作るほどに難しくなっていくのが勾玉。
技術が上がると観察眼も上がるので、永遠に満足できない。
滑らかな曲面だけで構成された立体造形だから、造形も研磨も難しく、工夫を重ねても納得いかない。
工房に訪ねてくるヒスイ好きから自作の勾玉を見せてくれることが多く、「どうですか?」と出来栄えを聞かれたり、「2時間で作りました!」と短時間で作ったことを自慢されても、求めているモノが違うので返答に困る。
石なのに温かく柔らかく感じる勾玉、イキモノのように感じる勾玉を作ってみたい。
例えば不世出の名人大工道具鍛冶「千代鶴是秀の刃物」や「長次郎の黒樂茶碗」の横に自分の勾玉を置いたら、邪魔だからどけてくださいと言われてしまうだろう。
千代鶴や長次郎を目指せば極はなく、永遠の求道者になってしまうから厄介だ。