デザイナーの色メガネ

写真付きで日記や趣味を書く

空を飛ぶ 完結編ー2

2007-03-06 00:41:02 | 旅行記

Img_4023

私は実技試験の合格通知を待ちながら

オークランド近郊を散策しまくった。

当時BART 呼ばる最新の無人電車が

開通したてのホヤホヤで、おもしろがって乗っ

てみた。

Psd

←これがオークランド駅。

サン・フランシスコ湾の下を

貫いているこのBARTの車内はつり革はなく、

床には絨緞が敷かれていた。

東京の狭い銀座線や丸の内線と大違い!

しかし料金が高かったので、どちらかというと

バスに乗ることが多かったが…。

さて、その日もブラブラを楽しみながらバスに

乗っていた。

バスの窓からおもしろそうな景色が見えたら

降りて歩き回る、というのを楽しんでいたわけ

だ。(いい気なもんだった…)

おっ!なんだあれは?!

まるでサンタフェの街のような色とりどりの

家並に目を奪われた。

もちろん、下車。

パステル調のオレンジやブルー、グリーンで

塗られた家々が、午後の日に映えて不思議

な雰囲気を醸し出していた。

吸い寄せられるように私は家並の方へと歩い

て行き、グランドというか広場へとゲートを開

けて入っていった。

グランドの向こうにカラフルな家の壁が並ん

でいたからだ。

写真を撮ろうとカメラをかまえた時、なにかが

遠くの方から私の方へ向かって一直線に

走ってきているのに気付いた。

なんだ…?あれ…?

その黒い一点はみるみる近づいてきた!

なんと大きなジャーマン・シェパードが侵入者

(つまり、私)を目がけて物凄いスピードで襲

いかかろうと走ってきているではないか!!

ゲ、ゲーッ!!

咄嗟にゲートの方へ走りかけたが、とても逃げ

きれる距離ではなかった。

しかも気付かなかったが、グランドは3メートル

を超える高さのフェンスで囲まれていたのだっ

た。

(要するに私は檻の中でシェパードと対戦する

破目に…コロッセウムみたいじゃないか!)

そのシェパードのスピードときたら!!

恐怖でひきつりながら私は最短距離のフェン

スへ向かって死に物狂いで走った。

思いっきりジャンプをしてフェンスに飛びつく!

シェパードの息がもう真後ろで聞こえたが、

振り向いているヒマなどない。フェンスにかき

つきよじ登り、てっぺんに手をかけるや懸垂

で身体をひきあげて、反対側へ落ちた…!

「ウオォーン!!」と吠えながらシェパードも

フェンスに飛びついてきた。

…はあ~~、コンマ1秒でも遅かったら…

私の尻の肉片は彼に喰いちぎられていただ

ろう。

全身の力も気力も抜けて、私は地べたにヘナ

ヘナとへたりこんだ。

まだフェンスの向こうで彼は牙を剥いて唸り、

ぐるぐると回っていた。

なんという恐怖!私はいままで動物に襲われ

たことなどなかったが、この時、自分が獲物

になることの恐ろしさを体験したのだ。

DNAに刷り込まれた生命の危機感知アラーム

が全身に鳴り響いて、まさに心臓が破裂せん

ばかりだった!

あとからわかったことだが、そこは貧困層の

居住地区で住民以外は立ち入り禁止だった。

あのシェパードは侵入者を見つけたら、直ちに

八つ裂きにするように仕込まれていたのだろう。

なかなか任務に忠実なヤツだったのだ。

ああ、しかしここで八つ裂きにされていたら…

行方不明を装っていたのが、実話になってしま

うところだったではないか!

しばらくの間茫然と座っていた私は、気を取り

直してくると、なぜかさっきの出来事がまるで

パラパラ漫画のような映像になって浮かび、

可笑しくてゲラゲラと笑い出したのだった。

あの笑いは一種のラリパッパ状態ではなか

ったかと今は思っているのだが…。

ニューヨークでの数々の恐怖体験よりも、私

はこのコロッセウム体験の方がよほど恐ろし

かった。

つまり、腰タオル系ゴツイにいさん達も一頭

の任務に忠実なシェパードにかなわない!

ということでありました。

Img_3990 「バッカじゃない

の!その話…。

つきあってらんね、

寝よ寝よ…」

とクーが…。


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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
チャーマンさん おはようございます。 (Torahiko)
2007-03-06 11:44:32
チャーマンさん おはようございます。

いやぁ~お気の毒でしたね。シェパードに追われ死にものぐるいで逃げるチャーマンさんの形相が目に浮かぶようです。でも逃げ切れて良かったですね。僕などは非力で懸垂ができるかどうかも怪しいので、きっとシェパードの餌になっていたかも知れません。

よく吠える番犬っていますよね。そういう犬にはおしりの匂いをかがせると靜になるという話を聞いたことがありますが、今回の様な状況ではそんな冒険も出来ませんしね・・・

単独での行動って、気ままなので思いついたら横道にそれる・・・という楽しみはあるんですが、今回のチャーマンさんのように、知らないうちに危険なゾーンに足を踏み入れてしまっているということありますよね。

もうそろそろ日本に帰ってきた方がいいようですね・・・(^o^)
手に汗握る、すりる&さすぺんす満載♪ (みかん)
2007-03-06 19:19:37
手に汗握る、すりる&さすぺんす満載♪
アドレナリンがどばーーって出て来そう!
今回も凄いですね~~(^-^)
「シェパードにお尻の肉」ですか?!
凄い!凄い!!
(喜びすぎでしたね、すみません。)
親戚がボクサー飼ってるんですが、以前「遊ぼ~~♪」って突進してきたこと思い出しました。
きゃーーーー!!助けてーーー!!って走ったもんだから彼は遊んでくれると思い追いかけられました。死ぬかと思った。。。
ほんと、もうそろそろ日本に帰ったほうがいいですよ・・。

尺八の事よ~~~くわかっていらっしゃって感激してます(^O^)
今度是非藤原君、聞いてやってくださいませ♪
彼のお師匠様は人間国宝 山本邦山氏です。
家には邦山氏とジャズメンとのコラボCDがあります。(ジャズ好きの家おじさんの物)
藤原君はお師匠様のジャンルを超えた演奏にいたく感激しそうありたいと思ったそうです。
(ここからは小さな声で言いますが、お師匠様のCDを聞いて彼はお師匠様を超えたと私は思ってます。えへへ(^-^)

蛤のお雛様可愛いですね。胸元のふくらみがすばらしいです!!
まだお雛様が飾ってある我が家ですが、主人、曰く「あ○りちゃんはお嫁さんに行かないんだよね~。もしお嫁さんに行くときはお父さんは着いて行くからね、旦那様に宜しくね。」って。
まだ小学生の娘にそんな事言ってます。
呆れたおじさんです・・。
(実は私も着いていく事にしてます。あはは!)


今回は例の「悲(喜)劇」の真相がいよいよ!と (ねこぼーし)
2007-03-06 20:44:26
今回は例の「悲(喜)劇」の真相がいよいよ!と
どきどき&楽しみにしながら読み進めました。
最初、最新の無人電車BARTとやらが出てきたので
この中で転がったのかな、財布を落として大騒ぎしたのかな
なーんてのんきに予想してましたが…。

おお…おお?これは!!私の大予想5つのうちのひとつ、
「ドーベルマン出現」に近かったのですね。
しかしさすがの私も笑えませんよ、チャーマンさん。
本人はゲラゲラ笑ったとありますが、それはあまりの
命にかかわる危機だったためそれから解放され
一気に脳内にエンドルフィンが放出されたのでしょう。
なんだあ、あれ?とボーっとしているチャーマンさん。
そして一転してフェンスを駆けのぼるチャーマンさん。
ちょっとジャッキーチェンの映画みたいだと思いました。
(現在脳内映像化中)。あ、今ちょっと笑いが…。ぷっ。

しかしチャーマンさんの瞬発力には恐れ入ります。
私だったらやはりここでも腰を抜かしにゃーにゃー這いながら
意味もなく手で土を掘ったりしていたと思います。

こらこらクーさんや。「ご主人様、あわや!」という話ですよ!
しかし、こんなポーズの女神を描いたルネッサンス絵画が
あったような…。やはりかなり豊満なイメージで…。

ところで、饅頭禁断症状はいつ出てくるのかなあ…?
ひぇ~!何という怖ろしい体験でしょう! (ねじっこ)
2007-03-07 00:08:08
ひぇ~!何という怖ろしい体験でしょう!
よくぞご無事で帰還されました。
今書いてもこれだけの臨場感を持っているということは、リアルタイムでどれだけの衝撃だったかを物語るようですね。
高さ3㍍あまりのフェンスですか。。凄い。
最短距離とは言え、往年のカール・ルイスを越えた記録だったかもしれません。
後から笑いがこみ上げるというのが、わたしにはよーく分かるのです。過剰なアドレナリン分泌により、脳内神経のどこかが刺激されたのではないでしょうか。過度の緊張が続くと、わたしも薄ら笑いを浮かべてしまう人間なのです。

しかしチャーマンさんは運&体力・危機回避能力ともに強いお方なんですね。たぶん、わたしは失神してますよ。犬がとても苦手なので。あ、失禁じゃありませんからね(笑)。

先日の記事の「北斎」の件ですが、昨日記事にしてみました。。。
Torahikoさん、おはようございます。 (チャーマン)
2007-03-07 10:54:59
Torahikoさん、おはようございます。

なんとまあ「おしりの匂いをかがせる」!?そんな方法があるんですか!?
(それってふざけていらっしゃるんじゃ…ないですよね)

まあ、その方法を私が知っていたとしても、おしりを出す時間もなかったかもしれませんね。
急いでジーンズを下ろし、半分尻が出た状態でガブッ!ですかね。
しかしそのシーンを想像すると、キマジメな大人が眉をひそめる「低俗ギャグマンガ」ではないですか!

Torahikoさんは奇妙なことを知っていらっしゃいますなあ~。

見知らぬ地での単独行動は危険がいっぱい、ですね。
特に私のような危険予知能力が欠落している人は、はっきり言って命がけです。

はい、そろそろ日本に帰ります。
みかんさん、手に汗をにぎっていただけましたか!... (チャーマン)
2007-03-07 11:11:30
みかんさん、手に汗をにぎっていただけましたか!おお、それは恥をさらした甲斐がありましたよ。
(当時の私はこんなアホらしい事件は、絶対人に話しませんでしたけれど…)

みかんさんもボクサーに追われたことがある!それじゃあ、私のただならぬ恐怖感もリアルにわかっていただけたことでしょう。なんだか嬉しいです。

そうですねえ、「そろそろ日本に帰ったほうがいいぞ、オマエ!」という天の計らいだったのかもしれません。が、強烈すぎる計らいでした。

ご贔屓の藤原くんの尺八、聴いてみたいと思います。
お師匠様を超えた!(あ、小声で言わなきゃ)演奏、きっと彼の中から溢れ出る音楽なのでしょう、楽しみです。

ひな祭りに可愛いあ○りちゃんを囲んで、幸せそうなみかんさん一家が目に浮かびます。
ご主人、これからどんどんあ○りちゃんが眩しくなって…たいへんですね!

ああ、今回の事件はねこぼーしさんもさすがに同情... (チャーマン)
2007-03-07 23:16:01
ああ、今回の事件はねこぼーしさんもさすがに同情してくださるんだ~と感動したのも束の間、「ぷっ。」ですか、やっぱり…。

映像化した途端、でしたね。
つまり私の引き起こす事件は、視覚的にどうしても喜劇になってしまうんですね。
う~む、あまり本意ではないなあ。

この時の私の瞬発力は、今までの生涯最高のものでしたよ、きっと。
あのフェンスをあの瞬間に越えるなど、尋常ではなかなか難しいように思えます。
ねこぼーしさんだって、いざとなったらニャーニャーと這いずってなんかいないで、それこそ猫のようにフェンスを駆け登れるかもしれませんよ。

脳内エンドルフィン?ですか。
初耳ですが、自分で調合して体内に放出する興奮剤のようなものでしょうか?
はあ、相当放出されていたかもしれませんね。あの不気味な笑いはそのせいだったのか!
なんだか止まらなくなったら、アチラの世界へ行ったきりになりそうですね。

しかし、ねこぼーしさんがドーベルマンの話を想像されたのには、実際驚きましたよ。
いやいや、さすがです!

「饅頭禁断症状」…て、ねこぼーしさん、けっこう自信家というか、しつこいというか…
ねじっこさん、こんばんは! (チャーマン)
2007-03-07 23:36:06
ねじっこさん、こんばんは!

この恐怖体験は、命拾いに慣れていた私にも衝撃的でしたよ。
動物、というか獣は、まさに「非情」です。
これ、当然なんですが。

「話せばわかる!」という猶予が皆無というのが怖い。
「金ならいくらでもやる!」も通じないですしね。とにかく、私は「獲物」なんです。

それにしても、ねじっこさんは過度な緊張が続くと薄ら笑い…ですか。
脳の一部分がマヒするのかもしれませんね。自己防衛の一種でしょうか。

私は当時、体力も気力も人一倍あったので、周囲の連中にヤッカミ半分で「おまえみたいなヤツは、ものすごくつまらんことで死んだりするかもな」と言われたりしていました。

今は、おとなしいですよ、とても!

ねじっこさんは犬が苦手、ですか。
それじゃあ、確実にこんな場面に遭遇したら失禁、あ、違った失神されるでしょう。
のびてしまったねじっこさんを見て、「な~んだ!」と犬も戦意喪失するかもしれませんね。
『エンドルフィン』についてフリー百科事典“ウィキ... (ねこぼーし)
2007-03-08 01:43:56
『エンドルフィン』についてフリー百科事典“ウィキペディア”や、
その他ネットで調べたことを整理してみました。

①エンドルフィンは、脳内ホルモンの一種で神経伝達物質の一つです。(他にもセロトニン、エンケファリンなどがあります)。
強い痛みやストレスを受けると人間の脳からは、それらの
「麻薬と同じ作用を持つ物質(脳内麻薬物質)」が、脳下垂体から出てくるのです(モルヒネと同じようなもの)。

例えば出産時。分娩中には血液中のエンドルフィンの濃度は増加していき、ついには6倍ぐらいになるそうです。
出産の痛みもある程度は脳内麻薬物質で和らげることが
できるということなんですね。
ちなみに男性が出産を体験するとしたらあまりの苦しみに
死亡してしまう、という話は有名なのでご存知でしょう。

あとマラソンなどで長時間走り続けると気分が高揚してくる、いわゆる「ランナーズハイ」は、エンドルフィンの分泌によるものとの説があります。マラソンはそれほど過酷なスポーツだということでしょうか。

強いストレスなどの後に分泌されるエンドルフィンは快感物質、さらに脳内麻薬とも呼ばれますが、多量に放出されると他の麻薬同様、脳細胞を破壊し人格さえも壊してしまうそうです。(これは私の想像ですが、泥沼化したベトナム戦争下の兵士たちが多数、こんな精神状態に追い込まれたのではないかと…)

②アドレナリンについて……
『交感神経が興奮した状態、すなわち「闘争か逃走か」のホルモンと呼ばれる。動物が敵から身を守る、あるいは獲物を捕食する必要にせまられるなどといった状態に相当するストレス応答を、全身の器官に引き起こす。』
これ、そのまんまチャーマンさんの状況ですよね!

③まとめると
シェパードの突進を目撃し、自分の身を守ろうという非常事態によりアドレナリンが大量に分泌された。
そしてその作用により普段以上の能力が発揮され、
爆発的な瞬発力によりフェンスをよじ登り危険を回避。
そして最大のストレスによって脳下垂体からエンドルフィンが
分泌されて気分が高揚し、笑いが引き起こされた…。

ということだと思われます。自分の知らないうちに
脳内は忙しい状況だったようですね。
ねこぼーしさん、おはようございます。 (チャーマン)
2007-03-08 09:55:37
ねこぼーしさん、おはようございます。

昨晩はなぜかものすご~く眠くて、ブログ遊びも早々に寝てしまったのですが、なんと、私が眠りこけている間にこのような学術的コメントを寄せていただいていたんですね!

ふむふむ…なになに…ほ~、そうだったのかあ…と朝から興味、感心、納得の3セットを堪能できました。
ありがとうございます。

日頃、たいしたことないなあ、と侮りがちだった私の脳をちょっと見なおしました。
いや、よくやった!と30年ぶりに褒めてやりたい心境です。

私はドラッグ未経験ですが(アタリマエか)この時、実は経験していたんですね。

先日開催された「東京マラソン」に出場した知り合いが、マラソンの魅力を熱く語ってくれましたが、そのとき「なんだか麻薬じみてるな、」と思ったんです!
アタリ、でしたね。

その知人に一緒に走ろう、と誘われましたが…私はもう体内ドラッグはやめておきます。
私のことですから、身体ががんばってエンドルフィンやらアドレナリンやらをやたらと分泌し始めて、脳細胞が破壊!なんてことになったら笑っていられませんからね。(というより、笑いが止まらなくなる…のか!)

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