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ヒスイ・勾玉の入門書・・・たかしよいち著「みどりの玉のひみつ」

2023年03月01日 07時07分16秒 | ヒスイ
私がはじめて読んだ考古学の本が、小学1年の時に買ってもらった、たかしよいち著「まぼろしの日本原人」で、同じシリーズのヒスイ編が図書館にあったので、読んでみたら児童書でも深い内容で面白かった。
ヒスイに興味をもった10歳の少年が、父親とおじさんに連れられて山陰から北陸の遺跡を探訪するストーリー。
 
たかしさんは児童文学者だけれど、考古学者から異論がでないであろう充実した内容になっていて、かなりな資料を読み込み、じっさいに現地調査をして、学芸員に質問して書いたであろうことがリアルに伝わってきて、誠実な人柄がうかがえる。
このあたりは「ニューアカデミズなスピリチュアルおじさん」の紀行文とは大違い。
 
表紙絵は富山の朝日貝塚出土の国内最大級のヒスイ大珠が、豊漁の祭祀につかわれていたのでは?という主人公の少年の空想を絵にしたものであるらしい。場所は「大境洞窟住居跡」かな?氷見市立博物館のH学芸員に本書を教えたら、Hさんが小学生の40年も前の本だからご存知なかったのは無理もない。
 
ヒスイの謎をめぐる旅のゴールが糸魚川。寺地遺跡と長者ヶ原遺跡、ヒスイ峡と天津神社まででてくるが、古事記に記述のあるヌナカワ姫と八千鉾神との「古代のラブロマンス」について、少年のおじさんが「出雲が武力で、この土地の女豪族を征服したと考えられんかな?」と鋭い考察をしているのは、おそらく当時の教育委員長(?)の青木重孝先生にも会っているのだろう。
 
ヒスイや勾玉に関する怪しげな情報が多いが、ニュートラルな情報を得たければ、本書は入門書に最適だ。
たとえば「縄文時代の糸魚川はヒスイ貿易により莫大な財を成していた」と書かれた書籍が図書館にあって、縄文時代に貿易とは貨幣経済社会だったの?莫大な財ってなに?とツッコミどころ満載なのだが、疑問も持たずに信じ込んでいる市民がいるのだ。
 
昨年の春に解散したヒスイ商組合のホームページの冒頭にも、「神代の時代、糸魚川の人々は各地にヒスイを配っていた」と恥ずかしい文章が載っていた。えっ、どこが恥ずかしいかって?
神代の時代は神様が治めていた時代という意味だから、その後に時代は不要で書くなら神代の昔。駅前のテッシュじゃあるまいにヒスイを配っていたは日本語として稚拙すぎるでしょ?
 
最近はみなくなったけど、「出雲と奴奈川は連合国家を樹立して、北陸から山形まで支配していた」とする誇大な宣伝文句もありましたなぁ。
「おらが街の自慢」をするのはけっこうだけど、ここまで公言してしまうと戦前の大本営発表とおなじ歴史修正主義だよ。
 
 
 
 
 


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