limited express NANKI-1号の独り言

折々の話題や国内外の出来事・自身の過去について、語り綴ります。
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ジョーカーの通信簿

2017年02月22日 13時04分53秒 | 日記
「合衆国」を簒奪してアメリカ帝国の総統となって1ヶ月あまり、ジョーカー総統の通信簿を付けて見よう。5段階評定で評価するとすれば「オール1」。すなわち「落第」である。まあ、当然と言えばその通りなのだが、政権の基盤やワシントンの官僚機構が固まっていないこと、ホワイトハウスでの権力闘争の構図を見る限り「半身不随」で辣腕を振るう総統の無謀さを見れば「-5」を付けてもいいと思う。アメリカ帝国は危うい船出をして、難破寸前と言えるからだ。

骨組みだけ・規定理解せず
ホワイトハウスに程近い「帝国通商代表部(USTR)」。総統が目玉時間を政策としてぶち上げた「貿易協定の見直し」などの政策を担う役所だが、司令塔とも言うべき商務長官やUSTR代表の人事案は議会で承認を得られていないまま。約2500人の職員がいるが、幹部ポストの多くが決まらず「休眠状態」が続く。そこに、政権発足後まもなく、新設された帝国通商会議(NTC)が作成した貿易政策の方針に関する文書が持込まれた。職員は首をかしげてこう言ったと言う「ホワイトハウスは議会との協議や通告などの手続きを理解していない」。貿易促進権限法(TPA)では、総統が新たな貿易交渉に入る90日前に議会に通告するなどの規定があるそうだが、NTCの文書はこうした手続きにそぐわない内容だった。「TPAに照らすと、このような手続きが必要です」。職員達は2時間近くの割いて、法律上必要な手続きを20項目ほど箇条書にする作業に追われたと言う。総統と親衛隊は、ワシントンDCに既存の背後組織を持っていないし、秩序やワシントン論理を理解していない。NAFTA見直しや2国間貿易協定の締結など、USTRが背負う仕事は膨大なものになるはずだが、肝心の組織が「機能不全」ではお先真っ暗もいいところだろう。

空席
政権の多くの重要ポストも空席だらけだ。約4000とされる政治任用ポストのうち、議会承認が必要な重要ポストは約1200。しかも、閣僚も含め総統が議会に諮ったポストは59ポストに過ぎず、「副長官」はわずかに3人しか指名されていない。国家安全保障担当の総統補佐官フリン氏は辞任に追い込まれ(と言うか保身のために、わざとヘマをでっち上げたと言うべきか?)、後任に白羽の矢を立てたものの「固辞」され、1週間もの空白を経て、ようやくマクマスター中将に落ち着いた。最重要ポストが、これほど長期に空白となるのは異例と言うより「異常事態」だ。クリントン大統領以後3代の大統領の閣僚の議会承認日を見て見ると、候補者が辞退して遅れたことを除けば、2月24日というのが最遅延例だ。総統政権下では、まだ未承認のポストだらけ。ホワイトハウスで「総統命令」を連発しても、実働部隊が編成されていない現状では、いずれ政治の空白や停滞を招くのは時間の問題だ。選挙戦争中の公約の実現にも遠からず「陰」を落とすことになるのは間違いない。

消火活動
選挙戦争中からの悪癖「ツイッター」による艦砲射撃で、国内外が「大火災」状態だが、これらの火災の「消火活動」に当たっているのがペンス副総統とマティス国防長官とティラーソン国務長官らだ。外交儀礼を無視した総統の「予測不能」な発言とツイートで付けた火災を慎重に消し止めるのは、もはや常態化しつつあり総統の「過激な物言い」で外交関係に激震や大崩壊が起こることも珍しくない。いい例がメキシコとの関係だ。1月26日にホワイトハウスにいたメキシコ外相ら一行は、週明けにも両国の首脳会談を開くことで合意し、共同文書をすり合わせるだけになっていた。しかし、一本の携帯電話が全てを吹き飛ばした。「総統が「ジョーカーの長城」の建設費用はメキシコが払うべきだとツイッターで書き込んでいる!!」外相は、親衛隊に真意を問い質したが、親衛隊も「我々にも知らされていない」と驚きを隠さなかったと言う。ジョーカー総統砲が一瞬にして米帝国メキシコ関係を粉砕した瞬間だ。関係者は「親衛隊でも総統を制御できていない」とこぼしたと言う。ティラーソン国務長官は「ホワイトハウスとの調整など、困難な問題が山積みだ。外交政策の意思統一ができるまでには、相当な時間がかかる」と嘆いたと言う。彼らが、総統が付けて回る火災を消し続ける構図を放棄し、燃えるに任せる状況に陥らなければいいが、早晩「尻拭い消火」を諦める閣僚が出るのは間違いない。

与党は「NO」と言い続けられるのか?
与党共和党の伝統的信条は「小さな政府・自由貿易」であるが、総統の考えは「大きな政府・保護主義」である。これは真正面からの衝突を意味している。政治経験の無い、総統の強引で衝動的な経済政策に対して、政府の過剰な関与を否定する共和党議員はカンカンだ。選挙戦争から続く党内の亀裂は既に明らかだ。与党内の対立が足かせとなり、政治が停滞する恐れは常にある。「水と油」の関係にある総統と与党。総統の政策の鍵になる公共投資に関して、与党が計画阻止に動く可能性はゼロではない。閣僚人事の承認に関しても「造反者」が出るなど、関係は軋んでいる。親衛隊と共和党の間に巨大な溝があることを考えれば、双方の妥協点を見いだすことは至難の業になる。しかも、親衛隊の一員が「イバンカ・ジョーカー」ブランドの宣伝をテレビの生放送中に決行すると言う「公私混同」を平然とやり遂げるなど、ワシントンDCの論理に反する行為に及ぶなど「逆撫で」を繰り返す親衛隊とジョーカー総統砲で「轟沈」を狙う傍若無人な総統。与党内にも反総統派が頭角を現し、公然と反対を主張し始める可能性というか「現実問題」は起こりうる。予算の絡んだ「総統命令」が議会で公然と否決された場合、総統の求心力が失われ「内戦」へと混乱が進化してしまう怖れもある。

混乱続きでも支持率だけは平均で44%超はある。欧州でも総統に共鳴する人々はいるのは確かだ。しかし、総統がいつまで「アメリカ帝国の総統」で居られるか?は未知数だ。簒奪から1ヶ月。まだ方向すら定まっていない帝国の舵取りをどうやって安定させるのか?はたまた「暗殺」によって落命するか?課題は山積しているだけでなく、国内外も「分断」による危機に瀕している。第三次世界大戦の「引金」を握っているのは間違いないだろう。ただ、その「引金」を引かせてはならない。最悪のシナリオが実行される前に、バットマンが登場して欲しいところだ。

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