朝から妻が騒々しく私の部屋へやって来て、言うことに、
「枇杷がたいへんな目にあってる!」
と、まあコーフンしている。
話を聞いてみると、毎日、台所の高窓から枇杷の色づくのを
楽しみに眺めていたそうだが、なんだか、実が少なくなって
いるような気がしていた。
そうしたら、さっき、自分の目の前でカラスが大きな枇杷の実
をくわえて飛んでいった!と…まあ、ナニゴトカ!というような
騒ぎだ。
そして、一刻も早く収穫してくれ、と言う。
「ハイ、ハイ、」と庭へ降りてみると、既に梯子が用意されて
いる。(こういう時は、ホント、用意が素早い…)
なんといっても初生りだから、心も弾む。
それほどたくさんの実はなかったが、上の写真のとおり、
美しい実が私達の手元へ降りてきた。
カラスにもぎりとられた実は、10個ほどか…。
さっそく洗って食べてみたら、文句なしの美味しさ!
これは本当に手前味噌ではなく、かつてないほどの
美味しさだった。
枇杷とは、こんなに香り高いものだったのか。
と、家族みんなで驚いた。
ほのかな酸味もあって、品のよい風味。
そして、なにより枇杷の実には静寂がある。
童謡『ゆりかごの歌』(題名はちがうかもしれない)に
たしか『ゆりかごの上で枇杷の実が揺れるよ』、という
フレーズがあったと記憶しているが、あの詩の作者の
感性はすごいなあ、とあらためて感心した。
グミ。夏グミだ。
散歩道にあった。
小学3、4年生くらいの
ねえさんと、1,2年生
くらいの弟が、仲良く
実を採っていた。
私が立ち止まって、グミに手を伸ばすと、ねえさんが、
「袋、お貸ししましょうか?」
「はっ!どうも…ありがとう、(いや、マイッタな)」
いつの時代も、女の子はしっかり者、男の子は…
はっきり言って疎い。(のが多い)
「ほら、○○ちゃん、もうそれくらいにしなさい!」
などと言っているねえさんの声をあとに、家に戻った。
小さな器に入れてみた。
グミの実も、こうして
見ると、静かだ。