limited express NANKI-1号の独り言

折々の話題や国内外の出来事・自身の過去について、語り綴ります。
たまに、写真も掲載中。本日、天気晴朗ナレドモ波高シ

life 人生雑記帳 - 60

2019年11月05日 17時25分44秒 | 日記
日曜日、多分、梅雨入り前の最後の晴れ間になると僕は踏んだ。6月も初旬を過ぎているのだ。鹿児島一帯を含む南九州の梅雨入りは、間近に迫っているはず。いよいよ灰の混じった雨が襲いかかって来る確率は、数段上がるだろう。姶良カルデラの北端、南に桜島と言う地形上、南風が吹くと雨になるのは必然性があった。錦江湾は南に向けて外海と繋がっている。東西と北は高い外輪山でガードされている。雨雲が流れ込むのは、南しか無いのだ。鹿児島のローカルニュースで、“これだけは見逃すな!”と言う情報があった。“桜島上空の風向き”だ!活発に活動中の桜島は、いつ大量の噴煙を挙げるか?予測不可能だった。降灰の向きは風向きが決めるから、南風だと最悪の場合、灰混じりの雨にやられるのだ!傘は銀色に、作業服は白く斑に、車には薄っすらと積もる。故に、ワイパーゴムは3ヶ月に1度交換しないと、機能しないし、灰は酸性なので速やかに洗車して取り除く必要性があった。雨が降れば洗車機が混む。1時間待ちはザラにあり、コイン洗車場も長い行列が出来る。寮生は、車を覆うフルカバーでガードするのが、常識として定着していたものだった。翌日が雨と予報が出ると、男女関係無く愛車をシートで厳重に覆うのだ。これが、唯一の対策であり、車を長持ちさせる秘訣なのだ。今朝は、多少なりとも雲があったが、概ね晴れの天気。雨は月曜日からになるだろう。待ち合わせ時刻は、午前8時。少し余裕を持って、寮の玄関先へ出ると、赤いマーチは既に横付けされていた。「おはよう。早いな」と千絵に言うと「待ちきれなくて、早く目が覚めたの。先輩、これ読んだ事あります?」と1冊のコミックを手渡される。助手席に座るとタイトルを見た。「“リップスティック・グラフィティ”か。懐かしな!時期的にちょうど高校時代とリンクしてるから、自分達の事の様に思えて親近感があるよ」と返すと「“海のオーロラ”にしても、“リップスティック・グラフィティ”にしても、どうやって読んだんです?立ち読みなんかしたら、明らかに“不審者”じゃあないですか?!」「教室の机の上に転がってれば、否応なしに手にするさ!道子と幸子の陰謀にハマったまでだ。授業のノートと交換で借りて読んだ作品だから、思い入れもあるしな!」「クラスメイトの女の子から借りた?ノートと交換で?どう言うシステムです?」「お互いに、得手不得手があるだろう?生物とか日本史や世界史、古文のノートを貸出す代わりに、数学や英語のノートをまる写しにする。“相互援助活動”の一環だよ。“補習授業”も各自が得意分野を担当してやる。だから、少し掘下げて勉強しないと教えられない。そうする事で“赤点”を免れるし、全員がレベルアップ出来る。キッカケは、インフルエンザで休んだ幸子のノートを手分けして作った事が始まりさ!」「上からの圧力とか、学校の雰囲気で潰されなかったんですか?」「新設校だったんだ!僕たちは2期生。1期生と共に“礎”を築く立場だったのさ。だから、煩いOBやOGも居ないし、伝統も無し!自由で風通しのいい環境だったからこそ出来た芸当だったんだろうな。逆に“悪しき事”は残せないから、卒業前は大変だった。僕等の代で改悪された諸々の“規則や会則”は全て破壊してから、“太祖の世に復せ”と下に命じて卒業したのさ」「“太祖の世”って何です?」「あー、分からないよな!“1期生の時代に戻れ”って意味」「先輩、たまに分かりにくいと言うか、“学のある表現”を使いますよね?それで同級生や下級生に通じてました?」「うん、それが当たり前だったからね」「あたしとレベルが全然違いますね。“太祖”って言われてもフリーズするしかありませんよ。もっと、かみ砕いて説明して下さいよ!元に戻りますが、“さよならなんていえない”とか、“Mickey”とか、短編の“きんぽうげ”とかも見てます?」「“さよならなんていえない”は“りぼん”の連載で読んだし、“きんぽうげ”も読んだよ。あれも割と好きだったなー」「先輩の頭の中はどうなっているんです?“孫氏の兵法”を読破して語れるだけでなく、少女マンガまでレパートリーがあるなんて!解剖と言うか分解してみてもいいですか?」千絵はマジになって首筋を触り出す。「どこかにネジが埋もれてるはず。それさえ発見出来れば・・・」「千絵―、僕はサイボーグじゃ無いぞ!くすぐったいから止めてくれー!」と言うが、千絵は必死に僕の身体を調べ続けた。「うーん、巧妙に隠してて見つからない!後で、つま先から頭のてっぺんまで隈なく探そう!」「それよりも、今日はどこへ行くんだ?」「あっ!すっかり忘れてた!どこへ行きます?」「朝からボケをかますなよ!よーし、人吉へ行くぞ!」「えー、何しに行くんですか?」「肥薩線の“おこば駅”を見に行くんだよ!この辺では唯一残っている“スイッチバック”と“ループ線”の撮影さ!」「ローカル線のどこに魅力があります?特急なんか走ってませんよ?」「ともかく、行こう!運転は代わってやるから」「OK、じゃあ、お任せしますよ!」千絵はキーを掌に乗せた。すったもんだの挙句のスタートだった。

溝辺鹿児島空港ICから人吉ICまでは、九州自動車道を走行した。「Y先輩、何故、肥薩線なんです?」千絵は不思議そうに聞いた。「かつては、こっちが“鹿児島本線”だったからさ。八代駅から先は、肥薩線の方が開通が早いんだ。川内回りのルートは、電化の際に変更になったのさ。明治時代は、海岸線沿いに鉄道を敷設するのをためらった経緯があるんだよ。国防上の理由からね」「海からの攻撃を恐れた?」「ああ、非常時には攻撃を受けにくい様にしなきゃならなかった。だから、球磨川沿いに線路を敷いた。けれど、後の工事では、複線電化を模索する際に土地の狭さとトンネルの問題故に“足かせ”になってしまった。だから、八代から先を西側の“新ルート”で敷設し直した。だから、“単線非電化”で残存してるのさ。“スイッチバック”と“ループ線”は、急勾配をクリアするための工夫って訳」「全国でもここだけなんですか?」「上越線の清水トンネルの例がある。最も、向こうは複線化の時に別ルートで上り線を敷設しているから、下り線だけだが・・・。かつては“本線”だった路線としては、御殿場線がある。熱海経由の丹那トンネルが開通するまでは、立派な東海道本線だったんだ!」「“オタク知識”までインプットされてるんですね。メモリーはどこに隠してあるんです?」千絵は“サイボーグ説”を捨てていなかった。「電子回路は付いて無いよ!全部、灰色の脳細胞に記憶されてる」「それにしても、広範囲な知識を良くもスラスラと言えますよね!どうやって覚えたんです?」「ひたすら掘り下げるのが、僕のクセらしい。気になると、とことん調べる悪癖があるんだよ!まだ、千絵に関しては謎めいた点を調べ尽くしてはいないけどね」「後で、存分に調べれば?」千絵はニッコリと笑った。人吉ICで降りて市街地を抜け、国道267号を鹿児島方向へと戻ると、肥薩線“おこば駅”の案内看板に沿って脇道を進む。駅はひっそりと佇んでいた。「これって、駅に入ってから方向転換するんですよね?」「ああ、現在は両方向に運転台のあるディーゼル車両だから、運転手が移動するだけでいいが、開通当初は当然蒸気機関車だから、機関車を回して連結し直したはずだよ。前も後ろも同時にな!」「えっ!後ろの機関車って、前後2両で?」「これだけキツイ勾配だから、引くだけじゃ登れない!補機として押す機関車も連結してただろうよ。しかも、先には下り坂が控えてる!ブレーキも効かせるには、補機は欠かせなかったはずだ。線路や“転車台”は撤去されているが、駅の敷地が結構広いところを見ると、かつては今言った施設はあったはずだ!」僕は要所でシャッターを切り続けた。「今だって、駅に列車が入線すれば、ポイントを切り替えてから、北や南へ向かうはずだ。すれ違いもここでやってるんだろうよ。上り下りの両方に対応可能なホームになってるだろう?」「確かに。山の中なのに、敷地が広過ぎるし、ホームも両面に対応してるわ!」「地図を見るとだな、えびの市側に出ても、余り山を下らずに山の中腹近辺を線路が走ってるだろう?昔はこうしないと、安定して走れなかった証拠さ!上り切ったら、なるべく高低差の少ない場所を選んだ結果だろう。霧島温泉駅から隼人駅の付近は、結構な下りだからな。八代へ戻るにしても、補機は必要だよ」「どのくらいのスピードだったのかな?」「うーん、下手をすると“自転車に負けた”可能性はあるかもな。蒸気機関車そのものが重たいんだから、1寸刻みに喘いで登っただろうよ」「鉄道が自転車に負ける?そんなに遅い訳?」「早く走れば、飛び乗れた事は確かだろうさ。無論、パワーのある機関車なら話は別だがね」「“トンネルの問題”って何です?」「電化するには、架線を上に通さなくちゃならないだろう?トンネルの断面積は、蒸気機関車が走る事を想定して掘られてるから、上下方向の高さが足りないんだ。“盤下げ”って工事、すなわち、地面を掘り下げる工事をしないとトンネルを通過できないし、鉄橋も併せて下に持って行かなきゃならない。しかも、運行を停めないと大々的な改造工事は無理だ。八代、隼人間には、短いトンネルが結構あるし、電力の供給にも問題があったんだろう。“新ルート”に切り替えたのは、そうした理由もあるだろうよ」フィルムを使い切り、パトローネ交換をしつつ千絵の疑問に答えた。「電力って普通のコンセントから取るヤツじゃなくて?」「同じ交流でも100Vじゃあ無いよ。20.000Vの高圧電流が流れてる。交流電源の利点は、変電所の数が少なくて済む事と、高圧だから容量を稼げる事にある。新幹線が交流を使っているのは、大容量の電力を必要としているからさ!時速300kmオーバーなんて速度を出すには、高圧電源が無いと無理だからね!」「感電したら黒焦げになるのね。山手線もそうなの?」「いや、ちょっと違う。直流1500Vだ。関東甲信越、名古屋周辺、大阪近郊などは、直流電化さ。電化された時期や電力供給の関係で、直流と交流に別れてるのさ。九州一帯は交流1本だがね」「じゃあ、ここら辺で走っている電車は、首都圏や信州には乗り入れできないの?」「それが、ややこしい話になるがね・・・」僕達はマーチに向かって歩き出した。「ここら辺で走ってる電車は、そのまま首都圏や信州に乗り入れ可能なんだよ。ただし、逆は無理だ。山手線の電車は九州に乗り入り不可能だ!」「どうしてよ?」「電車の構造が違うのさ。この辺りで走ってる電車は、415系か485系と言うが、“交直両様電車”と言って電化されていれば、どこでも走れるタイプなんだ。山手線の電車は“直流電車”だから、交流区間は走行不可能。では、何故、“交直両様電車”がどこでも走れるか?なんだが、実は床下に“変圧変換機”を持っているからさ。理科の実験で電源装置を使ったの覚えてないかな?コンセントにプラグを差し込んで、電流と電圧を調整すると、実験回路内の豆電球が光るヤツだが・・・」「何となく覚えてるけど?」「原理はアレと一緒だよ。交流を直流に変換してやる。それを電車の床下でやってるからさ。直流区間なら、“変圧変換機”を止めてしまえばいい。基本は直流型と一緒なんだ。床下に“変圧変換機”を持っているか、いないかの違いだけ!」僕はマーチを始動すると、人吉市内へと向かった。「うーん、何となく分かった様な、まだあやふやな様な・・・」千絵は盛んに首を捻る。「でも、何で、485系?だっけ?ややこしいモノを開発したのよ?」「必要があったからさ。大阪から青森まで走る“白鳥”と言う特急があるが、最初はディーゼル特急でスタートしたんだが、スピード・加速不足でね。時間短縮の要望が国鉄に挙げられたんだ。電車化に当たって、一番困ったのが北陸線内と奥羽本線の村上以北の交流区間だった。乗り換え無しで直通運転を可能にしたのが、485系“特急型交直両様電車”だったのさ。“必要は発明の母”だろう?苦労して辿り着いた結論が、たまたまそれだったのさ!今では、485系は直流区間でも活躍している、国鉄の“特急の柱”だよ!」「仮に、あくまでも“仮の話”だけど、あたしが“にちりん”を運転して、O工場の近くまで走って行く事は出来るの?」「気の長い旅路にはなるが、充分に可能だよ!でも、乗って来た以上は、返しに戻らなくてはならないがね!1編成をジャックするにしても、ダイヤに影響が出るからな!」「予備があるでしょう?」「電車にも車と同じように“車検”に相当する分解整備が義務付けられてる。予備を盗まれたら、代替えも出来なくなるし臨時運行も出来なくなる。国鉄から苦情が来るよ!」「そんな事、関係無いわ!あたしの都合に見合う様にしてくれなくちゃ!」千絵は“どこ吹く風”だった。人吉の街でコンビニを見つけると、僕等は食料と飲み物を手に入れて、九州自動車道を戻り、宮崎へ向かった。

宮崎ICの直前、清武PAまで来るとちょうど昼になった。車を停めると、まず手足を伸ばす。「いやー、速度を一定に保つのはキツイなー。だが、直進性は素直でいい!寮の“オンボロ、カローラ”よりは格段に素直だ!」「それ、どう言う意味です?」と千絵が睨む。「排気量が小さいから、坂道はやや苦労するがハンドリングは安定してるって事だよ。なーに、怒ってるの?」「怒ってません!」「ブリブリ言うな。千絵らしくないぞ!」「女子寮に居る“阿婆擦れ女”と比べないで!あたしの方が断然、Y先輩の事を知り尽くしてるんですから!」ご機嫌は、斜めでは無く断崖絶壁の如しだった。千絵は、マーチの後席へ座り込むと「ここに来て!」と言う。後席へ潜り込むと「抱っこちゃん!」と言って膝に座り首に腕を巻き付けて甘えて来る。「“前世”でも、あたし達は夫婦だった。子供は4人。男の子と女の子の2人づつ、ある日、大地が突然避けて山が噴火した。あなたは、あたしと子供達を逃がすために火に包まれた。そして、あたし達も海に流された。時は流れて、今、再び、あたし達は1つになるの。昨日見た夢よ!」「妙にリアリティーがあるな?まさか、“前世の記憶”が蘇ったとでも言うのかい?」「多分、そう。あたし達は結ばれる運命なの。誰にも渡さない!あなたは、あたしのただ1人の人よ!」唇が重なり、何度も舌が絡みつく。「しようよ!子供が欲しいの!」千絵は本気で望んでいた。「ここじゃあダメだよ。“2人だけの部屋”に行かなきゃ!」と言うが、千絵はスカートをめくって手を導き出した。「見られてもいい。触って!かき回して!」脚を広げてパンティに触れさせる。湿り気を帯びたパンティの中へ手を入れると、指でかき回してやる。「ああ・・・、漏れちゃう!イッてもいい?イッてもいいですか?」潤んだ目で千絵が言う。愛液が多量に流れ出し、パンティと僕のズボンを濡らした。千絵は、放心状態で喘いでいる。「ごめん・・・なさい。汚しちゃった・・・。でも・・・、気持ち・・・よかったの。早く・・・イタズラ坊やを・・・ちょうだい!」千絵は、息子を撫でながらキスを繰り返して誘惑を続ける。拒む理由は無かった。ビショ濡れのバンティを剥ぎ取ると、ゆっくりと息子を中に入れた。「あん!・・・大きい・・・のが・・・根元まで・・・入ってる!動く・・・ね」千絵は腰を使い、徐々に喘ぎ声を上げ出した。締め付けが強まり、息子に絡みつく。その感触は、誰からも感じる事が無かった“千絵からだけ感じる”ものだった。「出して・・・、中へ・・・、中へ・・・、出して!・・・出して下さい!」譫言の様に千絵は言う。ありったけの体液を注いでやると、ピクピクと身体を震わせて「気持ち・・・よかった。沢山・・・出してくれたね。うれしい」千絵は満足げに言った。唇を重ねると「綺麗にしなきゃ」と言いテイッシュで拭き取りをする。僕の息子も拭きあげてくれる。「千絵、着替えは?」「下着はあるの。でも、先輩のズボンが・・・」「千絵のモノだからいいよ」「ダメ!カッコ付かないでしょ!」結局、宮崎市内で服を買う事になった。

市内で衣服一式を買い、着替えを済ませると僕等はモーテルに入った。“2人だけの部屋”に落ち着くと、千絵を抱いてゆっくりとお互いの衣服を剥ぎ取って行く。千絵は盛んにキスをねだる。生まれたままになると、バスタブに湯を張り、まずシャワーを浴びる。ボディソープを塗り合ってから、並んでバスタブに浸かると「おっぱいちゃん好きでしょ?ねぇ、触って!」と言う。千絵の乳房は身体に似合わず豊満で、適度な弾力と張りがある。これまで逢瀬を重ねた女性達の中でも、一番好きな乳房だった。千絵の不思議なところは、僕の身体に“しっくり”とフィトする事だ。“前世で夫婦だった”と言った話が“真実”ではないかと錯覚しそうになるのも、彼女の身体が“しっくり”とフィットするのが由縁なのかも知れなかった。「あたし、あなたに抱かれるために生まれて来たと思ってるの。だから、あなたの子供が欲しい!産みたいのよ!」千絵は妖艶な笑みを浮かべる。「じゃあ、また、しようか?」乳首を摘んで刺激を与えると、たちまち息が荒くなる。ホールもかき回してやると、狂ったように身体を振るわせて「はやく・・・、ちょうだい!この・・・いたずら坊やを・・・、下さい!」とねだる。バスタブで2回戦、ベッドで3回戦を終えると、シャワーを浴びて汗を流した。千絵は、まだベッドで余韻に浸っていた。バスローブを纏い、千絵に「シャワー浴びたら?」と言うと「ズルイ。先に済ませたの?あたしと一緒にしなきゃダメよ!」と言って息子を掴んで舌を這わせる。「今日は、底無しか?」「何事も妊娠するためよ。子種をより多くもらった人が勝つの!」こうしてエネルギーを注入されると、理性のタガは意図も簡単に外れる。バスマットの上で4回戦を挑んでやる。「そうよ・・・、もっと・・・もっと・・・突いて下さい!」背後からの猛然とした突きに、千絵は声を上げて答える。体位を変えて相対すると、より激しく突きをお見舞いする。乳房を鷲掴みにして、腰を使うと「あー・・・イク・・・、あたしイッちゃう!イッてもいいですか?いいですか?」と叫んで絡みついて来た。残っている体液全てを注いでやると「良かった・・・、やっぱり、あたしは、あなたのモノよ」と言ってしばらく離れなかった。

身も心もスッキリしたところで、僕等は青島へ向かった。コバルトブルーに輝く海、波が砕ける岩。夢中でシャッターを切っていると「先輩、本当に海が好きですね。まるで、子供みたいに!」千絵は無邪気に笑う。「“信濃の国は十州に、境連ぬる国にして、そびゆる山は、いや高く、流るる川はいや遠し”長野県には海が無い内陸。日本海、太平洋どちらに出るにも、簡単には行かない。潮の香り、海風、沈む夕日、登る朝日、その全てに憧れを抱いて育ったものだ。海に魅せられるのは宿命だよ」「“信濃の国”って長野の人は誰でも知ってるの?」「ああ、そもそも、小学校で習うからね。長野県の地政学を学ぶには、丁度いい歌だしな!」「鹿児島県の歌なんて、聞いたことも無いのよ。そもそも、あるのかな?」「あるはずだよ!だけど、一般的に歌われてないから埋もれてる事が多い。“信濃の国”は特例的な扱いをされてるしな!」「何よそれ?」「分県論を“封印”した実績があるんだよ。戦後まもなく、長野県を“2つに分県しよう”って運動が起こって、県議会で採決する寸前まで議論が進んだんだが、突如として傍聴席から“信濃の国”の大合唱が起こってね、採決を見送らせた実績があるのさ!その後、議案は廃案になった。嘘みたいな本当の話なんだけどね!今では、県庁の仕事始めの式で“信濃の国”を歌うのが恒例になってる!」「何気に凄くない?分県を阻止するなんて、考えられないわ!」「それだけ愛着を持って歌い継がれているって事さ。故に特例的な扱いを受けてるって言うのさ」「十州って事は、10の国に囲まれてるって意味でしょう?」「そうさ、越後、越中、飛騨、美濃、三河、遠江、駿河、甲斐、武蔵、上野の10国さ。新潟、富山、岐阜、愛知、静岡、山梨、埼玉、群馬って言えば、分かりやすいかな?」「目が回るよ。それだけ覚えるだけでも大変なのに、スラスラと出て来る先輩の頭が凄すぎ!記憶モノは得意でしょ?」「ああ、割とな。だが、数学の方程式や英語の文法はダメだ!」「それで、ノートまる写しで逃げたの?」「赤点逃れでな」「でも、歴史や生物は“講義”を持ったんでしょう?同級生の前で“授業”やれるなんて、やっぱり普通じゃあないわ!」「千絵はどうしてた?」「赤は赤よ!大体、想像付くでしょう?」「まあな。化粧とかは?」「そんなの、無しよ!ノーメークよ!UVケアなんて無理、無理!」「でも、素肌は綺麗じゃないか。どうやってガードしたの?」「家で化粧水塗りまくりよ!就職してからは、屋内での作業でしょう?やっと、ここまで戻したってとこ!」「綺麗な素肌に触れられる特権は捨てがたいな。胸の形も気に入ってるし」「馬鹿!スケベ!」千絵は拳を振りかざすが、怒ってはいない。むしろ、笑っていた。「先輩、濡れちゃったパンティあげますよ!あたしの匂いを嗅いでお守りにしません?」「他の女性から隔離するつもりか?でも、隠し通せるかな?寮の部屋では、ブライバシーもあったもんじゃ無いからな・・・」「そんなの直ぐに気にしなくても良くなります!懐妊すれば自動的に“ご入籍”だもの。アパート借りて、2人だけの生活になれば、いつでも触れるんだし、選り取り見取りになるでしょう?」千絵が当然と言わんばかりに言った。「当たるかな?」「勿論!あれだけ注いでもらったもの!」「女の子だな」「男の子だったら?」「どっちでもいいよ。元気に生まれてくれれば」偽らざる本音だった。千絵と暮らす。それが自然な流れだろう。僕等は、日向灘のコバルトブルーの海を見つめていた。

帰りの宮崎自動車道で“中央フリーウェイ”が流れると、「先輩、このマーチで“中央フリーウェイ”を実体験するとしたら、どうすればいいです?」千絵がとんでもない事を口に仕出す。「車を持って行くなら、フェリーだが・・・、36時間はかかるだろうな?しかも、大阪からになるから、阪神高速・名神・中央道・首都高の順に突破をしなきゃならない。相当な長旅になるぞ!」「じゃあ、羽田でレンタカーを借りるとしたら?」「横羽線から、JCTの嵐を掻い潜って、首都高4号に乗るまでが大変だ!そこまで行ければ問題は無いが、どこに泊まる?日帰りで“とんぼ返り”するか?」「うーん、飛行機に間に合わなければ泊まりか。別に2人で愛し合えれば、あたしはOKなんだよね。でも、この車で行く事に意味があるの!何とかなりません?」「無茶を振ってくれるな!でも、フェリーで行くなら可能性はゼロじゃない。問題は、休みをどうするか?だよ。お盆は避けるとすると、3連休狙いになるが、それだと時間が足りない!自走して遥々と向かうとしても、地理不案内な地域の走行をどうやってクリアする?夜も関係無しに飛ばさないと、東京は遥か彼方にあるんだから、キツイぞ!」「ふむ、お盆に帰省しなければ解決出来ない?」「そりゃそうだが、渋滞をどう回避する?至る所に渋滞ポイントはあるんだ!一筋縄では行かんぞ!」「そうだ!先輩にくっいて帰省すればいいんだ!先輩の車なら渋滞とは無縁でしょう!」「まあ、そうだな。でも、帰らなくてもいいのか?」「どうにでもなりますよ!決めた!お盆は“中央フリーウェイ体験ツアー”に行く!」千絵は勝手に決めてしまった。それだけ憧れてしまったのだろう。無邪気な夢だが、“叶えてやりたい”と思えるのが、彼女の魅力だろう。「それなら、チケットの手配をして置けよ!タダでさえ込む時期だし、名古屋発着の便は数が少ない。腹を括ったなら、フライトプランは早めに計画しろよ!」僕は肩をすくめるしか無かった。千絵はキャイキャイとはしゃいでいた。“この道は、まるで滑走路、夜空に続く”を地で行くなら夕暮れ時に走るのがロマンチックだ。都内でどうやって時間を過ごすか?も考えなくてはならない。8月に向けて宿題は山積みだが、チャンスは1回限りだろう。走行車線をゆったりと流しつつ、僕も思案を始めた。「壮大な計画だな。真夏の夜の夢か・・・」赤いマーチは、鹿児島へ戻った。
寮の前で“別れの口づけ”を交わすと「Y先輩!お盆、楽しみにしてますから、必ず連れてってくださいよ!」と千絵が念を押した。「ああ、必ずな!」と言うと、千絵は微笑みながら駐車場へ車を回しに行った。部屋に戻ると、鎌倉が待ち構えていた。「お早いお帰りだな。どうだった?」「世話が焼ける“お姉さま方”だよ。これで、来週も安泰だろうよ」と返すと「Y、率直に聞くぞ!どこまで行ってる?」「男女の仲まで。それがどうした?鎌倉も違う匂いがするな?」「うむ、新谷さんに迫られてな・・・。拒めなかったよ。Y、和歌子先輩に対して罪悪感は無いのか?」「無いと言えば嘘になる。だが、僕等は帰れるのか?半永久的に釘付けにされたらどうする?取り敢えずは、派遣期間は半年だが、保証は無いに等しい。向こうの都合次第で、僕等の運命は左右されちまうんだ!ならば、いっその事“根を降ろす”覚悟も必要じゃないか?和歌子先輩が来てくれる保証も無い。僕は、“帰らない選択”も考え出してるんだ!“住めば都”じゃないが、僕はこの地で新たな道を見つけつつあるんだ。向こうでは望めない責任と地位も手にした。ここに未来を託すのもあるんじゃないか?」「確かに、Yの評価は群を抜いて高いよな。安田順二が容易く手放すはずが無い。Y、俺も同じ事を考える様になりつつあるんだ!美紀先輩には悪いが、帰れなければ“新たな道”を探さなきゃならない。今度、電力関係の“保守点検を任せる”と言われた。それも、4ブロック全体だ。俺としても“望むところ”なんだが、これで上手く行ったら、1つ帰る理由が無くなるだろう?向こうでは望めない責任と地位、お前さんと同じだが、それがここにはあるんだ。未来は国分にあるとしたら、向こうの事は忘れてもいいと思うか?」鎌倉も悩んでいたのだ。「そう思わなくては、ここではやって行けない。僕等は常に試されている。そして、結果を出している。僕も鎌倉も、“代えがたい人材”になりつつあるんだ。僕等にしか出来ない事が増えれば、国分側だって黙って帰すとは思えん!引き返すことが不可能な地点に僕等は立ってしまった。だとしたら、どうやって生き延びるか?を考えるよな?」「ああ、そうすれば、結論は1つしか無い。“この地に根を降ろす”選択だ。Y、腹は括ってるのか?」「ウチの“お姉さま方”も必死さ!ガチガチに固めて、動けなくしようと工作を展開中だよ。“安さん”への工作もやってるだろうよ。それを振りほどいて帰れるか?」「多分、無理だろうな。俺のところも、権限を持たせて“簡単には帰れない”方向に持って行くのが見え見えだ!ならば、その船に乗るのも筋か?」「新谷さん1人ならまだいいが、ウチは25名+25名の50名が蓋をしようとしてる。僕の力ではあらがう事は出来ん!」「俺よりキツイ話だな。Y、ここは、南の果てだ。向こうには見えないだろう?風の噂は届くかも知れないが、和歌子先輩も美紀先輩も実際に見てる訳じゃないよな。笹船の如く揺られているよりは、流れに任せるのもありだよな?」「ああ、そう考えなければやっては行けないよ。実際、向こうよりキツイし、責任も重い。僕等は選ばれてるんだ。克ちゃんや吉田さんよりは、期待も大きい。選ばれし者の特権だと割り切る事も必要じゃないか?」「いつ、割り切れた?」「ここへ来て2週間後。今の職場を預かった時点だ」「俺もそろそろ到達したらしいな。よし!思い切ってやって見るか!」「その方が鎌倉らしい。新谷さんの目は曇って無いらしいな?他の女性にも気を付けろよ!雨あられの如く降りかかるぞ!」「Y、お前さんもだ!一体何人と付き合ってるんだよ?」「話によるとだな、“大奥”になっちまってるらしい。もう、抜けだせないよ!」僕はお手上げのポーズを取った。「“大奥”か。職場全体から誘われてるなら、より取り見取りじゃないか!不満はないよな?」「それを言ったら火に油を注ぐ事になる。世の中を平らにするには、付き合うしかないんだよ」「交代するか?」「やれるものならやって見ろよ。半日で根を上げるハメに陥るぞ!」「女の集団は苦手だ!Yの様に操縦する自信は無いよ」鎌倉もお手上げのポーズを取った。こうして、僕等は“新たな道”を目指して突き進む事になった。故郷のO工場の事は、棚上げするしか無かった。そうしなくては、毎日の仕事に立ち向かう事は不可能だったからだ。鎌倉も僕も、国分で生きるには後ろを振り返っているヒマは無かったからだ。2人で缶ビールを買い込むと、ささやかな酒盛りと相成った。

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