では主に2団体3店舗に“卸す”までになり、ピアスだけでもゆうに1,000点以上、他にもネックレス、ブレスレット、キーホルダー、ロザリオなども作っては寄付し、さらに壊れて寄付されてきたものの修理やリメイクなども加えれば、1,500点近くを供給してきました。もはや数えることも、写真に残すことも諦めるほどの量です。コロナで外出規制があった中でこの量なので、なければもっとあったかもしれません。

「時間がほしい。」
最近では心からそう思うようになりました。材料とアイデアはいくらでもあるので、ないのは時間だけでした。毎晩夕食後から就寝までの間、机にしがみついて制作している私を傍から見てきた夫が10月に入り、
「仕事を辞めたら?ローンはなんとかなるから。」
と声を掛けてくれました。その一言に私が飛びついたのは言うまでもありません。

私たちは国内外で不動産投資を行っており、その借入残高がまだまだあります。その負担を夫だけに背負わせるのは気が引けて、私からは言い出せませんでした。しかし、今はコロナ禍で未曾有の低金利。この差額だけでも大きな節約になる上、オーストラリアの投資先ホテルの1軒はすでに稼働しており収益があります。もう1軒やハワイもいずれ再稼働するはずで、電卓を叩きに叩いた夫の結論は
「なんとかなる!」
でした。ちょうど支援先のマネージャーたちとも今後の話をしていたところで、渡りに舟でした。

自分では50歳でセミリタイア、60歳での完全引退を目指してきましたが、夫とクライアントの理解を得て58歳で急に夢が実現し、今後はフルタイムのボランティアになります。店での時間を増やすより制作時間を増やす予定ですが、できた時間を有効利用するためにも支援店舗を増やすことを検討しています。最終的には年間3万ドル相当の売上になるよう徐々に態勢を整えていき、仕事を諦めたことや夫の協力が報われるよう励んでいきたいと思っています。なにはともあれ創作もアップサイクルも愉しい限りで、モノもヒトも時間も慈しみ、寄付で生じるご縁や地域貢献を大切にしていきたいと思います。


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「マヨネーズ」  
自分でも考えてもみなかったまさかのリタイアで、
思わずメルマガ復活
と思ったら、「まぐまぐ」は無料メルマガだったのですべて消えていて、このブログはパスワードを忘れて入れずとドタバタ💦 何とか配信、じゃなくて更新できました。これからは完全にブログでの更新になります。今後ともよろしくお願いいたします。

西蘭みこと

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