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前回のつづき。
早朝四時起床。
夜中に目が覚めテントの外に出たが月明かりが峰々を照らしていて壮観だった。
いつもの山登りならば一番空気の澄んだいい時間帯をのんびり過ごすことが多いのだが、今回は違う。そう、八ヶ岳主峰の赤岳を目指すのだ。パンをやや強引にコーヒーで流し込み五時過ぎに出発。あたりは既に明るい。
阿弥陀岳方面への分岐を過ぎると階段が現れ次第に角度が急になる。このころから私の体調に異状をきたし始める。
思えば夜中に前兆があったのかも知れない。腹がゴロゴロ言っていた。
そう、私が予期せずに襲われたのは腹痛。要するに下痢である。
前日はそれほどの移動でもなく疲れもなかったのでいい状態で山頂を目指せると思っていただけに少々ショック。次第に息が上がりペースも落ち何よりも不安に苛まれることとなる。「もらす」という前代未聞(?)の恐怖。
いざとなったら木陰で…、と考えるのが普通だがその時点ですでに森林限界を超えているのか周囲は低木のみ。しかもどこを見ても急斜面。
実際の体調の悪さより不安感が勝ってしまったようで完全に戦意喪失の私。「心が折れる」とはこのことを言うのであろう。先を行くメンバーに「オレ、腹痛いからテン場に戻るから」と震える声を張り上げて伝えるのが精一杯だ。
5メートルほど下り折角だからと写真を撮り、「諦め」のスイッチが入ったことに気づいた瞬間ふうっと身体が軽くなった。
「おお、行ける!」
どうやら「もらす」ことの不安が大きすぎて感覚が麻痺していたようだ。確かに周期的に腹痛が襲って来るが、大したことはない。これまで風邪や二日酔いで体調が悪い時でも敢えてMTBで山に入っていたのはこの日の為だったのではなかろうか。
どうせ行者小屋まで下りるのにも時間が掛かるワケだしと開き直ってからの行動は早かった。これまでの遅れを取り戻すべくペースを上げ登る。さっきまで少し歩く度に息が上がっていたのが嘘のようだ。
稜線に上がるころにはメンバーに追いつき、「不屈の精神で腹痛と戦う」などとアホなことを言えるぐらいなる。そしていくつものクサリ場を這い上がり山頂直下へ。
雲海の先に富士山
これまで尾根に隠れていた南東側の風景が我が物に。
奥秩父の山々
一休み、それぞれのペースで登って来たメンバーが揃ったところで山頂へ。
そして登頂。
赤嶽神社
山頂の先に見える南アルプス
険しく、その先はたおやかに続く八ヶ岳主脈
山頂付近からの眺めは今まで山で見てきたどの景色にも負けないすばらしさ。あのとき諦めなくてよかったなぁ、とまだまだ定期的に来る腹痛を感じながら考えていた。おお、トイレはどこだ?
はっきり言ってしまうと登山口からここまでの行程で体力的・技術的に大変なところは思ったほどではなかったので、この腹痛がなかったら登頂したことの達成感もここまでは無かったのかもしれない。
それを差し引いてもすばらしい景色だし、他のメンバーも口々に感動を話している。やっぱり山はいい。
一年前に権現岳・編笠山に登頂した時に感じた登頂することの喜びを再び味わうこととなったのだが、周囲のいくつもの山を見てしまうと「この次はどの山」ということを考えないワケにはいかなくなってしまう。
山は罪作りなヤツである。
終わり。
前回のつづき。
早朝四時起床。
夜中に目が覚めテントの外に出たが月明かりが峰々を照らしていて壮観だった。
いつもの山登りならば一番空気の澄んだいい時間帯をのんびり過ごすことが多いのだが、今回は違う。そう、八ヶ岳主峰の赤岳を目指すのだ。パンをやや強引にコーヒーで流し込み五時過ぎに出発。あたりは既に明るい。
阿弥陀岳方面への分岐を過ぎると階段が現れ次第に角度が急になる。このころから私の体調に異状をきたし始める。
思えば夜中に前兆があったのかも知れない。腹がゴロゴロ言っていた。
そう、私が予期せずに襲われたのは腹痛。要するに下痢である。
前日はそれほどの移動でもなく疲れもなかったのでいい状態で山頂を目指せると思っていただけに少々ショック。次第に息が上がりペースも落ち何よりも不安に苛まれることとなる。「もらす」という前代未聞(?)の恐怖。
いざとなったら木陰で…、と考えるのが普通だがその時点ですでに森林限界を超えているのか周囲は低木のみ。しかもどこを見ても急斜面。
実際の体調の悪さより不安感が勝ってしまったようで完全に戦意喪失の私。「心が折れる」とはこのことを言うのであろう。先を行くメンバーに「オレ、腹痛いからテン場に戻るから」と震える声を張り上げて伝えるのが精一杯だ。
5メートルほど下り折角だからと写真を撮り、「諦め」のスイッチが入ったことに気づいた瞬間ふうっと身体が軽くなった。
「おお、行ける!」
どうやら「もらす」ことの不安が大きすぎて感覚が麻痺していたようだ。確かに周期的に腹痛が襲って来るが、大したことはない。これまで風邪や二日酔いで体調が悪い時でも敢えてMTBで山に入っていたのはこの日の為だったのではなかろうか。
どうせ行者小屋まで下りるのにも時間が掛かるワケだしと開き直ってからの行動は早かった。これまでの遅れを取り戻すべくペースを上げ登る。さっきまで少し歩く度に息が上がっていたのが嘘のようだ。
稜線に上がるころにはメンバーに追いつき、「不屈の精神で腹痛と戦う」などとアホなことを言えるぐらいなる。そしていくつものクサリ場を這い上がり山頂直下へ。
雲海の先に富士山
これまで尾根に隠れていた南東側の風景が我が物に。
奥秩父の山々
一休み、それぞれのペースで登って来たメンバーが揃ったところで山頂へ。
そして登頂。
赤嶽神社
山頂の先に見える南アルプス
険しく、その先はたおやかに続く八ヶ岳主脈
山頂付近からの眺めは今まで山で見てきたどの景色にも負けないすばらしさ。あのとき諦めなくてよかったなぁ、とまだまだ定期的に来る腹痛を感じながら考えていた。おお、トイレはどこだ?
はっきり言ってしまうと登山口からここまでの行程で体力的・技術的に大変なところは思ったほどではなかったので、この腹痛がなかったら登頂したことの達成感もここまでは無かったのかもしれない。
それを差し引いてもすばらしい景色だし、他のメンバーも口々に感動を話している。やっぱり山はいい。
一年前に権現岳・編笠山に登頂した時に感じた登頂することの喜びを再び味わうこととなったのだが、周囲のいくつもの山を見てしまうと「この次はどの山」ということを考えないワケにはいかなくなってしまう。
山は罪作りなヤツである。
終わり。