limited express NANKI-1号の独り言

折々の話題や国内外の出来事・自身の過去について、語り綴ります。
たまに、写真も掲載中。本日、天気晴朗ナレドモ波高シ

ミスター DB 54

2018年10月10日 15時43分32秒 | 日記
時間を巻き戻して、その日の朝、Pホテル周辺を管轄するL警察署に、ある男が押し掛けていた。「何故、捜査を打ち切ったりしたんです?!こっちはコンビニ1店舗が壊滅したんですよ!1千万もの損失を被っているのに、何故犯人逮捕に動いてくれないんです?!」彼は、昨日KとDBが最初に“悪臭地獄”に陥れたコンビニの店長だった。2匹の放った悪臭によって、全ての商品が全滅し今でも異様な臭気に包まれて、片付けさえも手に付かないと言う。昨日、警察官は出動したものの“上からの命令”によって引き上げざるを得なかった“悲劇の舞台”である。「いえ、捜査をしないのではなく、事件そのものが不可解で、手を付けられないと言った方が正しいかも知れません。盗難の類は受けていませんよね?」応対に出た職員もしどろもどろだ。「確かに、何も盗られてはいない。でも、ありとあらゆる商品が異臭を放って、廃棄するしかないんだよ!器物損壊に当たらないんですか?」店長は食い下がる。「トイレからの悪臭によって、商品全てが壊滅するとは考えにくいですし、まず原因が特定出来ない状況では・・・」「原因が特定出来なければ、動けないって言うんですか?!じゃあ、鑑識は何の為に居るんです?!鑑識を寄越して下さいよ!!こっちは、現場保存はしているんだ!」セリフを引き取った店長は更に詰め寄る。「どうしたの?」そこに現れたのは、若い捜査官。最近、県警に配属されたばかりのE警部補。エリート候補だ。出勤早々に騒ぎを聞きつけて、出て来た様だ。肩書は“課長補佐”がくっ付いている。E警部補は、コンビニの店長の話を熱心に聞いて、昨日の署の対応に疑問を抱いた。正義感の塊の様な彼は、時に暴走する悪癖があった。今回の“悪臭地獄事件”は、スイッチを入れるのには充分過ぎた。「分かりました。確かに店長さんのおっしゃる通り、器物損壊事件として捜査しなくてはなりませんね!上の命令だからと言って引き下がる方が変だ!犯人の顔とかは防犯ビデオに写ってませんか?」E警部補が聞くと「ブレーカーを遮断したので、防犯カメラの映像もクラッシュしてます。しかし、似顔絵は作成できました。コイツらです」店長は、2枚の似顔絵を差し出す。「ふむ、上手に仕上がっている。これは誰が?」「私は絵を書くのが趣味でして、店員からの証言と私の記憶から書き起こしました」店長が説明した。「これだけ犯人の特徴を明確に捕らえている似顔絵は、中々書けませんね!唯一の物証としては充分です!」E警部補は、直ぐにプランを練り始めた。「では、捜査していただけますか?」店長はすがる様な声で聞く。「勿論です。ただ、鑑識が本部に動員されているので、店舗の調査は、現時点では無理です。ですが、犯人の面は割れました。徒歩でやって来たと言う事は、コンビニから半径3km以内のホテルか簡易宿泊所を当たれば、犯人が潜んでいる可能性は高い。この似顔絵を持たせて虱潰しに調べてみましょう!まだ、時間は残ってますよ!」E警部補は言い切ってしまった。「後は、我々にお任せください!必ず犯人を捕まえましょう!」コンビニの店長は、感激してL警察署を後にした。一方、E警部補は早速手配を始めたが「署長命令で、交通課と刑事課の一部以外は出禁だぞ。待機命令が出ているんだ」と釘を刺されてしまった。だが、この程度の事で彼が諦める筈が無かった。彼の父親は、警視庁の幹部であり下手な事をすれば、所轄署の幹部の首ぐらいは軽く飛ばせることが出来た。こうした“ご意向”を背にE警部補は、警ら隊の2台のパトカーを強引に引き抜くと、例の似顔絵のコピーを持たせて「コンビニから半径3km以内のホテルか簡易宿泊所を虱潰しに調べて、この2人が居ないか徹底的に洗ってこい!居たら直ぐに任意同行をかけるんだ!」と命じたのだ。かくして、Pホテルに警官が乱入する事となったのである。

W警部は捜査会議を終えて、捜査一課長と缶コーヒーを傾けていた。「午後3時を期して、いよいよ本格捜査に着手だ。まずはKなる人物から詳しい話を聞く必要がある。何故Z病院を付け狙ったかな!」捜査一課長がそう言った時だった。W警部の携帯が震えた。相手はY副社長。W警部は慌て気味に応答する。「W!緊急事態発生だ!Kがホテルで警官に包囲されている!どうなっているんだ?!」Y副社長が詰問するように聞いている。「Kが警官に包囲されている?!どう言う事です?」W警部は事態を飲み込めずに聞き返した。捜査一課長も顔色が変わった。「何処の誰か、何の容疑かは知らんが、Kを捕えに警官がホテルに乱入しているんだ!今、ヤツが逮捕か任意同行を喰らったら、Z病院の件も青竜会の件も水の泡だ!直ちに止めさせろ!そうしないと計画は根底から覆ってしまう!」Y副社長も必死に訴える。「分かりました。とにかく早急に手を引かせます!」W警部は捜査一課長と顔を見合わせながら答えた。「とにかく急げ!30分は持たんぞ!!場所はPホテルだ!!」Y副社長はそう言って電話を切った。「どこの馬鹿者だ?!勝手に捜査員を動かしたのは!」捜査一課長が怒りを込めて言う。「お相手の声が上ずって、こっちにも聞こえたから状況は分かった!KをPホテルで追い詰めているのは誰だ?!」「所轄は、L警察署だから・・・、E警部補か?!」W警部が思い付く。「またしても、Eの大馬鹿者か!!こっちの足を引っ張った挙句、本命まで掻っ攫うとは、いい根性だ!!W警部!Eの大馬鹿者に直ぐに手を引かせろ!!親父の“ご意向”など粉砕しても構わん!本部長命令だと言って謹慎処分にしろ!!私が責任を持つ!私は無線で警ら隊に直接命令する!とにかく急ごう!」2人は取るモノも取り敢えず連絡に散った。捜査一課長は、無線を掴むと「全車両に告げる!捜査本部に無断で、Pホテルに乱入している輩がいる。該当車両は至急応答しろ!また、Pホテル付近の車両は目立たぬ様に注意しながら、Pホテルに乱入した捜査員を取り押さえろ!」と命を下した。すると「Pホテルへ向かった車両は、107号及び109号と判明。指示を出したのは、L警察署E警部補。近辺の車両は急行します!」と入電があった。「よし!次はL警察署の署長を呼び出せ!カラスに油揚げを持ち去る権利など無い事を思い知らせてくれる!」捜査一課長は頭から湯気を立てていた。
W警部は、L警察署に電話をかけてE警部補を呼び出した。「W先輩、何事です?」E警部補は呑気に答える。「E!!貴様、何をしでかしたか分かっているな!!至急、Pホテルへ乱入した捜査員に撤収命令を出せ!!さもないと、貴様の首が飛ぶぞ!!」W警部は声を荒げて言い放った。「なっ何故です?!W先輩がどうしてその話を・・・」「やかましい!!撤収だ!!捜査本部の命令を何故無視した!!本部長命令だ!!今直ぐに撤収だ!!ついでに言って置くが、貴様は当面謹慎処分だ!!官舎に帰って謹慎していろ!!分かったか?!」W警部も頭から湯気を立てていた。E警部補はあまりの剣幕に驚き、恐れをなしたのか声も出ない。「E!聞こえているなら返事をしろ!」「はっはい、分かりました・・・、警ら隊へ撤収命令を・・・、出します。それから・・・、謹慎処分は誰が・・・」「うるさい!ぼやぼやしないで、言う事を実行しろ!!親父さんの“ご意向”など粉砕してくれる!!官舎へ帰れ!!」「はい、ただちに実行します」E警部補は茫然と切れた電話を置いた。フラフラとした足取りで無線を掴むと「107号及び109号、応答せよ」と吹き込んだ。「109号です」応答は直ぐに返って来た。「直ちに撤収せよ!現状より直ちに撤収せよ!本部長命令だ!何があろうとも撤収せよ!」「はっ、て、撤収ですか?!容疑者とおぼしき人物を突き止めましたが?」「本部長命令で謹慎処分になるぞ!手を引くんだ!」E警部補はロボットの様に繰り返す。「はい、分かりました。直ちに撤収し・・・うわー!ま、待ってくれ!撤収するから・・・、あー!・・・E警部補、こちら114号。乱入した警官達を取り押さえました。直ちに帰投させます!」「了解」E警部補はうな垂れて椅子にへたり込んだ。「謹慎処分か・・・、俺が何をしたってんだ?!親父に一応は言って置くか・・・」E警部補は鞄を持つと席を立ち、官舎へと向かった。「あっ、親父。謹慎処分喰らっちまった・・・」脛を齧るように親に電話をしつつ、E警部補は引き上げて行った。
捜査一課長は憮然とした表情のまま電話で喋り始めた。「署長!Eの尻拭いを我々にさせるとは、どう言う魂胆だね?!」「どうもこうも、私にはサッパリ話が見えないんですが・・・」「Eが親父さんの“ご意向”を背に強引な捜査をしているのは、分かっているはずだ。しかも、カラスに油揚げをひっ掴ませるとはどう言うつもりだ?本部長から待機命令が出ているにも関わらず、Eはこっちの捜査本部が逮捕する予定の容疑者を先回りして捕えようとした。ヤツの暴走を制御できないのは何故だ?」捜査一課長の言葉は、強烈に署長の胸に突き刺さった。「何しろ“ご意向”を持ち出されては、我々とて迂闊に止められません。ですから・・・」「“黙って鵜呑みにした”とでも言うのかね署長!もっと厳しくやって貰わなくては困る!!」捜査一課長はセリフを引き取り更に釘を打ち込んだ。「とにかく、E警部補は無期限の謹慎処分にする!官舎から1歩たりとも外へは出すな!!これ以上の迷惑行為は捜査妨害に当たる!厳重に監視を付けて置け!!」と吠えると電話を叩き切った。「Eの尻拭いなどやってられるか!」捜査一課長は湯気ではなく火柱を立てていた。すると本部長が捜査一課長の肩に手をかけて「今、警視庁の親父さんから電話があった。“謹慎処分は重すぎる。もう少し軽く出来んか?”とな。だが、私も苦言を呈して置いた。“ご子息の強引過ぎる捜査手法は、県警の威信に関わる。”とな。ついでに、青竜会の件を話したら、納得されたよ。E警部補は、青竜会の一件がある程度片付くまで、現場に出さなくてよい」と言った。「本部長、申し訳ありません。ご心配をおかけしました」捜査一課長は頭を下げたが「気にするな。それより、午後3時を期して全面対決に踏み切るのだろう?くれぐれも頼んだぞ!」と言うと静かに引き上げて行った。「114号より、本部。Pホテルへ乱入した捜査員は全員確保。持ち場に復帰させます」「よし!全車両は現状で待機!別途緊急事態発生の際は、本部の指示を待て!」捜査一課長は高らかに言った。

荷造りをしていたKとDBは、急にホテル内が騒がしくなった事に気付いた。「何事だ?」Kが何気に窓から下を見ると、パトカー2台が目に飛び込んで来た。「DB!ヤバイぞ!警察が来ている!」DBの顔が青ざめた。「昨日の“コンビニ悪臭事件”か!どうやってここを嗅ぎつけたんだ?」「どうする?強行突破を図るか?」Kも顔色が悪い。「いや、それでは逆に捕まってしまう。こういう場合は“籠城”しかない!ドアさえ開けなければ切り抜けられる可能性はある!」そう言うとDBは、ソファーをドアの前に引きずって行った。「少しでも盾になりそうな物を積み上げるんだ!」KとDBは入り口を固めて、息を潜めた。階下から段々と騒ぎは近づいていた。

特別ラウンジに居たミスターJとリーダーも気が気ではなかった。「Y副社長への打電は?」リーダーが聞く。「もう済ませてある。後は、KとDBが持ちこたえてくれるのを見ているしか無い」ミスターJも焦りを隠さない。「警官達は、KとDBの名前を掴んでいたか?」リーダーは「似顔絵だけです。氏名までは知らないでしょう」と言った。「そうなると、虱潰しに当たるしかないな。多少は時間を稼げる。その間に、Y副社長の手が間に合えばいいが・・・」2人は祈るような気持ちで携帯を見つめた。その時、携帯が震えた。「暗号通信だ。どれ、“後、30分持ちこたえれば、救援が行く。”と打って来た。警官達は何階まで到達している?」「3階当りでしょうか?KとDBも飛び出しては来ないでしょう」リーダーが言った。「そうだな、そこまでアホではあるまい。こういう場合は“籠城”が最善の策だ。ドアさえ開けなければ30分は持ちこたえられる」とミスターJが言った時、数名の警官達が新たにPホテルへと入って来た。「増援でしょうか?かなりマズイ状況ですよ!」「いや!待て、よく聞くんだ!」ミスターJが耳を澄ませた。彼らは、先に突入した警官達に“撤収だ!撤収しろ!!”と強い口調で命じている。更に別の警官達も続々と到着し、パトカーに残っていた警官に“撤収だ!撤収しろ!!”と言い放っている。警官が警官を制止させているのだ。よく聞くと“本部長命令だ!直ちに撤収しろ!”とか“誰の命令でこんな事をしている?!持ち場に戻れ!”と口々に言っている。「どうやら間に合ったらしいな。こんな所で、任意同行でもかけられたら、どうなるかと思ったが首の皮1枚で繋がったな」ミスターJが思わず安堵の表情を浮かべる。「そもそも警官達は、何の容疑でKとDBを捕えに来たのでしょう?」リーダーが怪訝そうに聞く。「恐らくは、“コンビニ悪臭事件”だろうよ。だが、そんな小さな事でヤツらを任意同行されたら、我々も県警も困る。所轄の判断で動いたのだろうが、県警本部の逆鱗にふれたな。誰かは知らんが、謹慎モノだよ」ミスターJは警官達を睨みつけて言う。だが、外からは見えていない。警官達はスゴスゴと引き上げて行った。「心臓に悪い。寿命が縮むとはこの事ですね」「ああ」2人は胸を撫でおろすと、冷めたコーヒーで喉を潤した。

“撤収だ!撤収しろ!!”と叫ぶ警官達の声は、KとDBの耳にも聞こえていた。慌ただしくパトカーはPホテルを去っていく。「何故、“撤収だ!撤収しろ!!”になったんだ?」DBが不思議そうに言う。「俺達は悪臭を垂れ流したが、物品は盗っていない。どの道、任意同行をかけられても、知らぬ存ぜぬで通せば警察も手を引かざるを得ない。鑑識が調査しても悪臭の原因は突き止められん。現代化学の理解を超えた悪臭なのだからな!」Kが腹を叩いて言う。「確かに化学薬剤を吸収して、化け物じみた悪臭を放ったからなー。普通の常識では理解出来ん代物だった」DBも腹を叩いて見た。「今朝の段階で、“異臭の素”は体外へ消えている。もう、俺達の身体を調べても何も出ては来ない。“コンビニ悪臭事件”はお宮入りさ」Kが確信を込めて言った。2匹はソファーを元通りの位置へ戻すと、コーヒーを淹れて差し向いで座った。「怪奇事件は未解決が似合う」Kがニヤケて言うと「コーラの一気飲みからの大爆発は、誰にも説明は不可能だよ」と自嘲気味に言う。「それを言うな!DB、あんな事は今日はやらんぞ。炭酸飲料水は絶対に飲まん!」「そうしてくれ、今度意識を失いかかっても、逃げ込むコンビニのトイレが昨日の様に広いとは限らん。消臭スプレーの有無も含めて」DBは昨日の“ガス大爆発”の余韻をまだ引きずっていた。「そんなに酷かったのか?」Kが真剣に聞く。「ああ、血の気を失った顔で、3回の大爆発と機関銃の一斉射撃の様な噴射音の連続だ。トイレが無傷だったのが不思議なくらいだ」DBは昨日の夕方を振返る。「だが、それが人間の身体から発せられたとは、誰も信じはしないだろう。そのぐらい強烈なヤツだったんだ」「それで昨日は1日を棒に振った。悪臭から逃れるだけの1日だったな」Kが済まなそうに言う。「だが、今日は栄光を掴む日だ。いよいよ、舞台へと向かうがDB任せたぞ!」Kは期待を込めて言う。「どうと言う事は無い。一昨日の芝居をそのまま引き継げばいいんだ。院内も確認してある。セリフもバッチリ浮かんでいる。むしろ、さっさと済ませたい気分だ」DBは自信ありげに言う。「そうと決まれば、まずは昼飯だ。1階のレストランは?」「ダメだ!」DBが今度は語気を強めて制止する。「じゃあ、コンビニへ買い出しに出るのは?」「ダメだ!罠が仕掛けられていたらどうする?」「外のレストランへ出るのは?」「以ての外だ!!」「DB!じゃあどうするんだ?!」Kが焦れた。「ついさっき、警察が退去したばかりなんだ。もう少し慎重に動かなくてはワナに堕ちるだけだ!じっくりと構えないと大望は果たせないぞK!」「それはそうだが、いい加減腹が空いた。腹が減っては戦が出来んではないか!」Kがゴネた。「確かにそうだが、万が一にも捕まる事は避けなければならない!さっきの“撤収”が本当の事か?俺が確かめて来る。待っていてくれ」DBは立ち上がると、ドア外の気配を伺う。「DB、もし罠が仕掛けられていたらどうする?」Kが心配して聞く。「その時は、俺が警察を引き付ける。午後3時までにはZ病院へ向かう。向こうで落ち合おう」DBは囮になる腹を括った。「じゃあ、行って来る。万が一の時はZ病院だK!」素早く身を翻すとDBは階下へ向かった。

特別ラウンジに居たミスターJとリーダーの目にDBが捉えられた。「ヤツだ。でも変だな?Kが居ません!」リーダーは素早く周囲を伺う。やはりKの姿は無い。「どういう事だ?」「分からんか?答えは1つ。先程の警察の襲撃だよ。ヤツらも考えたな!」ミスターJが指摘する。「DBは囮だ。警察の罠が仕掛けられていたら、自分が身をもって引き受けるつもりだろう。そうすれば、Kは安全にZ病院に向かえる。だが、罠など仕掛けられてはおらん。知らぬはヤツらのみだ」「では、ヤツらがいよいよ動き出す前兆ですか?」「相当に用心深くなっておるな。こうでなくては、歯ごたえが無い。むしろ、あの位警戒してくれた方がやりがいもあると言うものだ」ミスターJは悠然と言った。「携帯で喋ってます。どうやら安全だと伝えているのでしょう」「奴さん達も腹ごしらえの時間だろう。こちらも負けずに昼にしようじゃないか。リーダー、オーダーを入れてくれ」「了解しました」DBは連絡を終えても執拗に確認を続けていた。「我々以外、誰も罠など仕掛けてはおらん。だが、こっちの罠には確実に落ちてもらわなくてはならん。準備は出来た。さあ、落ちるがいい」運ばれてきた昼食を前に、ミスターJは悠然構えた。時は満ちた。

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