limited express NANKI-1号の独り言

折々の話題や国内外の出来事・自身の過去について、語り綴ります。
たまに、写真も掲載中。本日、天気晴朗ナレドモ波高シ

ミスター DB ㊸

2018年09月10日 16時39分25秒 | 日記
時間は大分戻って、ここは横浜中華街の「△珍楼」
「何を心配しているDB?!さあ、食え!飲め!前祝だ!しっかり食って精を付けろ!!」Kは紹興酒のグラスを豪快に煽り、DBに料理を勧めた。アワビやフカヒレ、海鮮珍味の料理が次々と運ばれて来る。Kは終始ご機嫌で、巨大な胃袋へ料理を流し込み、酒に酔っていた。DBも同じく、巨大な胃袋を満たそうとしてはいたが、少し浮かぬ様子だった。Kは「我々は偉大な勝利を手にしたのだ!もう誰も我が行く手を阻む者は居ない!DB!もっと食って飲め!心配など無用だ。さあ、食え!飲め!」と言いながら、ドンチャン騒ぎに浮かれていた。「DB!一つ心配の種を明かしてやろう!これを見ろ!」とKはテスターの様な機器をDBに見せた。「コイツは簡易式の盗聴探知機だ。何の反応も無い。つまり、ここには盗聴を試みるヤツは居ないと言う事だ!心配はない!さあ、食え!飲め!」Kは紹興酒のボトルを追加注文して、再び料理に手を伸ばした。「杞憂だったか、では遠慮なく頂くとしよう!」DBも酒のグラスを煽り、料理を掃除機の如き勢いで吸い取って行った。とめどなく料理が運ばれ、酒のボトルも加速度的に増えつつあった。2人が飲み込んだ料理と酒は、かなりのボリュームになっていた。2人は全く気付かなかったが、その様を目の当たりにして、ゲンナリしている客が居た。ミスターJの指揮下にある機動部隊員である。特殊収音マイクでKとDBの会話を録音しつつ、彼らも「それなりに」飲み食してはいたが、“2匹の食用蛙”の暴飲暴食を前に食欲は失われつつあった。2人は「遠慮せずにちゃんと食べて来い」と言う大隊長の指示を受けて、乗り込んだのだが“2匹の食用蛙”を前にして、既に満腹と言うか気持ち悪さを感じていた。2人は口々に「いくら任務とは言え、これは拷問だ!」とか「ヤツらの胃袋は無限なのか?!食欲が失せていく一方だ!」と嘆いていた。彼らは大隊長に泣き付いたが「馬鹿者!任務を果たすまで帰るな!」と逆に怒鳴られ、帰るに帰れない状況に追い込まれた。「俺達が馬鹿だった・・・」“2匹の食用蛙”を横目に「胃薬」を飲みながら、彼らは必死の形相で料理と格闘するハメになった。“2匹の食用蛙”のドンチャン騒ぎは、夜遅くまで果てる事を知らぬかのように続けられた。すっかり酔いどれた“2匹の食用蛙”が店を出たのは、午後11時近くになってからだった。

KとDBの“食用蛙コンビ”が△珍楼を出たとの知らせは、すぐさまミスターJに伝えられた。「何?!胃もたれか胃下垂だと?!部下達はどれだけ食べたんだ?大隊長、もう少し分かりやすく説明しろ!」リーダーが呆れつつ聞き返した。「KとDBの大食いを見て、胃を壊した?!うーん、とにかく病院へ連れていけ!特殊収音マイクの音声テープは、他の誰かに届けさせろ!ああ、KとDBが部屋へ帰った後でいい。一体どれだけの量を食ったんだ?KとDBは?6人前ぐらいだと?!半端じゃないな。2人じゃなくても胃下垂になりそうだ。分かった。タクシーを拾ったんだな?こちらでも確認する。ああ、早く病院へ連れていけ。じゃあ」半ば茫然と携帯を切ったリーダーは「2名が胃下垂を起こして病院へ担ぎ込まれるそうです。KとDBは酔っぱらってタクシーに乗り込み、今しがた中華街を出たそうです」と冷や汗を拭いつつ、ミスターJに報告した。「“食用蛙”に2名が飲み込まれたか?!ジミー・フォンは相当儲かったな。今頃、ヤツはほくそ笑んで居るだろう」ミスターJは笑いながら言った。「2名の症状はどうなんだ?」「一晩病院で過ごせば大丈夫でしょう。明日の任務には支障は出ないかと」リーダーはまだ冷や汗が止まらない。「明日は、例のNPO法人に探りを入れる予定だったな?」「はい、ホームページは4か月前から更新されていません。ネット上での調査には限界がありますので、明日、機動部隊を派遣する予定です」リーダーは汗を拭い続けていた。「リーダー、顔色が悪いぞ。どうした?」ミスターJが心配そうに聞いた。「いえ、少し気持ちが悪いだけです。もうすぐ落ち着くかと」「お前さんも“食用蛙”に飲まれた様じゃな。座って楽にしなさい。ベルトとネクタイを緩めて、楽な姿勢で少し休んだ方がいい。後は、私が引き受ける」ミスターJはリーダーを休ませると、携帯を手に取り連絡を待った。「必ず有るはずだ」それは、Kが隠した“物証”に他ならなかった。40分が経過した頃、連絡が入った。「有りました!鉄の菓子箱の中に“粉状の白いモノ”とCD-Rが3枚入っていました!」シリウスが興奮気味に報告した。「うむ、ただちに“基地”へ持ち帰り、分析を開始するんだ!NとFが、今、そちらに向かっている。何としても“正体”を突き止めろ!シリウス、ZZZの情報が必要だ。“侵入”の手筈を整えて、直ぐに必要な情報をかき集めろ!“ドクター”には成分分析の用意をさせて待機する様に伝えろ。時間がない。明日の午前中に全てを完了できる様に準備にかかれ!」ミスターJは手短に素早く指示を送った。「了解。直ちに“基地”へ戻り、準備にかかります!」電話は瞬時に切れた。3人は、大急ぎで“基地”へ戻るだろう。「ともかく、急げ。明日中が勝敗の分かれ目だ!」ミスターJは窓からの夜景を見ながら呟いた。勝利か敗北か?これからの1分1秒が全てを決するのだ。「頼んだぞ」ミスターJは窓辺で静かにそう言って携帯を握りしめた。

時間を戻そう。
すっかり夜は明けて、時計は午前7時を指していた。シリウスとN坊は、Kのパソコンの分析に入っていたが“壁”に突き当たっていた。「リカバリーCDだけじゃ情報不足だ。どうやらデーター復活をやらなきゃならねぇ様だ」N坊はガックリとして言った。「だが、Kのパソコンの能力だと、相当時間を食うぞ!」シリウスの指摘は当たっていた。「でも、他に手はない。時間を食ってもやるしかあるまい」N坊は半ばあきらめかけていた。「スピードアップする方法が無い訳じゃないぞ!」背後からF坊が声をかけた。「随分と早いお目覚めだな。手はあるのか?」N坊はF坊に聞き返した。「Kのパソコンをそのまま使わなきゃいいんだ。ちょいと細工すれば時間短縮は可能だよ」F坊には考えがある様だ。「Kのパソコンからハードディスクだけを取り出して、シリウスのパソコンへ移設する。そして2台目のハードディスクとして認識させりゃ処理能力は上がる。シリウスのパソコンは“基地”では最速だ。データー復活を早く済ませるにはそれしかない」「確かに理屈上はそうだが、認識するかどうかはやって見ないと分からんぞ?」N坊は懐疑的だ。「認識云々はとりあえず別にして、やってみよう。スピードを上げるにはそれしか無いんだ」F坊はKのパソコンからハードディスクを取り出す作業を始めた。5分もかからずにハードディスクを取り出すと、シリウスのパソコンの筐体に手を付ける。「配線は簡易的でいいだろう。ともかくパソコン上で見えればOKさ」器用に結線を済ませると、シリウスのパソコンを起動した。画面を食い入る様に見つめていたF坊は、慎重に確認に入る。「よし!何とか認識した。このままデーター復活作業にかかる。こっちは処理速度が速いから、半分の時間で完了するだろう」N坊とシリウスは唖然とした。「お前さんの発想にはいつも驚かされるが、その発想力はどこにあるんだ?」N坊はため息交じりに言った。「ちょいと見方を変えれば、誰だって思い付く。汎用品だから、メーカーは違っても認識さえなんとかすりゃどうにでもなるさ」F坊は平然と言ってのけた。シリウスは「確かにそうだが、実際にやるヤツはそうは居ないだろう。F坊でなきゃ浮かばない事だよ」とお手上げのポーズを取った。「さて、暫く時間が出来たが、猛烈に腹が減って来ないか?頭脳労働には糖分を補給しなきゃならんぞ!」F坊は時計を見ながら言った。「ああ、もう午前7時を回っていやがる。食事を忘れちゃいかんな。新米、悪いがコンビニへ食糧調達に行ってくれ!」N坊が指示を出すと「俺も行くぞ!ガス欠では横浜へ帰る事もできんからな!」とドライバーが言った。車屋の新人が「何をご所望ですか?」と言う「コンビニにあるもの全部をジャックして来い。手あたり次第買い集めて来るんだ。コンビニを土台から引っ剥がして、引きずって来ても構わん」とN坊が言った。「了解、大至急行ってきますよ」「よし、新米行くぞ!」ドライバーは既に車のエンジンをかけていて、2人は最も近いコンビニへと向かった。その時、“ドクター”がやって来た。「腹が減った。何か食うものはあるか?」「今、調達に出たばかりだ。ちょっと待ってくれ。それより、分析は?」シリウスが聞くと「横浜から持って来た清涼飲料水からも、陽性反応が出た。ZZZの混入は疑いの余地が無いと言っていい。例の“粉状の物質”については、今、精密分析中だ。結果が出るまで2時間といった処だな。後は、清涼飲料水の中身を精密分析して比較すれば、薬物の特定と混入については、証拠は固まる。データーは、順次まとめて書面に印刷出来るようにしとるから、鑑定書としてまとまるのは、昼前になりそうだ」“ドクター”が見通しを説明した。「発見された薬物らしきモノがZZZだと仮定して、清涼飲料水を“彼”が飲んだとしたらどうなる?」F坊が心配そうに聞いた。「うーん、精神科で処方される薬剤は、膨大な数がある。中には“劇物”を薄めて利用している薬もある。正確な答えは、何とも言いかねるが“中毒症状からショック状態になり、最悪心肺停止”も考えられる。“劇物”由来の薬剤を服用していたら、非常に危険な事になるだろう。いずれにしても、意識不明の重体に陥るのは間違いない」“ドクター”の答えは深刻だった。「ZZZの毒性は極めて強い。例え薄められていたとしても、体内へ入れば様々な症状が出る。幻覚、妄想、などは序の口に過ぎん。いずれにしても、中毒になったら最期、治療は地獄の苦しみとの闘いになるだろうて」“ドクター”の言葉は聞く者に恐れを抱かせた。「食料が来たら呼んでくれ。わしは悪魔と格闘しなきゃならん」“ドクター”は分析室へ戻って行った。その足取りはやや重そうだった。「悪魔か・・・」N坊は茫然と呟いた。「その化けの皮を引っ剥がすのが、俺達の任務だ。Kの悪事も含めて、一切合切を明らかにするんだ。そのために俺達が居る。悪魔だろうが関係ない!」F坊は手を握りしめて声を絞り出した。「ああ、そうだ。俺達の手で、悪魔を永遠に封じ込める。Kも青竜会も叩き潰すんだ!」F坊も言い、シリウスも頷いた。「だが・・・、腹が減っては戦には勝てねぇ・・・。おい、ポットにお湯でも沸かさねぇか?このまま、力んでてもカップ麺1つも食えやしねぇ」F坊がぼやいた。「そうしますか。確か奥に転がってたはずだ」シリウスがポットを持ってくると、N坊達はお湯を沸かしにかかった。暫くするとコンビニに行っていた2人が戻って来た。両手に持ちきれない程のビニール袋には、あらゆる食べ物が詰まっていた。「ご所望の通り、コンビニにあるモノ全てを買い付けてきました」車屋の新人が自信ありげに言う。ドライバーは既にパンに食らいつきながら「ともかく食ってくれ!これからが正念場だ。俺は“ドクター”に何を食いたいかを聞いてくる」と言ってビニール袋1下げを持って分析室へ歩いて行った。束の間の食事が始まった。考えてみれば全員、昨夜からまともに食事をしていない。手あたり次第、各々が食べまくりに入った。“ドクター”も分析室から出てきて、食事の輪に加わった。「冷やし中華か?!“ドクター”他にもあるぜ?」ドライバーが言うと「わしは、猫舌でな。これが一番手っ取り早いんだ!」と意に介す風も無く冷やし中華をすすり始めた。シリウスは、デザートを手にしている。「おい、おにぎりとかはいいのか?」“ドクター”が噛みつくと「頭脳労働には、糖分が必要なんだ。まずは、甘いものからさ」とこちらも意に介す風も無い。N坊とF坊も手あたり次第に食べまくった。「これで戦に勝てなかったら、俺達は大馬鹿だな」「もうすぐハードディスクのデーター復活が完了する。これからはノンストップだ!」N坊とF坊も言い合った。「インターネットの閲覧履歴とメールの分析にかかる訳だが、IDとPWはどうするんだ?」珍しくドライバーが聞いた。「その点は、大した問題にはならないと思う」シリウスがカップ麺をすすりながら言った。「人間って言う生き物は、複雑な数字やアルファベットの羅列を覚えるのが苦手だ。多くの一般人の場合、IDとPWは1度決めたら“使い回す”事が多い。セキュリティの観点からすれば、“やっちゃいけない”事だが、PWについては、1つ乃至は2つぐらいに絞れるだろう。IDは、メールアドレスか接続先からランダムに配布される事が多い。こっちも3つぐらいに絞れるだろうよ。もし、分からなければ、俺の解析ディスクでこじ開ければいい。大抵はメールを見れば手掛かりは掴めるはずだ」「そうだな、IDとPWの“使い回し”は、大方の一般人なら日常的にやってる。1つ判明すれば、芋づる式にスマホやパソコンをこじ開けられる。女性や高齢者ならなおさらだ!」N坊とF坊も頷いた。「作業手順はどうします?」車屋の新人が聞いた。「まず、パソコンの接続をやり直す必要があるな。Kのパソコンを“サーバー”に見立てて、ネットワークを組むんだ。ネット接続も組み換える必要がある。プリンターも接続し直しだ。閲覧履歴とメールの2手に別れてかかれるようにしなきゃならん。時間はもうほとんど残されてはいない」シリウスがカップ麺の容器をゴミ袋へ投げながら、パソコンの方へ歩きつつ言った。「F坊、データー復活の作業が完了した。俺のパソコンをシャットダウンするから、ハードディスクを元に戻してくれ」「了解、お茶を飲み干したら直ぐにかかる」F坊はペットボトルを投げ捨てると、早速作業にかかった。同時にパソコンとプリンターの接続・ネット接続も組み替えた。作業班は、シリウスとF坊が閲覧履歴解析・検証。N坊と車屋の新人がメール解析。ドライバーは、ホワイトボードに情報を書き出す役に決まった。“ドクター”は既に分析室で「鑑定書」の作成にかかっている。「予備のモニターをKのパソコンにも接続してくれ。まずは、Kのパソコンが正常に動作してるかを確かめる必要がある」F坊が言った。「さーて、拝ませて貰うぜ。どこまで復活したかを」N坊が期待を込めて見入った。「どーやら、成功した様だ。丸見えだぜ!シリウスどうだ?」F坊が聞いた。「OK、こっちでもちゃんと見えてる。じゃあ、閲覧履歴を見てみますか?!」シリウスはキーボードを叩いてアクセスを開始した。「N坊はどうだ?」F坊が尋ねる。「こっちもOKだ。では、メールを開いて見ますか?!」N坊もキーボードを叩いてアクセスを開始した。「やはり、“薬物”に関するページへのアクセスが多いな。表から裏まで様々だ。結局は、青竜会系列の物産会社の裏へたどり着くんだが・・・」シリウスはずらりと並んだ情報を見て言った。「Kのヤツ、ゴミメールを消していないな。相当な量が受信トレイにそのまま残っていやがる。コイツは骨だぞ・・・」N坊が呻いた。「取り敢えず、最新の受信から追って行こう。まずは・・・、航空券の予約が3件ありやがる。出発は成田。行先は、香港に上海にシンガポールだ。明日の夕方から夜の便だ。ボードヘメモってくれ!」N坊がドライバーへ指示を出した。「航空会社は?」「全部バラバラだ。恐らく成田で決めるんだろう。高飛び先を特定されない用心のつもりだろう」N坊が画面に釘付けになりながら言った。「ZZZ発送の案内メールもあった。納品内容は・・・」そこでN坊の声は途切れた。顔には不審な表情が浮かんでいる。「どうした?N坊?!」ドライバーが誰何する。「コイツは・・・、嘘だろう?!」N坊の顔から血の気が失せた。F坊がN坊のモニター画面を覗いた。「馬鹿な・・・」F坊の顔からも血の気が失せた。「Kは青竜会からZZZ以外にもう1点買い付けをしてやがる。だが、ヤツはどこに隠し持っているんだ?!」F坊は茫然と呟いた。「Kの買い物とは何だ?」シリウスが首を捻った。「ああ・・・、“コルト・ローマンMkⅢ”と実弾12発だ・・・」N坊の声は微かに震えている。「何だと!!Kは拳銃を持ってるって事か?!」N坊の答えはシリウスの想像を超えた。「間違いない様だ。青竜会からのメールには、“コルト・ローマンMkⅢ”の文字が載っている。銃としてはそれ程大きくは無いから、バッグの底にでも入るモノだ。ヤツのセカンドバッグは調べてない。銃があるとしたらそこだろうよ」F坊の声も震えている。「それが本当だとしたら、何の為だ?!“彼”は薬殺されるはずじゃないのか?」シリウスの声も震えている。「分からないよ。分かればとっくに手を打ってる。実弾を抜くとかな。だが、調べた範囲に銃は無かったんだ。部屋の荷物にも車にも。残るはKが常に持ってるセカンドバッグしかない。肌身離さず持ち歩いてるヤツだ」N坊は唇を噛んだ。「ミスターJへ警告しないと危険だ!」シリウスは携帯を手に取った。「まて!まだ裏が取れていない。N坊、他のメールも当たってくれ!」F坊はシリウスを制して、メールを更に確認して行った。「どうやら、事実の様だぞ!Kのヤツ取引の過程でZZZを値切ったらしい。いい根性してやがる。青竜会相手に値切るなんざ自殺行為だってのに。その代償として、銃がセットになった様だ。青竜会が使ったヤバイやつを処分したのかも知れん」F坊はメールに目を通しながら言った。「横浜にKのヤツが持ち込んだとは断定できない。俺達も徹底的に洗っているから、逃れられるもんじゃない。警察の検問にかかったらイチコロだしな。もしかすると、銃はDBの菜園に埋まっているかも知れない。あそこを洗ったのは夜中だったよな」N坊がシリウスに確認する。「ああ、夜中だったから見落としがある事は否定出来ないよ」シリウスも同意した。「確認だ。裏が取りたい。DBの菜園を再捜索するしかねぇ!」F坊は決断した。「新米!!DBの菜園を再捜索だ。徹底的に調べ直せ!銃が埋まってる可能性はゼロじゃない!」ドライバーが「俺も行く。どの道ここに居てもあまり役には立たねぇ。だが、畑を掘り返すなら1人より2人の方がいい」N坊は「分かった。2人で行ってくれ!この際、手段を選んでる場合じゃない。今はスピードが最優先だ!DBの菜園の場所は、新米が知っている。直ぐに出発だ!頼んだぞ!」「了解!」2人はスコップなどを持って飛び出して行った。「ミスターJへ知らせておくか?」シリウスが尋ねた。「可能性は5分5分だが・・・、俺が知らせる。横浜で金属探知が可能だといいんだが・・・」F坊は携帯を手に取った。拳銃の存在と言う不吉な知らせをしなくてはならない。最悪の場合、誰かが撃たれる事もあるかも知れない。Kの罪状に「銃刀法違反」が加わるだけではない。ターゲットは“彼”かも知れないのだ。ミスターJへのコール中、F坊は背筋が冷たいのを感じた。横浜に銃があるとすれば、それは「地獄への花道」が用意されている事を意味するのだ!

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